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篠田博之の「週刊誌を読む」

酒乱大臣と馴れ合い!? 日本メディアの報道後手

 中川昭一前財務相の酩酊会見の映像は衝撃的だった。最初は風邪薬のせいとされた言い訳も次々と破たんし、以前から酒乱で有名だったという行状が次々と暴かれている。『フライデー』3月4日号には、ローマへ向かう機内で既に中川氏は「小瓶のワインを、到着までに10本以上空けていたようです」と書かれている。
 『週刊文春』2月26日号には、昔の中川氏のこんな話も載っている。「担当記者との懇親会で、中川氏はビールのジョッキにウイスキーをドボドボ入れて飲んでいました。『これはバクダンと言ってね。韓国の要人と飲んだときに出されて参ったよ』と言いながら、記者たちにもバクダンを勧めていました」

 これは元番記者の証言なのだが、この記事には少し気になることも指摘されている。今回の一件について日本のメディアの反応が遅かったというのだ。        
「一般紙が報道したのは、AP通信が世界中に中川財務相の『居眠り』を配信した後。民放ではテレ朝の報道をきっかけに会見映像を流し始めた。なぜ、すぐに報道されなかったのか」
 中川氏の酒乱は既に記者の間では周知のことで、「またか」と受け止められた。これまで政治記者たちが「中川氏の奇行をいわば黙認してきた」ためだというのだ。テレビで見て皆が仰天したあの光景を会見中記者が誰も指摘しなかったのも、普段の会見がいかに馴れ合いで行われているかを示すものだということになる。だとすると、本来権力の監視役であるはずのメディアの問題点も、今回の騒動は浮き彫りにしたといえるかもしれない。

 さて四週にわたった『週刊新潮』の告白手記「私は朝日新聞阪神支局を襲撃した!」が2月26日号で終了した。結局、手記の信憑性はわからないままだが、『週刊ポスト』2月27日号が興味深い記事を載せている。
「ああ驚いた!小社にも届いていた『朝日新聞襲撃告白』の手紙」と題するもので、二年前、同誌にも同じ人物から同じ内容の手紙が届いていたというのだ。同誌は検討のうえ掲載を見送ったというのだが、真犯人を名乗るこの人、いろいろな媒体に手記を持ち込んでいたらしい。

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