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篠田博之の「週刊誌を読む」

スクープ 新聞が”横取り”?/農相事務所費問題・発売直前に報道/

「本誌は発売日の前週 にその一部が刷り上がり、マスコミを中心に業界関係者の目に触れることになる。7月7日にこの問題を大々的に報じた『日経新聞』朝刊を始め、新聞やテレビは事前に記事を”閲覧”し、これを参考に取材をして記事を作成した疑いがきわめて強い」

『週刊現代』7月28日 号がそう書いている。赤城徳彦農水大臣の事務所費問題は、日経新聞のスクープで火がついたとされているのだが、実は『週刊現代』が以前から取材を行い、七月九日発売号で報道を予定していた。ところがその直前に新聞・テレビが大報道を展開。同誌は記事を事前入手した新聞社がスクープを横取りしたのではないかと疑っているわけだ。これはありえないことではないが実証は難しい。 締切から発売までタイムラグがある週刊誌の場合、この問題は以前から悩みの種だった。例えば七月十七日発売の『FLASH』7月31日号「人気歌姫10億円豪邸からの引っ越し現場を発見撮!」も本来なら大スクープだった。浜崎あゆみが七月六日に自宅から引っ越していく模様を撮影、掲載したのだが、なぜ浜崎が突然引っ越したのか。真相が判明したのは十三日だった。浜崎がホームページで「突然ですがっ、恋人とお別れしましたあ」とTOKIOの長瀬智也との破局を発表したのである。

 その破局について報じた『週刊文春』7月26日号で、芸能デスクがこう語っている。「実はふたりが同棲していたマンションから、あゆが引っ越していく現場を写真誌『FLASH』に撮られたんです。十七日発売号に掲載されると知ったあゆと所属事務所エイベックスが、先手を打って十三日に発表したというわけです」。週刊誌に何かを嗅ぎつけられた芸能人が、発売前に自ら事実を公表してしまう例は多い。 最近、週刊誌がスクープを放っても部数に反映しないとよく言われる。記事が発売直前に業界に出回り、発売日までに新聞・テレビが一斉に報道してしまうのだ。週刊誌にとっては難しい時代といえよう。
 そういえば前出『週刊文春』の目玉は「『段ボール肉まん』摘発ビデオは謀略か」。発売日十九日の前夜に肉まん映像が捏造だったという衝撃の発表があったのだが、記事はそれを想定していない。発売直前のこういうどんでん返しには編集部も胃の痛くなる思いをしているに違いない。
(月刊『創』編集長・篠田博之)

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