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市橋達也容疑者逮捕!両親の会見に賛否

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 あれ?と思った。『フライデー』12月4日号に掲載された市橋達也容疑者の両親の顔にモザイクがかかっていたからだ。十一月十日、市橋容疑者が逮捕された日、自宅前で行われた会見の写真だ。
 翌日の会見からは両親の顔は写らないようになったのだが、最初の十日の会見はテレビでもそのまま放送された。顔を出して、はっきりと言うべきことは言う。そういう意思が示された会見だった。
 翌日から顔が出せなくなったというのはつまり、当初の両親の意思を押しつぶすような風圧がかかったということだ。十日の写真にもその後はモザイクがかかることになった。
  「あなたはどう思う? 医師両親会見への疑問」という記事を載せたのは『女性セブン』12月3日号だ。賛否両方の意見が紹介されている。支持を表明したのは精神科医の香山リカさんだ。
  「医師という職業からも、親の立場からも、説明責任を果たさなければという気持ちが強かったのでは。カメラの前で加害者側が話すことは相当の覚悟と決意を必要とします。あえて会見したことは評価すべきです」
 一方、神戸連続殺傷事件の被害者家族のひとりはこうコメントしている。「謝ってはおられるんですが、なにか息子を突き放していて、本当に"申し訳ない"という思いが届いてこない」
 記事には、会見後に両親への中傷がネットにあふれ、以後顔を出せなくなったと書いてある。母親は夕刊紙の取材に「恐ろしくて外にも出られなくなっ た」と答えたという。
 『女性自身』12月1日号によると、母親は逮捕の十日から明けた深夜二時半、以前取材に応じた編集者に電話をかけてきてこう言ったという。「私は息子に『自分が正しいと信じたことは、人から何を言われようとその道を行きなさい』と、そう言い聞かせて育ててきました」
 人から何を言われようと信じた道を行く、というのは、自分に言い聞かせていた言葉だったのかもしれない。一夜明けてその信念を揺らがせるほど、風圧は大きかったということか。息子に代わって、両親が謝罪し、泣き崩れる。そんなシーンを「世間」は期待したのかもしれない。 (月刊『創』編集長・篠田博之)

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