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篠田博之の「週刊誌を読む」

朝青龍暴行事件をめぐる不可解(2月10日掲載)

 角界が大揺れだ。特に朝青龍の突然の引退は大きな衝撃だった。
過去の様々なトラブルが背景にあってのことだから仕方ないとも言えるが、今回の暴行事件についてはどうも釈然としない。事実がどうだったのか明らかになっていないのだ。
 発端は一月二十二日発売の『フライデー』2月5日号だった。初場所の最中である一月十六日早朝、泥酔した朝青龍が知人に暴力をふるいパトカーが出動する騒ぎになったという記事だった。直後に暴行を受けたのは自分だと朝青龍の個人マネージャーが名乗り出、騒動は「内輪もめ」で終息するかに見えた。
 ところが一月二十八日発売の『週刊新潮』が、それは嘘だとすっぱ抜いた。殴られたのは事件当日、朝青龍が飲んでいたクラブの責任者で、しかもケガも鼻骨骨折とひどいものだったというのだ。見出しも「水商売男性の鼻骨を叩き折った『朝青龍』」とセンセーショナルだった。
 被害者は一般人で、マネージャーとの内輪もめというのは隠蔽を図った嘘だったというこの露見が朝青龍には大きな打撃となった。逆風が吹き荒れ、ついに引退という事態に至った。ところが、その週の後半に発売された週刊誌では、実は事件はもっと複雑だったことが暴露されている。
 「金額偽装!『朝青龍』黒い示談の裏側」(週刊新潮2月11日号)「朝青龍事件『示談金2000万円の闇』(フライデー2月19日号)などによると、被害男性は、朝青龍側が当初提示した示談金一千万円を三千万円でなければだめだ、と突っぱね、た。金額の折り合いがつかないまま、被害者は二十五日、麻布署へ被害相談に訪れた。    
 結局、二十九日に示談は成立するのだが、示談書では示談金百万円と書かれているが、週刊誌によると、本当は千五百万円とも二千万円とも言われる金が動いたという。この話が本当だとしたら、騒動そのものが金銭交渉と連動していたことになる。交渉に暴力団関係者が関わっていたとして警察も関心を寄せているという記述もある。
 もうひとつ角界の話題は、貴乃花親方の予想外の相撲協会理事当選だ。改革を求める気運が広がっていることを示した、いい話だ。
(月刊『創』編集長・篠田博之)

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