月刊「創」ブログ
南京事件のタブー化と中国映画「南京!南京!」自主上映
この何年か、日本では南京虐殺事件が次第にタブー化しつつあります。虐殺の規模などをめぐって様々な論争が起き、しかもその描き方に抗議を受けることが多いため、次第にこの問題に触れること自体を避けるようになりつつあるのです。2004年には『ヤングジャンプ』連載の歴史マンガ「国が燃える」が抗議を受けたのがきっかけで出版中止になりました。映画についても「南京!南京!」「ジョン・ラーベ」など海外で話題になった映画が、日本では公開できないというケースが少なくありません。しかもこの2本の映画は、日本人俳優が出演している作品なのですが(前者は主役が日本人、後者は香川照之ら有名俳優が出演)、それが日本で公開できないでいるのです。
そういう現状に風穴を開けたいと、中国映画「南京!南京!」をこの8月21日(日曜日)、都内で自主上映しようという試みが進められています。作品に対する評価はすごく高く、国際的な映画賞も受賞している映画であるだけに、中国人監督自身も何とかして日本で上映してほしいと強く希望し、今回の上映が実現することになったものです。実はこの映画の場合、タブーに触れるといった問題のほかに、もうひとつ大きな問題を抱えていました。中国では音楽著作権が厳しく扱われていないため、作品中に出てくる音楽の著作権がクリアされておらず、著作権者との交渉がこじれてしまっているのです。実はこの映画は、昨年春まで、日本の配給会社が正式に名乗りをあげ、試写日程まで決まっていながら、公開が延期されてしまったのでした。
今回の自主上映については、実行委員会が著作権管理団体ジャスラックとの手続きをクリアしましたが、まだ配給会社との紆余曲折も予想される状況です。
自主上映については予約も受け付けており、詳細はこちらのサイトへアクセスを。http://jijitu.com/filmfestival2011/
私(篠田)はもちろん、既にDVDで映画を見ましたが、確かによく出来た作品です。日本兵の残虐なシーンはもちろん出てくるので反発する人もいるとは思いますが、ぜひ公開したうえで議論に供されるべきだと思います。今回の自主上映には監督自身も来日。当日、通訳付きで監督の講演も行われます。そのため、不測の事態を警戒して、当日は会場警備も行われる予定。ちょうど昨年、上映中止騒動になった映画「ザ・コーヴ」を右翼の抗議行動が予想される中で、『創』編集部が主催して初の大規模な自主上映を行ったのが、なかのゼロ小ホールでしたが、偶然にも今回の会場も同じ場所。ここは会場前の道が狭いので右翼の街宣車が入りにくいのですが、昨年の「ザ・コーヴ」の上映にも右の人たちが抗議にやってきました。
『創』編集部は鷹揚なので、上映中止を求めるビラは自由にまいてもらい、むしろ一緒に議論しようと呼びかけたところ、何と終了後の打ち上げに彼らがやってきて、酒を飲みながら激論を交わすことになったのでした(普通ならありえない展開ですが)。今回の映画「南京!南京!」も、一応右翼団体の抗議に備えて弁護士らが会場警備にあたったりするようですが、さてどうなることか。もちろん鈴木邦男さんらも当日は駆け付けるし、私も行ってみる予定です。時間の都合で会場からの発言時間はないようですが、映画上映と監督の講演にどんな反応が出るものか興味はあります。討論の時間がないのは残念ですが、南京事件の映画がタブー化しつつある日本の状況を考える契機にはなると思います。
まだ空席もあるようなので、関心ある人はぜひ足を運んではどうでしょうか。なかのゼロ小ホールはロビーにスペースがあるので、当日実行委員会の許可を得て、鈴木邦男さんの新刊『新・言論の覚悟』を販売する予定です。この本は、日本の言論・表現が次々と自主規制でタブーになっていく現状を批判したものですから。
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