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篠田博之の「週刊誌を読む」

「検察vs小沢」報道とメディアリテラシー

 「検察vs小沢」報道をめぐって論争が起きている。新聞報道が検察のリークに基づくとの批判に対して、新聞各紙は紙面で反論を展開。東京新聞のように論争そのものを検証する記事を掲載するものもある。
 週刊誌では『週刊朝日』が検察と大手マスコミ批判を展開している。1月29日号の表紙にも掲げられたジャーナリスト上杉隆氏の論考の見出しは「検察の狂気」。検察だけでなく、大手マスコミもあわせて「官報複合体」と指弾している。  
 他の週刊誌は概ね小沢批判の誌面だ。特に小沢追及を続けてきた『週刊現代』は1月30日号の表紙に「小沢逮捕の可能性」と大きな見出しを掲げている。
 「政権交代とメディア」と題して報道についての特集を組んでいるのは『週刊金曜日』1月22日号だ。「ここで重要な鍵となるのは、人びとのメディアリテラシーだ」と説くのは山中速人・関西学院大教授。「政権交代後、人びとのメディアリテラシーが一段階進んだというたしかな感触がある」という。
 「テレビは検察の情報スピンに同調して首相と政権党の幹事長の金の問題を延々と取り上げているが、人びとは、当該の二人に対する批判と政権に対する支持とを区別しているように見受けられるからだ」
 検察に依拠した報道と同時にそれを批判する情報も流れるという状況が、人びとのメディアリテラシーを鍛えているというのだ。特にネット上に検察やマスコミ批判があふれている事は重要だと、これは『週刊朝日』で上杉氏も指摘していた。
 前出『週刊金曜日』では元共同通信記者の青木理氏の論考も読み応えがあった。大手紙司法担当デスクのこういう証言が紹介されている。「いつもに比べて検察からのリークが明らかに露骨」「世論とメディアを味方につけたいという検察側の意思をプンプンと感じます」
 この論争、メディアの多様化が多様な言論を作りだしていることの象徴で、興味深い。
 もうひとつ『週刊朝日』1月29日号で話題になったのが、愛知県の歯科医師のインプラント使い回し告発のスクープだ。内部告発に基づく調査報道だが、労作だ。

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