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日石・土田爆弾事件「40年目の真実」に関する話題

 40年間も迷宮入りになっていた1971年の日石・土田爆弾事件の実行犯が名乗り出た本『40年目の真実』(創出版刊)が、地方紙などで大きく取り上げられ、話題になっている。共同通信の配信によるものだが、記事には書名も版元名も載っていなかったため、ネットで「書名は何か」と書いている人もいる。ここでその共同の記事と、ヤフーニュースにアップされた著者インタビューを紹介しておこう。
詳しくは本を読んでもらうのが一番だが、一時は捜査が真犯人の身辺まで迫りながら、関係ない元活動家らを逮捕したことで冤罪事件が作られ、その無実の人たちを自白のみで起訴した。それによって真犯人周辺への捜査が打ち切りになり、真相解明は40年間、この本が出るまで闇の中に閉ざされたわけだ。警察が冤罪を作り上げる構造や、それによって真相がどんなふうに闇に葬られるか、さらに見込み捜査で進められる公安捜査の実態など、この本はいろいろなことが読み取れる興味深い内容だ。

ヤフーニュースにアップされた著者インタビューは、月刊『創』4月号に掲載された記事の全文で、「間もなく出版」などとと書かれているが、これはもちろん既に発売している『40年目の真実』のことだ。下記へアクセスすれば全文が読める。http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110608-00000301-tsukuru-soci

共同通信の配信内容は、地方紙によっては相当大きな記事になっている。一問一答のインタビューに応じているのは本の中で「川原」という組織名で登場する爆弾事件の実行責任者だ。こんなふうにマスコミに登場するのは事件以来初めてのことだ。

「戦旗派が実行」書籍出版  40年前の土田邸爆破事件 
 東京都豊島区の土田国保(つちだ・くにやす)・警視庁警務部長(当時)宅で
1971年12月、小包が爆発し妻が死亡した土田邸爆破事件は、過激派の戦旗
派元活動家の男らが起こしたとの内容の書籍を、同派関係者が28日までに出版
した。
 男は共同通信の取材に「リーダーとして関与した」と説明し、同年10月に日
本石油本社ビル地下郵便局で小包が爆発した日石事件も「自分たちが実行した」
と話した。
 両事件では、赤軍派系の活動家とされた男性ら11人が73年に殺人罪などで
起訴されたが、85年12月までに全員の無罪が確定した。警視庁幹部は「警察
としては結論が出ている事件で再検証する考えはない」としている。
 同派関係者や男によると、戦旗派の「非公然部門」として男女6人が、71年
夏ごろから東京都世田谷区のアジトで生活。山梨県のゴルフ場で盗んだ除草剤と
砂糖を混ぜるなどして爆弾を作った。
 日石事件は当時の警察庁長官らを狙ったが、メンバーの女性が郵便局に届けた
直後に暴発。土田邸の爆弾は東京・秋葉原で購入したマイクロスイッチを使って
改良し、小包として郵送した。
 動機は、70年12月に東京都板橋区の交番を襲撃した犯人が射殺された際、
土田部長が「正当な職務行為」と発言したためとしている。
 男は、家族の死傷は想定外だったとする一方で「当時は正しいと思っていたが、
今は自分の中で整理が付かない」とも説明。事件について語った理由は「時効が
成立し、真相を記録に残そうと考えたため」としている。
 戦旗派は60年安保闘争の中核だった共産主義者同盟(ブント)の分派で、69年に赤軍派と分裂。80年代に度々ゲリラ事件を起こした。

非公然部門が爆弾作った 
 戦旗派元活動家の男との一問一答は次の通り。
 ―土田邸爆破事件と日石事件は誰の犯行か。
 戦旗派の非公然部門が実行した。リーダーの自分を含む男女6人が、除草剤と
砂糖を混合して小包爆弾を作った。
 ―土田警務部長を狙った理由は。
 ちょうど1年前に起きた交番襲撃事件で、警官が活動家を射殺した際に「正当
な職務行為」と発言したからだ。
 ―妻子が死傷した結果をどう思うか。
 家族が小包を開けたのは想定外だった。爆弾の威力がそれほど強力だとは思わ
なかった。当時は正しいと思っていたが、今は自分の中で整理が付かない。
 ―事件後の動きは。
 上層部が非公然部門の解散を決め、6人は海外へ渡ったり、配置換えや追放に
なったりした。爆弾の材料は処分した。
 ―今になって犯行を認めたのはなぜか。
 時効が成立し、真相を記録に残そうと考えた。

 ※日石事件と土田邸事件 1971年10月18日、東京都港区の日本石油本社
ビル地下郵便局で当時の後藤田正晴(ごとうだ・まさはる)・警察庁長官と今井
栄文(いまい・よしふみ)・新東京国際空港公団総裁宛ての二つの小包が爆発し、
職員1人が重傷。同年12月18日には東京都豊島区の当時の土田国保(つちだ
・くにやす)・警視庁警務部長宅で、歳暮を装い郵送された小包が爆発、開けよ
うとした妻民子(たみこ)さん=当時(47)=が死亡、四男が重傷を負った。

 ※戦旗派 早大の学生活動家だった故荒岱介(あら・たいすけ)氏が最高責任者
を務めた新左翼組織。70年安保闘争や成田空港建設反対闘争に取り組み、19
80年代には飛行弾などを使ったゲリラ事件を度々起こした。日本共産党から分
離して58年に結成された共産主義者同盟(ブント)の分派で、後に日本赤軍や
連合赤軍となる赤軍派と69年に分裂した。

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