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篠田博之の「週刊誌を読む」

メディア主導の「熱」に陰り/亀田興毅選手の再選延期

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 十月十八日に予定されていたボクシング「亀田興毅vsランダエタ」再戦が、亀田のケガで急きょ中止となったのは周知のこと。あまりに突然のことだったため、週刊誌はこの決定の裏に「疑惑あり」と書き立てている。 

『週刊現代』10月21日号「亀田興毅『再戦中止』全真相」は「負けを恐れた亀田陣営が敵前逃亡した可能性は否めない」と指摘。また『週刊ポスト』10月20日号「亀田興毅『再戦延期』の裏にハシゴをはずした『TBSの逃げ足』」は、一連の騒動でスポンサーの評価も下がり、「TBSは明らかに『亀田ビジネス』から逃げ始めたように見える」と、背後事情を推測している。

 そのあたりの真偽はヤブの中だが、それらの記事を読んでいて驚いたのは、一時あれほど熱狂的だった亀田フィーバーが急速に冷めつつあるらしい現実だ。前出『週刊ポスト』記事によると、亀田再戦中止の影響について観戦ツアーを企画していた旅行代理店はこう言ったという。
 「幸か不幸か、今回の募集で集まったのは、仙台と大阪のバス観戦ツアー(料金2万3900円)のお客様が各1名だけでしたので、払い戻しも簡単でした。複雑な気持ちです」。

 中止になって混乱どころか、観戦ツアーが閑古鳥状態だったというのだ。
 
『FLASH』10月24日号記事の見出しは「チケットがさばけず…ブームに陰りが見えた亀田一家」。前回の世界戦は一万七千枚のチケットが即完売したが、今回は五千枚程度しか売れていなかったと書いている。

 亀田バッシングを続けている週刊誌の見方だから多少割り引いてみる必要はあるにせよ、亀田ブームが冷え込んできているのは事実らしい。ブームを支えていたのが若い女性だったから、一連の騒動によるイメージダウンが大きかったのかもしれないが、それにしても…。メディア主導と言うべきあのブームは何だったのかと思う。

 さて前回少し触れたテレビ朝日の一億五千万不正支出問題だが、局側が幕引きをはかっているにもかかわらず、週刊誌で次々と追及記事が掲載されている。「テレ朝懲戒解雇プロデューサーは私の前で土下座した」(週刊ポスト)「テレ朝タカリプロデューサー 万札を床にバラ撒(ま)き、お前ら拾え!」(FLASH)。

 大物プロデューサーのカネにまつわる疑惑は昔からあった。テレビ界のこの体質は変わらないものなのだろうか。

東京新聞 2006.10.16掲載/メディア批評誌「創」編集長・篠田博之

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