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篠田博之の「週刊誌を読む」

白鵬“綱獲り”八百長疑惑/角界揺るがす愛人告白テープ

 モンゴル出身の白鵬が 横綱に昇進。テレビではこれまでの苦労話がもっぱら美談として報じられているのだが、そんなタイミングに合わせるかのように『週刊現代』がすさまじいスキャンダルをぶち上げている。題して「白鵬”綱獲り”『八百長告白テープ』」。

 第一弾が掲載された6月2日号ではこんなコピーが躍っていた。「高額訴訟を乱発する日本相撲協会よ、これが本誌の答えだ!」。同誌の大相撲八百長疑惑報道に相撲協会が計七億以上の損害賠償を求める提訴を行ったことは知られているが、それをひっくり返すようなスキャンダルだ。 

  白鵬の師匠である宮城野親方が五月十一~十二日に愛人とされる女性と都内のホテルに宿泊したのだが、その二人の会話が九時間以上も録音されていたという。しかも女性は会話の中で八百長工作について細かく尋ねており、宮城野親方が昨年七月の名古屋場所で白鵬の綱獲り工作のために複数の力士に計九百万円を払ったなどという話を引き出している。『週刊現代』の記事は、その会話の詳細を報じたものだ。

 同誌6月9日号の第二弾で、女性は坂本直子という本名と顔写真を公表しているのだが、宮城野親方が金親というシコ名で幕下だった二〇〇一年に出会い、プロポーズも受けたという元恋人だ。ところが、幕内にも上がれず引退した金親が、所属していた北の湖部屋の意向で宮城野部屋へ婿入りをするという、部屋同士のいわば政略結婚が行われた。

 それによって宮城野部屋を継いだ親方は、しかし「三年我慢してくれ」などと言いながら坂本さんとの交際も続けていたという。今回、坂本さんはそういう宮城野親方との関係を清算し、再出発を図るために、テープを週刊誌に提供したのだという。女性としての決意を込めたリベンジ(復讐)である。

 この間、白鵬の育ての親として、宮城野親方でなく熊ケ谷親方がテレビに登場しているが、この二人の関係を含め、角界の構造に根ざした話は複雑だ。それを解説した『週刊文春』6月7日号によると、『週刊現代』のスキャンダルによって宮城野部屋では今、お家騒動が起きているという。

 週刊誌の報道が事実なら、横綱白鳳誕生の背景に生々しいドラマがあったわけで、本当は美談だけでなくそっちも報じるべきだと思うのだが、八百長報道が訴訟沙汰になっているとあっては、やはり難しいのだろうか。(月刊『創』編集長・篠田博之)            

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