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創出版: 2009年3月アーカイブ

 バンキシャ問題の責任をとって日本テレビ社長が突然辞任。これには驚きましたね。
 何がって、その唐突さに。日テレとしてはこれでけじめをつけたいという狙いなのでしょうが、そのメッセージがきちんと伝わらず、業界でも「え?」という感じです。16日の辞任会見も、最初カメラ不許可で取材制限したら非難ごうごうで急きょ、会見をやり直すというドタバタぶり。
 私もこの件では朝日新聞社からコメント取材があり、それは17日の関西版朝刊に載ったのですが、一緒に掲載されている写真が傑作。日テレ側が取材カメラマンを実力で排除している写真を載せているんですね。これ東京版に載らなかったのは、こういうちょっとユーモラスなテイストに対する東西の受け止め方の違いによるものなのか。たぶん皆さんは、新聞が地域によってこんなに紙面が違っていることを知らないと思いますが、結構すごい違いなのですよ。
ともあれ、この日テレ問題、社長辞任でけりがつく話ではなく、近々検証番組も放送されるようですが、テレビの特に報道志望の人は絶対に注目すべきです。いったいどうしてこういうことが起きたのか、今のメディアの何が問題なのか、象徴的な事件です。
 毎日新聞志望の人は、3月15日付の同紙にドーンと掲載された「開かれた新聞委員会」の検証記事にも注目してほしい。千葉県東金市の知的障害者によるとされた事件の同紙の報道について論じているのですが、これ、月刊「創」でずっと追ってきた問題です。犯罪報道がどういう問題を抱えているのか考えるための格好の素材です。
それから朝日新聞と東京新聞が取り上げていますが、昨年末の講談社『現代』休刊に象徴されるノンフィクションの危機について考えるシンポジウムが30日に都内で開催されます。こちらは雑誌ジャーナリズム志望者にはすごくいい事例。関心のある人はぜひ足を運んでください。詳しくは月刊『創』4月号P27に載っています。参加予約と問い合わせは gendai.symposium@gmail.com へ。

 本日は私が2年間レギュラー出演した朝日ニュースターの番組「痛快!おんな組」の最後の収録(あ、リニューアルで私のコーナーがなくなるだけで番組は続きます)。収録後、スタジオで花束が渡され、中山千夏さんや永六輔さんといったそうそうたる出演者に「御苦労さま」というねぎらいの言葉をもらい、ちょっぴり感激。放送は28日夜10時からです。最終回では私のライフワークのひとつである死刑問題を取り上げました。
(「マス読」「創」編集長・篠田博之)