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篠田博之の「週刊誌を読む」

突如起こった「なでしこフィーバー」の異常な過熱

 コラムニストの酒井順子さんが、『週刊現代』8月13日号に「なでしこの憂欝」と題してこう書いている。

「たとえば、朝の情報番組『とくダネ!』では、選手達に○と×の札を渡して色々な質問に答えさせていたのですが、その中には『恋人はいますか?』というものも。さらには、『いない』と答えた人達に『恋人が欲しいですか?』という質問にまで、答えさせているのです」「これが男子の日本代表サッカーチームの選手に対してであれば、同じ質問をしたでしょうか」

「とくダネ!」は一例として挙げられただけで、問題にされているのは、なでしこジャパンについてのマスコミの取り上げ方だ。  

もっと辛辣なマスコミ批判をしているのは"サッカー界のご意見番"評論家のセルジオ越後さんだ。『SPA!』8月2日号でこう発言している。「メディアはなでしこの人気があるうちに骨までしゃぶりつくす気です。数字がとれれば何でもアリで、しかも売れる素材にもかかわらずロイヤリティ(権利使用料)はタダだから、こんなおいしい話はない」

にわかに起きた"なでしこフィーバー"はいささか過剰ともいえる状況で、選手たちにも様々な影響を及ぼしているようだ。『週刊新潮』8月1118日号によると、練習の行き帰りに選手たちを追尾して自宅までつきとめる"にわかファン"もいて、困った事態になっているという。澤穂希選手もセキュリティのしっかりしたマンションに引っ越さざるをえなくなったという。

横並び意識の強いメディア界は、一度ブームが起きてしまうと、これでもかとばかりひとつの話題を増幅させ、あっという間に消費していく。先日、市川海老蔵主演の映画「一命」の試写を見て思ったのだが、あの昨年の海老蔵騒動など今や遠い昔の出来事のようだ。

さて週刊誌は各誌、夏の合併号でワイド特集が多い。政治家の女性スキャンダルや、元オウム教団幹部で最近脱会したという村岡達子さんの話など、ネタをよく拾っているという点で『週刊新潮』が面白い。九電やらせ事件への佐賀県知事の関与を執拗に追及している『AERA』の取り組みも拍手ものだ。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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