トップ> 篠田博之の「週刊誌を読む」 >検察リークで「風を吹かす」

篠田博之の「週刊誌を読む」

検察リークで「風を吹かす」

 「小沢vs検察」戦争が相変わらず関心を呼んでいる。権力同士の闘いだから、どっちが勝っても手放しで喜べないのだが、今回の騒動の特徴は、その権力闘争の裏事情についてもかなりの情報が流れていることだ。特に検察のマスコミへのリークをめぐっては大きな論争が起きている。
 週刊誌は新聞・テレビと異なるスタンスをとろうという思いもあってか、『週刊朝日』2月5日号、『週刊ポスト』2月5日号など検察批判の大特集を組んでいる。そして当然検察リーク報道についても俎上に載せている。『週刊朝日』は「本誌にリークされた"検察情報"」と題して、同誌自身にも検察からリークがあった事実を明らかにした。
 そしてこの論争に、最近加わったのが、一月十八日に出所した三井環・元大阪高検公安部長だ。かつて検察の裏金問題を内部告発しようとして逆に逮捕され、服役していたのだが、この論争のさなかに市民社会に復帰。さっそく幾つもの週刊誌に登場して検察批判を展開している。
 例えば『週刊新潮』2月4日号ではこうだ。「"検察のリークだ"と批判が出ていますが、現役のときは私自身もやってましたからよく分かります。検察の中では"風を吹かす"と言うんです」。世論を味方につけるためマスコミに情報を流して「風を吹かす」。実際にやっていたという当事者が語るのだから説得力がある。
 実は三井さんは一昨年の収監時から私の編集する月刊『創』に獄中手記を連載してきた。獄中では一時生命の危険にさらされたり大変なこともあったのだが、復帰戦でいきなりこんなふうに検察と火花を散らすとは予想外だった。検察にとっては嫌な論客がまた一人、敵側に加わったという思いだろう。
 さてもうひとつ話題になっているのが、角界での貴乃花旋風。相撲協会理事選に異例の立候補を行ったのだが、その理事選直前に『FLASH』2月9日号が「流出したヤクザ"同席"写真」なるものを掲載した。一昨年夏に神戸市の祭りで貴乃花親方と暴力団幹部が同席した証拠写真というのだが、スキャンダル噴出のタイミングの良さに、逆に憶測を呼んでいるようだ。

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 検察リークで「風を吹かす」

このブログ記事に対するトラックバックURL: