トップ> 月刊「創」ブログ > 三田佳子二男逮捕の衝撃

月刊「創」ブログ

三田佳子二男逮捕の衝撃

 11月15日に高橋祐也君が覚せい剤所持で逮捕されたことで、16日にはマスコミからの電話が編集部に殺到しました。半分は私、『創』編集長・篠田への取材依頼や問い合わせ、あと半分は創出版から刊行されている祐也君の著書『YUYA』を入手したい、あるいはテレビで映したいという許可依頼でした。ほぼ全局のワイドショーから電話が来たと思います。
 その日夕方には三田佳子さんが記者会見を開き、息子・祐也君の現状についてかなり踏み込んだ説明を行いました。今年1月には精神病院に入院していたことまで明らかにしたのですが、これは私にとっても衝撃的なことでした。私は祐也君の最初の逮捕以降三田さんの家族と深く関わり、特に2回目の逮捕以降は、彼の更生のために家族や弁護士と一緒になって尽力してきました。その苦闘の過程をまとめたのが『YUYA』ですが、この本をまとめる時には、2カ月間ほど祐也君と一緒にウイークリーマンションに寝泊りして彼をサポートしたものです。
 その後、芝居や映画、そして歌手デビューと、一時は祐也君も順調に更生への道を歩みだしたように見えたため、この1~2年は時々電話で話すくらいであまり密に会ったりする関係ではありませんでした。それが今回、1年ほど前から鬱病に陥り、入院までしていたことを聞かされたわけです。どうやら「死にたい」と言って自殺願望も出ていたようで、入院はそれに対する緊急避難だったようです。恐らくその過程で再び薬物依存の状態にもなってしまっていたようです。
 今年1~2月の入院後、祐也君は東南アジアの知人のもとで仕事に就いて心機一転巻きなおしをはかっていました。マスコミではタイと言われ、薬物のために行ったのでは、などとされていますが、これは誤報で、行っていたのはタイではありません。その国から私に電話もかけてきたのですがやはりなじめなかったようで「早く日本に帰りたい」と言っていました。帰国後、やはり精神状態は安定せず、11月19日からは入院する手配を親が進めていたようで、その矢先に逮捕されてしまったわけでした。
 この1~2年、祐也君とは電話やメールで何度もやりとりし、近々ぜひ一緒に飲もうと約束したのに、私の方が多忙で約束を先延ばしにしていました。今思うと本人なりに悩んでいて相談したいと思っていたようで、力になってやれなかったことが残念でなりません。一時は順調かに見えた仕事もパッとせず、もう27歳になりながら今だに親のすねをかじってフリーターと続けることに思い悩んでいたようでした。芸能界は甘くないから芽が出ないのは不思議ではないのですが、彼の場合は、いわば更生を社会に誓い、家族や周囲にも誓って努力を重ねてきたわけで、それがうまくいかないまま年をとっていくことがプレッシャーになっていたと思われます。
 鬱病がそうした精神的屈折によるものと、もうひとつ指摘されているのが薬物の副作用にもよるのではという見方ですが、このあたりはまだはっきりとわかりません。今はまだ接見禁止ですが、それが解除されたらすぐに私も接見するつもりです。
 そうした過去の経緯があったため、私のところへいくつかのテレビ局から出演依頼があり、17日午前にテレ朝の「サタデー YUYA1.jpgスクランブル」に生出演したのを初め、日テレ「スッキリ!」、テレ朝「ワイドスクランブル」、TBS「2時っチャオ!」などにVTR出演(収録分はいずれも19日放送)しました。
 三田さんは会見で憔悴しきった様子で自分がいかに母親失格だったかを吐露しましたが、近々幕開けの舞台はきちんとつとめると宣言しました。息子といっても祐也君はもう成人だし、親が仕事をやめる理由は全くなく、当然のことと思います。17日の私が出演した番組を見た『創』連載陣の一人マッド・アマノさんからさっそくメールがあって、子供の不祥事で親が世間にこんなふうに詫びること自体日本独特で欧米ではありえないことだ、と書いていました。
 記者会見での記者の質問やその後のテレビでの報道を見ていると、不正確な事実をことさら拡大してあれこれスタジオで話しているアナウンサーやコメンテイターの発言がいささか気になりましたが、まあこれはいつものことなのでしょう。『YUYA』についても会見で質問が出て、女性記者が「あの手記はお読みになりましたか?」と訊いてました。読んだどころか、あの本は家族総がかりでまとめ   たようなもので、タイトルの『YUYA』も三田さんの案です。
YUYA2.jpg 『YUYA』についてはアマゾンなどで注文をしたり、問い合せてくる人もいますので、ここに書いておきますが、まだ在庫はありますので、入手可能です。祐也君が自分についてかなり赤裸々に書いていて、第1章などこのまま出版してよいのか、と家族の側が心配したほどでした。この何年間か、祐也君本人と家族がどんなに苦労しながら更生のために苦闘したかはこの本を読むとわかります。その結果が今回の逮捕という形で、家族の側の敗北に終わってしまったことは残念でなりませんが。 (文責・篠田博之)

日野不倫殺人事件の24年目の現実

1993年12月、日野市のアパートが放火され、子ども2人が焼死した。逮捕された北村有紀恵さんは無期懲役の判決を受け、服役中だ。その彼女の置かれた現実を通して贖罪について考える。
200円(税込)

2018年5・6月号 マンガ市場の変貌


試し読み

ご購入はこちら

紙版

電子版

◆『コロコロコミック』『ちゃお』

 児童誌のゲーム、アニメとの連動

◆『ジャンプ』『マガジン』『サンデー』
 少年マンガ誌三者三様の行方

◆集英社が『マンガMee』立ち上げ 
 女性マンガの映像化とデジタル化

◆『空母いぶき』『キングダム』など期待作が
 実写映画で青年マンガに期待

◆LINEマンガ含め各社のデジタルコミックの現状は
 拡大するマンガのデジタルとライツ

◆フジテレビ、テレビ東京のアニメ戦略とは...
 アニメ市場拡大とテレビ局アニメ戦略

◆『「なろう系」と呼ばれるweb上の小説のコミカライズ
 コミカライズとKADOKAWAの戦略

◆「海賊版」をめぐる迷走の内幕
 「暴走」の末に頓挫した海賊版対策......川本裕司


◇寝屋川中学生殺害事件被告手記(続)
 死刑を宣告された私の近況と逮捕をめぐる経緯......山田浩二

◇『DAYS』性暴力事件をめぐる経過報告
 『DAYS JAPAN』広河隆一さんの性暴力問題を考える......篠田博之

◇被害から25年目の今、性犯罪受刑者との対話を望む
 性暴力被害者の私が、なぜ加害者との対話を求めるのか......にのみやさをり

◇同性愛差別が続く社会で起きた事件と波紋
 一橋大学アウティング裁判が社会に投げかけた問題......奥野斐




トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 三田佳子二男逮捕の衝撃

このブログ記事に対するトラックバックURL: https://www.tsukuru.co.jp/mt/mt-tb.cgi/2694

コメントする