トップ> 月刊「創」ブログ > 創出版: 2011年6月アーカイブ

創出版: 2011年6月アーカイブ

鈴木邦男さんの新刊『新・言論の覚悟』が創出版より発売になりました。右翼から左翼まで総登場するうえに、映画『靖国』『ザ・コーヴ』上映中止事件など、この何年か言論をめぐる最もホットな現場の話が書かれています。その発売を記念して、7月6日に阿佐ヶ谷ロフトAで激論イベントを開催します。布川事件の杉山卓男さんから連合赤軍元メンバーまで、事件当事者が勢ぞろいしますのでぜひおいでください。超豪華出演陣でかつ会場の定員が100人強なので満席が予想されます。確実に座席を確保したい方は、事前予約をお勧めします。予約は阿佐ヶ谷ロフトAのホームページから http://www.loft-prj.co.jp/lofta/

7月6日(水)夜、阿佐が谷ロフトA(阿佐ヶ谷駅南口徒歩10分) ☎03-5929-3445
【出演】鈴木邦男(一水会顧問)【Guest】森達也(作家)/綿井健陽(ジャーナリスト)/杉山卓男(布川事件冤罪被害者)/大浦信行(監督)/植垣康博(元連合赤軍メンバー、以下同)、雪野建作、前沢虎義、金廣志/他論客多数【総合司会】篠田博之(『創』編集長)

第1部(19時半~)「靖国」「ザ・コーヴ」上映中止事件
【Guest】森達也(作家)/綿井健陽(ジャーナリスト)他

第2部(20時20分~)冤罪事件を考える
【Guest】杉山卓男(布川冤罪事件元被告)/森達也(作家)/綿井健陽(ジャーナリスト)

第3部(20時50分~)畏友・見沢知廉とその映画
【Guest】大浦信行(監督)/高木尋士(劇作家)

休憩10分間(21時05分~)

第4部(21時15分~)連赤・よど号事件を振り返る
【Guest】植垣康博(元連合赤軍メンバー、以下同)、雪野建作、前沢虎義、金廣志


 

 40年間も迷宮入りになっていた1971年の日石・土田爆弾事件の実行犯が名乗り出た本『40年目の真実』(創出版刊)が、地方紙などで大きく取り上げられ、話題になっている。共同通信の配信によるものだが、記事には書名も版元名も載っていなかったため、ネットで「書名は何か」と書いている人もいる。ここでその共同の記事と、ヤフーニュースにアップされた著者インタビューを紹介しておこう。
詳しくは本を読んでもらうのが一番だが、一時は捜査が真犯人の身辺まで迫りながら、関係ない元活動家らを逮捕したことで冤罪事件が作られ、その無実の人たちを自白のみで起訴した。それによって真犯人周辺への捜査が打ち切りになり、真相解明は40年間、この本が出るまで闇の中に閉ざされたわけだ。警察が冤罪を作り上げる構造や、それによって真相がどんなふうに闇に葬られるか、さらに見込み捜査で進められる公安捜査の実態など、この本はいろいろなことが読み取れる興味深い内容だ。

ヤフーニュースにアップされた著者インタビューは、月刊『創』4月号に掲載された記事の全文で、「間もなく出版」などとと書かれているが、これはもちろん既に発売している『40年目の真実』のことだ。下記へアクセスすれば全文が読める。http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110608-00000301-tsukuru-soci

共同通信の配信内容は、地方紙によっては相当大きな記事になっている。一問一答のインタビューに応じているのは本の中で「川原」という組織名で登場する爆弾事件の実行責任者だ。こんなふうにマスコミに登場するのは事件以来初めてのことだ。

「戦旗派が実行」書籍出版  40年前の土田邸爆破事件 
 東京都豊島区の土田国保(つちだ・くにやす)・警視庁警務部長(当時)宅で
1971年12月、小包が爆発し妻が死亡した土田邸爆破事件は、過激派の戦旗
派元活動家の男らが起こしたとの内容の書籍を、同派関係者が28日までに出版
した。
 男は共同通信の取材に「リーダーとして関与した」と説明し、同年10月に日
本石油本社ビル地下郵便局で小包が爆発した日石事件も「自分たちが実行した」
と話した。
 両事件では、赤軍派系の活動家とされた男性ら11人が73年に殺人罪などで
起訴されたが、85年12月までに全員の無罪が確定した。警視庁幹部は「警察
としては結論が出ている事件で再検証する考えはない」としている。
 同派関係者や男によると、戦旗派の「非公然部門」として男女6人が、71年
夏ごろから東京都世田谷区のアジトで生活。山梨県のゴルフ場で盗んだ除草剤と
砂糖を混ぜるなどして爆弾を作った。
 日石事件は当時の警察庁長官らを狙ったが、メンバーの女性が郵便局に届けた
直後に暴発。土田邸の爆弾は東京・秋葉原で購入したマイクロスイッチを使って
改良し、小包として郵送した。
 動機は、70年12月に東京都板橋区の交番を襲撃した犯人が射殺された際、
土田部長が「正当な職務行為」と発言したためとしている。
 男は、家族の死傷は想定外だったとする一方で「当時は正しいと思っていたが、
今は自分の中で整理が付かない」とも説明。事件について語った理由は「時効が
成立し、真相を記録に残そうと考えたため」としている。
 戦旗派は60年安保闘争の中核だった共産主義者同盟(ブント)の分派で、69年に赤軍派と分裂。80年代に度々ゲリラ事件を起こした。

非公然部門が爆弾作った 
 戦旗派元活動家の男との一問一答は次の通り。
 ―土田邸爆破事件と日石事件は誰の犯行か。
 戦旗派の非公然部門が実行した。リーダーの自分を含む男女6人が、除草剤と
砂糖を混合して小包爆弾を作った。
 ―土田警務部長を狙った理由は。
 ちょうど1年前に起きた交番襲撃事件で、警官が活動家を射殺した際に「正当
な職務行為」と発言したからだ。
 ―妻子が死傷した結果をどう思うか。
 家族が小包を開けたのは想定外だった。爆弾の威力がそれほど強力だとは思わ
なかった。当時は正しいと思っていたが、今は自分の中で整理が付かない。
 ―事件後の動きは。
 上層部が非公然部門の解散を決め、6人は海外へ渡ったり、配置換えや追放に
なったりした。爆弾の材料は処分した。
 ―今になって犯行を認めたのはなぜか。
 時効が成立し、真相を記録に残そうと考えた。

 ※日石事件と土田邸事件 1971年10月18日、東京都港区の日本石油本社
ビル地下郵便局で当時の後藤田正晴(ごとうだ・まさはる)・警察庁長官と今井
栄文(いまい・よしふみ)・新東京国際空港公団総裁宛ての二つの小包が爆発し、
職員1人が重傷。同年12月18日には東京都豊島区の当時の土田国保(つちだ
・くにやす)・警視庁警務部長宅で、歳暮を装い郵送された小包が爆発、開けよ
うとした妻民子(たみこ)さん=当時(47)=が死亡、四男が重傷を負った。

 ※戦旗派 早大の学生活動家だった故荒岱介(あら・たいすけ)氏が最高責任者
を務めた新左翼組織。70年安保闘争や成田空港建設反対闘争に取り組み、19
80年代には飛行弾などを使ったゲリラ事件を度々起こした。日本共産党から分
離して58年に結成された共産主義者同盟(ブント)の分派で、後に日本赤軍や
連合赤軍となる赤軍派と69年に分裂した。

JUNKU トークセッション

2011年6月24日(金) 開演18:30 (開場18:00) @ ジュンク堂書店新宿店

『ドキュメント雨宮☆革命』『新・言論の覚悟』刊行記念
雨宮処凛 × 鈴木邦男 「ニッポンはどうなる!?」

概要
格差・貧困問題への取り組みで知られる雨宮処凛さんと、言論・社会問題で発言の多い鈴木邦男さんが、震災・原発問題に揺れるニッポンを語り、今後の行方を探ります。
お二人ともこの間、反原発デモに参加するなど、社会問題に積極的にコミットしています。雨宮さんの新刊『ドキュメント雨宮☆革命』は、この3年間ほど貧困問題などへの自分の関わりをつづったもの。鈴木さんの新刊『新・言論の覚悟』は、6月中旬発売予定ですが、映画「靖国」「ザ・コーヴ」上映中止事件などへの関わりを書いたもの。新右翼の論客とされる鈴木さんですが、近年のスタンスは文字通りリベラルで、大手マスコミが自主規制によって正面からとりあげようとしない言論に関わる問題に自ら体を張って関わっています。24日は、そういうお二人に、今の日本社会のあり方から言論状況まで、話しあっていただきます。

講師紹介(五〇音順)

雨宮処凛(あまみや・かりん)
1975年北海道生まれ。作家・活動家。若者の「生きづらさ」についての著作を発表する一方、06年から「プレカリアート」問題に取り組む。07年に出版した『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版)でJCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)を受賞。 「反貧困ネットワーク」副代表、『週刊金曜日』編集委員、フリーター全般労働組合組合員、「こわれ者の祭典」名誉会長、09年末より厚生労働省ナショナルミニマム研究会委員。著書『生きのびろ! 生きづらい世界を変える8人のやり方』(太田出版)、『反撃カルチャー プレカリアートの豊かな世界』(角川学芸出版)、『小心者的幸福論』(ポプラ社)など多数。小説に『バンギャル ア ゴーゴー』(講談社文庫)、『ともだち刑』(同)など。

鈴木邦男(すずき・くにお)
1943年福島県郡山市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。学生時代は「生長の家」学生会全国総連合(生学連)に所属し、書記長として活躍。その後、全国学協委員長。政治活動家。新右翼団体「一水会」顧問。プロレス評論家。合気道三段。柔道三段。著書に『腹腹時計と〈狼〉』(三一書房)、『言論の覚悟』(創出版)、『公安警察の手口』 (ちくま新書)、『右翼は言論の敵か』 (ちくま新書)、『遺魂』(無双舎)など多数。

 

2011年6月24日(金)開演18:30(開場18:00)
☆ 会場...ジュンク堂書店新宿店8階喫茶コーナーにて。入場料1,000円(1ドリンクつき)
☆ 定員...50名
☆ 申込受付...7Fカウンターにて。電話予約も承ります。
予約は同店 TEL.03-5363-1300 まで。