月刊「創」ブログ
『名探偵コナン』ブームはどこまで行くのか?映画もマンガも記録更新の予想
劇場アニメ『名探偵コナン 紺青の拳』が4月12日に公開され、大ヒットとなっている。2018年公開の『ゼロの執行人』が91・8億円の興収をあげ、邦画興収年間ランキングでぶっちぎりのトップになったのだが、今年の初日動員数が昨年を上回ったとかで、もしかして100億円突破も夢でないのではと言われている、この数年間、『名探偵コナン』は毎年、記録を更新し、昨年は2017年の興収68・9億円から大きく飛躍しただけに、その勢いでいけば100億円突破もあり得るというわけだ。
もちろん昨年は安室透というキャラクターが大ヒットの要因だったとされているのだが、作者の青山剛昌さんは最近の雑誌『ダ・ヴィンチ』5月号のインタビューで「安室はなんであんなに人気が出たのか正直わからないんだけど」と言いつつ、今年のキャラクター怪盗キッドも「自分でも納得」している出来だと答えている。
この春はマンガ原作の実写映画『キングダム』を含め、映像化で期待されているマンガやアニメが目白押しだが、この『名探偵コナン』についても、原作を刊行している小学館は熱い期待を寄せ、驚くような大きな取り組みを行っている。昨年後半以降、映像化が原作のマンガの売れ行きに跳ね返る動きが続いていることも背景にある。
4月7日発売の月刊『創』(つくる)5・6月合併号で「マンガ・アニメ市場の変貌」という大きな特集を掲げ、マンガ・アニメのコンテンツビジネスの動向をレポートしているのだが、その中で取り上げた小学館の『名探偵コナン』やその関連商品の動きについてここで紹介しよう。
映画『名探偵コナン』の公開にあわせて、『週刊少年サンデー』は表紙に「4月12日公開!」と謳ってコナンを大きく取り上げているが、増刊の『少年サンデーS(スーパー)』ではコナンのスピンオフ作品『犯人の犯沢さん』を表紙に、そして『ゲッサン(月刊少年サンデー』では青山剛昌さんとあだち充さんのコラボ表紙と、雑誌をあげて『名探偵コナン』をアピールしている。単行本のコミックスも、映画公開に合わせて『名探偵コナン』だけでなく、スピンオフ作品の『犯人の犯沢さん』『ゼロの日常(ティータイム)』も最新刊を発売している。
『週刊少年サンデー』を擁する小学館第二コミック局の縄田正樹チーフプロデューサーがこう語る。
「『週刊少年サンデー』編集長は『名探偵コナン』の連載がスタートした時期に続く"第2次コナンブーム"と言っていますが、確かに『名探偵コナン』のコミックスだけでなく、スピンオフ作品の『犯人の犯沢さん』『ゼロの日常(ティータイム)』も非常によく売れています。
昨年は、『週刊少年サンデー』で特集を組んだり付録を付けたりすると非常によく売れて、金額ベースでは対前年で微増になりました。今はマンガ雑誌がどこも対前年マイナスですから、特筆すべきことだと思います
そのほかにもムックやノベルス、辞書などもコナン絡みで刊行されたし、『日本史探偵コナン』という歴史マンガも出ました。いずれもよく売れています」
2018年は『ゲッサン』創刊の目玉だったあだち充さんの野球マンガ『MIX』が、日本テレビ系でアニメ化されて人気が加速したが、今回、『名探偵コナン』の映画公開にあわせて、『ゲッサン』では、あだちさんと青山さんの対談を掲載。表紙でも両作品がコラボしている。
小学館ではもうひとつ、『ビッグコミック』連載のかわぐちかいじさんの『空母いぶき』の実写映画が5月24日に公開予定だ。映画公開へ向けてコミックスの1・2・3巻をシュリンクして1巻分の値段で販売するというキャンペーンを行うなど、こちらも期待が持たれている。
映画との連動が、マンガの売れ行きにどのくらい跳ね返るか。この春の動きは非常に興味深い。
※月刊『創』5・6月合併号 特集「マンガ・アニメ市場の変貌」
[ http://www.tsukuru.co.jp]
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