月刊「創」ブログ

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 5月18日発売の『週刊新潮』5月25日号が大特集で『週刊文春』を告発する記事を掲載し、新聞・テレビが大きく報じるなど波紋が広がっている。17日付新聞も各紙がこれを報じているが、特に大きな見出しを打っているのは毎日新聞「新潮スクープ 文春拝借」と産経新聞「週刊文春 スクープ盗み見?」だ。この報道を見て、「え?こんなに大きなニュースなの?」と思った人も少なくないだろう。新聞・テレビがこれだけ大きく報じたのは、何といっても当該の『週刊新潮』の記事が異例の大特集だったからだ。

 2016年は劇場アニメ映画のヒットが目立った年だった。何と言ってもすごかったのが『君の名は。』で、興行収入が2017年3月21日現在で247億円。『千と千尋の神隠し』の308億円に次いで日本映画史上歴代2位の記録を打ち立てた。しかも、公開から半年たった今でも公開されており週ごとの興収ベスト10に入ったりしている。驚異的な実績なのだ。

 その後、公開されたマンガ原作の劇場アニメ『聲の形』もヒット、さらにこれもマンガ原作の『この世界の片隅に』も異例の大ヒットとなっている。『この世界の片隅に』は、これまで子どもが対象とされたアニメには難しいとされた戦争をテーマにしたもので、それがこれほどヒットしたのは、アニメをめぐるこれまでの常識を塗り替えたとも言われている。

 

 大手出版社の屋台骨を支えていると言われるコミックだが、デジタル化を含めて激変の波に襲われている。その全体像は発売中の月刊『創』5・6月号に総特集が掲載されているのでご覧いただきたいが、ここで名実ともにマンガ界のトップを走る『週刊少年ジャンプ』が直面した危機と、それを集英社がどう乗り切ろうとしているか報告しよう。

 2017年4月27日午後、参院議員会館で田原総一朗さんや小林よしのりさんらジャーナリストや作家ら14人が会見を行い、「共謀罪」法案反対を訴えた。
 発言に立ったのは、以下の各氏。
青木理、田原総一朗、岩上安身、大谷昭宏、金平茂紀、岸井成格、小林よしのり、斉藤貴男、神保哲生、田勢康弘、津田大介、鳥越俊太郎、安田浩一、吉岡忍。
 「私たちは『共謀罪』法案に大反対です」という声明を岸井さんが読み上げ、一人ひとり発言、その後質疑応答を行った。

この話、なぜ新聞があまり報じないのか不思議なのだが、出版科学研究所が2月末に発行した「出版月報」にマンガ市場をめぐる驚くべき指摘が掲載されている。これについては発売中の月刊『創』5・6月号「マンガ・アニメ市場の変貌」の総論で書いたので、それを引用しよう。
《デジタルコミックが急成長していることはこの2~3年、指摘されてきたのだが、昨年顕著だったのは、紙の落ち込みを電子がカバーしたことによって、両方をあわせた販売金額がプラスに転じたことだ。 
 出版科学研究所のデータによると、2016年のコミック市場は、紙と電子をあわせて4454億円、前年比0・4%だった。紙だけをとってみると、コミックスは1947億円で前年比7・4%減、コミック誌は1016億円で12・9%減と、落ち込みは加速している。特にコミックスの7・4%減は過去最大の落ち幅だ。ところが電子のほうはコミックスが1460億円で27・1%増、コミック誌が31億円で55・0%増。電子を加えると加えると前年比プラスに転じるだけでなく、コミックスについては過去最大の伸びになるという。
 

 2017年4月13日、「朝まで生テレビ!」30周年記念の集いが開催された。「朝生」はもちろん田原総一朗さんが司会を務める番組だが、プロデューサーを務めた日下雄一さん(故人)や、吉成英夫チーフディレクターら多くのスタッフによって支えられてきた番組だ。日下さんや吉成さんは田原さんの意向を受けながらいろいろな人たちに出演交渉や企画の相談などを行っており、私も当時親しくしていた。何度か出演依頼を受けたこともあったが、月末の金曜というのは『創』の校了日といつもぶつかり、実際に出演したことはなかった(と思う)。『創』からは鈴木邦男さんや、香山リカさん、雨宮処凛さんなどがよく出演している。名物プロデューサーだった日下さんはがんに冒され2006年に他界。病院へ見舞に行ったことも覚えている。

 4月7日夜行われた日本ペンクラブの集会「共謀罪は私たちの表現を奪う」についてはいろいろなところで報道されているが、当事者のひとりとして報告しておきたい。7日は金曜の夜だったので、国会前でも共謀罪反対の抗議行動が行われていたことを新聞報道で知った。どうりで市民グループの人たちが会場に来てなかったわけだ。

4月6日に審議入りした共謀罪法案だが、安倍政権は5月には成立をと目論んでいるようで、あと1カ月が勝負だ。反対運動も今後一気に拡大していくのだろうと思う。秘密保護法、安保法制に続く、3番目の、安倍政権と市民が真っ向から対決する闘いだ。

 一般市民は監視対象にならないと政権側は説明しているが、そんなことはありえず、これが成立すれば今後、政権を批判するような運動が壊滅的な打撃を受ける恐れがある。「平成の治安維持法」と呼ばれる、安倍政権の切り札がいよいよ登場である。

映画上映と制作関係者の会場トーク
プロデューサー 阿武野勝彦氏/監督 土方宏史氏
司会 篠田博之(『創』編集長)

「ヤクザと憲法」はテレビ放送の後に映画になった作品です。昨年公開されドキュメンタリーとしては異例の大ヒットとなりました。製作は、これまでに10作を発表している東海テレビで、昨年秋には阿武野プロデューサーと土方監督による著書『ヤクザと憲法』(岩波書店)も刊行されました。ヤクザの日常に徹底的に密着し、これまで知られていなかった彼らの生態があますところなく描かれています。まさにタブーに挑戦した取材で、萎縮と自主規制が蔓延しているテレビ界でここまで踏み込んだドキュメンタリーは特筆すべきです。今回はプロデューサーと監督をお招きして、その製作の舞台裏を伺います。同時に今のこういう作品がなぜ生まれにくくなっているのか、テレビ界の現状についても議論します。今、政府が成立をもくろんでいる共謀罪は表現の自由を大きく制限するものとして反対の声が広がっていますが、その共謀罪と表現の自由についても考えてみたいと思います。

map 4月19日(水)
18:00〜 開場
18:20〜 トーク
18:50〜 上映

会場:文京区民センター3F

入場整理券1000円(映画資料)



憲法と表現の自由を考える出版人懇談会

 1998年に発生した和歌山カレー事件で死刑判決が確定している林眞須美死刑囚の再審請求が本日2017年3月29日、和歌山地裁によって棄却された。もう20年近く前の事件なので、林眞須美さんが冤罪を主張して再審請求していたことさえ知らなかった人もいるかもしれない。眞須美さんは当然、大阪高裁に即時抗告するだろうから、再審の戦いはこれからも続くことになる。
 私は事件のあった1998年の9月初めに弁護士事務所で眞須美さんに会ってから、何度も林家を訪ね、控訴審で彼女の接見禁止が解除されてからも何度も大阪拘置所に面会に通った。恐らくきょうも眞須美さんは勝負服の真紅の衣服で決定を待ったのだろうが、高裁でも最高裁でも判決の日に着るからと頼まれて私が真紅のワンピースやトレーナーを差し入れていた。死刑確定後は面会できていないが、眞須美さんからの手紙は届いている。