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創出版: 2009年1月アーカイブ

 1月14日の草薙証言で久しぶりに全国紙で大きく報道された奈良少年調書流出事件ですが、きょうは講談社の元編集長が証人出廷。被告人の医師の証言も午後行われたはずです。

 情報源の秘匿というジャーナリズムの根幹に関わる問題で、しかも最近の毎日新聞が大きく特集していたように、識者の見解が真っぷたつに分かれています。これから報道をめざす人には格好の考えるべき素材ですので、ぜひ自分なりに考えてみてください。
 但しそもそも議論の素材になる裁判の経緯は東京ではほとんど報道されていません。こういうところが今のマスコミの問題点で、議論すべき素材を提示するという役割が果たされていないのです。

 ともあれ、今回のテーマについては私自身、最初に毎日新聞に答えたコメント内容が、鳥越俊太郎さんらとともに公開されているので、まずそのサイトをご覧下さい。然る後にそれを踏まえた感想は「創」ブログに書いたので、両方をご覧ください。
毎日新聞のニュース
http://mainichi.jp/area/nara/news/20090115ddlk29040593000c.html

 報道志望の人にとって、これは非常に大切な問題です。

 異様な早さでキー局の内定が出始めた。今年はこの後、3月頃までにはキ
ー局の内定はほとんど出そろうはずだ。4月に入ると全国紙とNHKの選考
が始まるのだが、今年新聞社などが困ったといっているのは、ちょうどその
あたりに総選挙がぶつかりそうなことだ。

 選挙もそうだが、採用活動も、社員総出で行う一大イベントだから、両者
が重なると相当大変なことになる。そのため選考方法などの見直しも一部で
は検討されているようだ。

 さて1月から新聞社などの会社説明会が全国で展開される。近年は職種に
ついて理解したうえで受験してほしいと、説明会も頻繁に開催する新聞社や
テレビ局だが、新聞社と通信社の違いといったことについて知りたい人に勧
めたいのが、昨年ベストセラーとなった、幻冬舎新書の『ジャーナリズム崩
壊』だ。

 著者の上杉隆さんは、NHK報道記者からフリーになってニューヨーク・
タイムズの仕事をしていたジャーナリストだが、日本と海外の取材・報道の
違いなどを体感できる立場におり、この本にもそういう視点で書かれた記述
は多い。通信社と新聞社の役割分担の確立した欧米と比較して、日本の場合
はどうなのか。報道志望の人は一読してみることをお勧めしたい。
(篠田博之)