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編集長の目

マスコミ界の薬物汚染  篠田博之

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 今回は業界内の薬物汚染について書こう。前回に続いて『創』に掲載した
手記を紹介する。2004年1・2月号の元講談社『少年マガジン』副編集長の
告白だ。2002年大麻所持で逮捕されたのだが、この事件は出版界に激震を与
えた。というのも、当時の『少年マガジン』の副編から2人が芋づる式に逮
捕されたからだ。一人の逮捕を受けて講談社の局長が慌てて警察を訪ねると、
「実は今朝もう一人逮捕された」とその場で告げられたというのだ。

『創』はこの事件を02年8月号で詳しく報じたのだが、ここで紹介したのは、
その逮捕された当事者のインタビューだ。「講談社は真面目な人ばかりです
よ」と語っているが、逮捕された人がそう言っても説得力はないかも。でも
この久保さんとはその後も何度か会ったけれど、なかなか面白い人だ。大麻
を今でも悪くないと言っているところなど、無頼っぽくていい。大手マスコ
ミに対する幻想を打ち砕いてくれる。今ではマスコミ業界で薬物事件など珍
しくなくなったが、逮捕例が多くなったのは1990年代後半からだろうか。あ
まりそういう人がいそうにない文芸春秋でも薬物逮捕者が出たりしたから、
もうどのマスコミで逮捕が出ても不思議ではない。

「創」の記事は以下のURLを参照(PDFファイル)
http://www.tsukuru.co.jp/kodansha.pdf

 衝撃的だったのは、オウム事件の取材で活躍した共同通信社の社会部のエ
ース記者が薬物で逮捕されたことだ。しかもかなり重症で、独り暮らしの部
屋の中は無茶苦茶だったという。最前線で取材に奔走しながら、この人はど
うして薬物に走らざるをえなくなったのか。正義のためにやっていると最初
は考えていた自分の仕事に虚しさを感じるようになったのか。こういう事例
は深刻な問題を提起しているのだが、それについては次回書こう。

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