マスコミ就職Q&A (1)就職準備について

Q1 アナ志望にお勧めのアナウンススクールは?
Q2 マスコミでのバイト経験は選考に有利?
Q3 マスコミにおける青田買いの実態は?
Q4 OB訪問はいつ頃どんなふうにすればいいか?
Q5 OB・OG訪問はいつやれば?広告会社は、訪問が選考に直結?
Q6 大学の成績は合否に関係するの?出身大学で差は?
Q7 「職場体験」のポイントは?
Q8 雑誌編集のための勉強や準備は?
Q9 TOEICなどの資格は決め手になるか?
Q10 広告志望者がやっておくべきことは?
Q11 音大生のマスコミ就職は不利?
Q12 OB訪問のOBはどうやってみつければいいのか?
Q13 高卒で芸能プロダクションに入るには?
Q14 スポーツ関係のマスコミに入りたい。
Q15 モチベーションを上げるためにどうすれば?
Q16 編集者になるための資格や技術は?
Q17 マスコミ就職向けで読んでおく本は?
Q18 放送局のインターンシップ
Q19 秋採用の新聞社一本狙いか一般企業内定確保か?
Q20 マスコミ講座はどう選べばいい?



Q) 将来アナウンサー職を目指しています! アナウンススクールに通おうと考えているのですが、どこの学校がオススメですか?

A) すこし複雑なので、ぜひ『マス読〈1〉入門篇』を読んでいただきたいのですが、アナウンススクールは大きく分類すると、放送局主催のものと、それ以外のものに分かれます。前者は、NHK、テレ朝などのように、関連会社が運営しているものが多いのですが、日テレ、フジテレビの「アナトレ」のように局の事業部門が運営しているケースもあります。TBSはその中間というイメージです。

 それと別に局系列でないものは、東京アナウンスアカデミー、東京アナウンス学院などが有名。また地方でも、独立した元局アナがアナウンススクールを開校している例があります。
 その他、ビジネスとしてのスクールでなく局がインターンシップのような形で開催するアナウンスセミナーもあります。例えば日本テレビのアナウンスフォーラムなどがこれ。いわゆるアナウンススクールとは性格を異にするため、これについてはQ3で説明します。


Q) よくマスコミ採用で有利になるためには 、その会社でアルバイトをしておくとよいと言われますが、本当でしょうか。マスコミでバイト経験ありというのはどの程度選考で意味を持つのでしょうか。

A) これもよく聞かれる質問ですが、実はアルバイトをしていたことが採用で有利になることはほとんどありません。
 昔はそういうこともあったし、今も小さな会社の場合は、アルバイトを正社員に登用することもありますが、応募者が千人を超えるような大手マスコミの場合は、こういう個別の事情はあまり勘案されないのが普通です。
 逆に大手マスコミの場合、長期バイトが採用にあたって情実人事につながらないよう、バイトをあまり長期にわたって雇わないようにしている会社も少なくありません。
 しかも、多くの場合、マスコミのアルバイトとは、例えば放送局では出演者への弁当の手配といった雑用がほとんどで、それを何かのキャリアや経験と考えるような仕事ではありません。
 ですから、アルバイトをすれば採用に有利になるのでは、といった期待は抱かない方がよいと思います。

 ただ、それとは別に、その会社の社風や仕事について知るためには、実際にアルバイトで勤めてみるというのは非常に役立ちますので、そういう意味であればおおいにバイトに参加することをお勧めします。
 マスコミの場合、物を届けたり、コピーをとったり、資料や新聞の切り抜きといった雑用には学生バイトをあてている会社が多いのも事実です。

 それから、もうひとつ注意しておきたいのが、ここで説明したような通常のバイトでなく、放送プロダクション(番組製作会社)などで、採用を見据えてアルバイトを雇うというケースもあることです。
 放送プロダクションの場合、採用しても最初はAD(アシスタントディレクター)というほとんど雑用のような仕事ですから、アルバイトとして雇って、状況を見てから正社員にするという会社もあります。こういう採用のしかたをするのは大手マスコミではあまりありませんが、一応知っておいた方がよいでしょう。


Q) かつてマスコミ主催のセミナーは青田買いの場だったと聞きました。    
今でも正規試験と別に青田買いは行われているのでしょうか?

A)確かに就職協定が存在した時代は、マスコミはほとんどが協定を無視して早めに採用を行っていたため、採用試験と公にうたえずセミナーや講習会などと称して選考を行っていました。
 ただ、就職協定が廃止されてからは、採用試験はいつ行ってもよいわけで、わざわざセミナーなどとわかりにくい形にして選考を行う意味は基本的になくなったといえます。とはいえ、いくつか例外的にわかりにくい選考を行っている会社もあります。
 例えば、よく紛らわしいものとしてあげられるのが、キー局が夏~秋頃にかけて行っているアナウンスセミナーです。これらは基本的に採用直結ではありませんが、講師がその局の現役アナウンサーですから、特に素質を認められれば目をかけられることはありえます。その意味で採用と100%関係ないとは言えません。
 実際、受講生の一部に呼び出しがかかって、上級コースのセミナーに呼ばれることがあり、〝青田買い″ではないか、とよく噂になります。ただ、その上級コースに呼ばれた学生も、正規試験にパスしなければ内定はもらえません。採用試験をセミナーと称しただけのかつての青田買いとは違うことを認識して下さい。

 就職協定廃止とともに採用との関係が変わったのがNHK関連会社のセミナーです。NHK文化センターや放送研修センターが主催するセミナーは、かつて受講者に呼び出しがかかり、一部の者は早めに健康診断まで済ませてしまうという時代がありました。当時NHKは就職協定を遵守していたために民放と内定を出す時期が何カ月もずれ、やむをえない措置として行っていたものです。
 このほか、数年前まで有名だった博報堂のリクルーター採用と呼ばれたものもありました。エントリーした志望者にOBリストが送付され、OB訪問という形で若手社員と接触するのですが、これらの社員はリクルーターと呼ばれ、後輩学生を人事部につなぐ窓口の役目を果たしていました。ただこのシステムは、今は行われていません。


Q) OB訪問をした方がよいとよく言われますが、大学就職課で調べたところ、第一志望の会社に卒業生が誰もいないことがわかりました。どうしたらよいでしょうか。

A) これはよく聞かれる質問ですが、大手マスコミ、例えば放送キー局など、現実には大半の大学に採用実績がないし、あったとしてもごくわずかです。だから自分の大学の卒業生に限定して探してはOBは見つからないのが普通です。
 そこで知ってほしいのですが、OB・OG 訪問といってもマスコミの場合、自分の大学の先輩に限る必要はないということです。社員にたまたま大学の卒業生がいればラッキーですが、実際はそう簡単ではありません。
 OB訪問が必要だというのは、そこで実際に働いている人に直接話を聞く機会を作りなさいということです。書物やネットから得た情報と、直接そこで働いている人に聞いた話とでは、リアリティが違います。単に情報を得るというだけでなく、自分のモチベーションを高めるためにも、直接、人に会って話を聞くことが大切です。

 では、そういう社員とどうやって接触したらよいのか。実はマスコミの場合、意外とその機会は多いのです。例えば友人・知人の紹介もOKですし、様々なセミナーや講座で現役のマスコミ社員が講師を務めることも多いので、そういう人に後日改めて連絡をとるという方法もあります。極端な場合、直接出版社の編集部なりに電話をかけて編集者に「会ってもらえませんか」と交渉する就活生もいます。
 マスコミで働いている人は例外なく多忙な人たちですから、それらの方法で必ずうまくいくわけでなく、むしろ断られる方が多いのが現実です。ただ、努力と工夫をすることは大切だし、そういう交渉に成功している人はマスコミに内定しているケースが多いのも事実です。
 自分をアピールし、「この学生なら会ってみようか」と思わせる、プレゼンテーション能力の高い人は、マスコミに向いていると言えるかもしれません。

 ちなみにマス読の夏季実践講座やマス読ライブ等では、講座終了後、講師と居酒屋で懇親会を行う機会がありますが、大手出版社の局長や編集長と酒を飲む機会などめったにないことで、こういう機会をなるべく利用してほしいと思います。
 要はその人の熱意やアピール力が問われるわけで、あとは少しの工夫があれば、特別なコネがなくとも現役のマスコミ社員に会うというのは可能なのです。


Q) OB・OG訪問はいつ頃の時期にやれば よいのでしょうか。また、広告会社の場合はOB訪問が選考に直結するとも聞いたのですが、それはどういう場合なのでしょうか。

A) 会社や仕事について研究するためのOB訪問であれば、別に就職シーズンにこだわらず、3年生の夏休みでも構いません。むしろ2月以降の就職シーズンには「OB訪問したい」という後輩からの電話が、極端な場合1日10件以上かかってくるという人もおり、対応できないというのが実情です。就職シーズンでない方が会ってもらえる可能性は高いのではないでしょうか。
 それから広告会社の場合、2月以降の採用時期になるとOB訪問という形で会った後輩の情報を人事部に伝え、場合によってはその志望者に後日呼び出しがかかるケースもあります。最近は各社とも採用数が減ったため、あまり行われなくなりましたが、バブルの時代には大手広告会社は軒並みそうした事前選考(いわゆる青田買い)を行っていました。中には、正規の試験の前に内定枠の半分以上が埋まっていた会社もありました。

 広告会社の場合、どうしてそういうことが行われていたかというと、まず採用側が真っ先に確保したいのは営業志望者で、商社やメーカーと人材のとりあいになり、必ずしもマスコミだから優位ということになっていないからです。学生諸君の方も広告の営業志望者は一般の企業と掛け持ちしているのが普通です。ですから広告会社も優秀な営業マンの確保については、早くから動かざるをえないのです。

 それからもうひとつの事情として、もともと広告会社は筆記試験のウエイトが小さく、面接で選考を進めていけるということもあります。筆記試験となると全部の受験者を同じ日に集めなければいけませんが、個別の面接で選考を進める場合は、そんな大がかりなことをする必要がありません。OB訪問という形で会社を訪ねてきた学生と個別に面談し、呼び出しをかけていけばよいわけです。
 正規の試験以外に、いろいろな形での個別 の選考を行うことができるのは、広告会社の採用方式とも関わりがあるわけです。

 ただ前述したように、昔は広告会社では大規模な青田買いが行われていたのですが、今はあまりなくなっているのも事実です。採用にストレートにつながるわけではないけれど、現役社員となるべく接触して会社研究を行ってほしいという趣旨で採用側がいろいろな場を設けるケースはこの何年か非常に増えました。そういう機会をなるべく活用してほしいと思います。


Q) マスコミの場合、採用にあたって大学の 成績というのはどの程度見られるものでしょうか。また出身大学によってなんらかの判断をされる場合もあるのでしょうか

A) 応募にあたって成績証明書を提出する会社は多いのですが、その成績を選考に使う会社はほとんどないと思います。大学の成績というのはあまり客観的な指標にならないのは採用側も知っています。ただ卒業できないような状況であることは困るわけで、そういったことを確認するために一応成績証明書を提出させたりするわけです。学力を知りたい場合は、受験者を同一条件で筆記試験を受けさせて判定するのが普通です。

 それから出身大学がどの程度の意味を持つかという問題で、これも気にする学生がいてよく出る質問です。
 結論的に言えば、大学によって選考に差をつけるというのはほとんどないと思って下さい。昔は指定校制によって、例えばNHKなど採用実績に応じて大学ごとの推薦枠を決めていた時代もありましたが、今はそうしたことは行われていません。
 むしろ、なるべく特定の大学に採用が偏るのはよくないことだと考える会社の方が多いのではないでしょうか。現在もマスコミの採用実績で言うと圧倒的に早大卒が多いのですが、これは元々早大の場合、マスコミ志望者が他大学と比べものにならぬくらい多いという事情によるものです。
 ですから、基本的に大学がどこかというのはそれ自体大きな意味を持つことはなく、むしろ選考委員の先入観をなくすため、最初の志望書には大学名を書かない会社もあります。特にレコード会社など、エンターテインメント系のマスコミでは、その傾向が強いようです。

 では大学によって有利不利になることが全くないかというと、100%そうとも言い切れないのもまた事実です。例えば採用側が求人票を送付する大学というのは、採用実績に応じて決められることも多く、実績のあまりない大学の場合は、マスコミの求人票があまり届いていなかったりします。
 またテレビ局の技術職の募集は、理工系の大学・学部だけに求人票を送るケースが多いですし、デザイナーなどの専門職種の場合も、特定の大学・学部にだけ求人票が送られることが少なくありません。さらに地方紙・地方局の場合、地元出身の応募者を優先するという会社もあります。

 そういう意味では大学による違いが全くないというわけではないのですが、ただかつてのように指定校制度が横行していた時代と比べれば、「自由応募」が原則です。求人票があまりこない大学の場合も、個人の努力でそれをカバーすることができます。かつては比較的大きな意味を持った大学間の”情報格差”も、インターネットが普及した現在ではあまり大きな意味を持たなくなったといえるでしょう。


Q) 最近、マスコミでもインターンシップを行う会社が多いと言われますが、実態はどうなのでしょうか?

A) マスコミでインターンシップを実施する会社は年々増えていますが、会社や仕事の研究のためにこれほど恵まれた機会はないといえます。この何年か、マスコミでもインターンシップを実施する会社が増えました。各社とも内定者にアンケートを取ると、その会社に魅力を感じたきっかけはインターンシップと答える多いため、ますますインターンシップに力を入れようとしています。
 ただ知っておいてほしいのは、御多聞に漏れずマスコミは人気が高く、大手マスコミの場合、インターンシップ受講も希望者が殺到します。例えばテレビのキー局など、書類選考に二度にわたる面接といったふうに、本番の試験と同じくらいの本格的な選考が行われます。インターンシップも希望すれば受講できるというわけではないのです。
 しかし、逆に言えば、選考に落ちたとしても、本番に近い選考を経験することになるわけで、志望者にとってはそれ自体よい経験になるとも言えます。
 インターンシップは1~2週間、職場体験をするわけで、夏休みを利用して行われることが多いようです。ですから募集は6~7月頃、ホームページで行われることが多いと思ってください。ただ、夏休みに限らず、年間何回にもわたってインターンシップを行う会社もあります。
 採用試験と別に行われるインターンシップは採用直結ではありませんが、主催するのが通常人事部であり、時々会社によってはインターンシップで優秀だと思われる受講者にはその後もフォローが行われるケースもあります。


Q) 雑誌の編集を考えているのですが、どのような勉強(準備)をすればよいですか?アルバイトは役立ちますか?

A) 雑誌編集者になるのに必要なことは基本的に雑誌をよく読むことです。雑誌が好きだから雑誌編集者をめざすわけで、いまさら雑誌を読めというアドバイスは当たり前と思われるかもしれませんが、これが意外とできていないのです。面接では当然、志望する雑誌や出版物を中心に質疑応答がなされるのですが、意外にきちんと読んでおらずに面接に臨んでいる受験者が多いとは、マスコミの面接者がよく口にする感想です。
 もちろん全部の雑誌を読むのは不可能ですから自分の志望する雑誌、またはその雑誌と同じジャンルの雑誌でよいのですが、とにかく読み込むことです。できれば志望雑誌とそのライバル誌を比較したり、そのジャンルで一番売れている雑誌を「なぜそれが売れているのか」研究してみてください。
 その雑誌編集部でアルバイトするのも悪くありません。ただ、アルバイトは編集現場の雰囲気を知るといったことには役立ちますが、実際の編集作業に関わるわけではないので、それほど決定的な意味は持ちません。よくその編集部でバイトをしていると就職に有利ですかと質問をする人がいますが、少なくとも大手出版社の場合はそういうことはありません。
 ただ比較的小さな出版社の場合は、アルバイトから社員に登用されるケースもあるようです。ただその場合も、バイトをやっていれば有利ということでなく、そのバイトをしながらその人の持っている感性や資質がそこの編集者に向いていると認められた結果ということです。


Q) TOEICなどの資格は、マスコミ就職の際に決め手となりうるのでしょうか。

A) 結論から申し上げると、あまり大きな決め手にはなりません。もちろん翻訳出版の多い会社とか、通信社など特に語学を必要とする職場は別で、その場合はむしろ採用試験でも語学力が必須になる場合もあります。一度角川書店が、一定以上の英語力というのを応募資格に付けたことがあって、どういう意図でそうしたのか話題になったことがありました。
 確かに最近は大手マスコミの場合、海外戦略を視野に入れた仕事も多く、英語がある程度できる人が有利になるケースもあるようです。例えば電通など海外戦略を展開している広告会社でも、語学ができる人は一定の需要があるわけです。
 ちなみに語学以外の資格で、マスコミ就職に何か有利になるものがあるかといえば、大手マスコミの場合、あまり決定的なものはないのが実情です。小さな出版社や編集プロダクションの場合は、DTP技術(特にインデザイン)を持っていると有利だと言われますが、これもある程度はあたっていると思います。最近は雑誌や書籍を編集部内でパソコンを使ってある程度編集してしまうケースが増えているのですが、年配の編集者にはそこまで技術を持った人が少なく、新しい人材を採用する場合、一応そういう技術を持っているかどうかは検討する場合もあります。
 ただ注意しておきたいのは、編集者に何が一番必要な資質かといえば、企画力といったものなわけで、入社時に語学やDTPのスキルを持っているというのは決定的な決め手というより、それがあるとプラスになるという程度のことだということです。例えば編集者になるために校正の教室に通うのは有利になるかという質問もたまにありますが、それも知らないよりはよいのですが、そういう資格だけで採用を決めるわけでは全くありません。
 ただパソコンのスキルについていえば、これは上記の話と別に、ワードやエクセルなどが使えることは必須です。資格といったことと別に、ネット関連のスキルはある程度修得しておきましょう。


Q) 私は広告志望ですが、まだ大学1年です。今から何かやっておくべきことはあるでしょうか?

A) 最近は大学の就職課がキャリアセンターと名称を変更していることが多いように、いわゆる就職シーズンになってからでなく、日ごろの学生生活を通じてキャリアにつながるよううなことをやっていこう、1年生の時からキャリアをみがくような活動、指導を、という考え方が一般的になりつつあります。マスコミの場合もその通りで、大学3年の秋から始まる就職活動は、受験対策などの短期的なもので、本当に自分の適性をみがいたりする活動は、実はもっと前からやっておかねばなりません。
 そこで具体的に何をやるかですが、受験対策を今からやる必要はあまりないので、もっと広告の仕事について理解を深める活動をやってください。例えば、広告会社の人の話を聞く機会、例えばシンポジウムなどがあれば積極的に参加してみるといったことです。

 広告というのは実にたくさんの職種のある業種で、制作、営業、マーケティング、PRなど、一概に広告といっても内実はだいぶ違います。しかも電通や博報堂のような総合広告会社以外の中堅あるいは小さな会社の場合は、制作とかPRとか特定の仕事に特化しているのが普通です。ですからそれらの会社を受ける場合、例えばPR会社を受けるのにPRの仕事とはどういうものか理解していないと話にならないのですが、実際はその話にならない志望者が受験者の半数くらいいるのが現実です。
 広告全般というのでなく、自分が具体的に何をやりたいのか知ることが大切です。そのためには受験直前でなく、早い時期から広告についていろいろなことを知っていく必要があります。がんばってください。


Q) 音楽大学2年生ですが、アナウンサー志望です。マスコミ全般を通して音大は不利なのでしょうか。

A) 音大だから不利ということはありません。ただ、もともとアナウンサーは超狭き門ですから、音大出身で合格している人は少ないかもしれません。むしろ、アナウンサーだけに絞るのでなく、もう少し広く音楽番組のディレクターとか、あなたの立場を生かした志望も考えてみてはどうでしょうか。過去、音大や芸大からNHKなどに入った人もいます。また当然ですが、音楽出版社とかレコード会社などの場合は音大出身で受験する人が多いと思います。


Q) OB訪問をたくさんしている受験者を時々みかけますが、具体的にどうやってOBを見つけているのでしょうか。特にマスコミの場合、OBを探すのがすごく大変なのですが・・・。

A) マスコミへの採用実績が少ない大学だと、確かにそうかもしれません。ただ、中には40~50人のOBに会ったという学生もいますが、そう特別なことをしているわけではありません。基本は、1人のOBに行き着いたら、その人に他の人を紹介してもらうことです。これも快く対応してくれる人もいれば、面倒がってやってくれない人もいます。

 でもマスコミというのは、いろいろなセミナーや説明会が数多く開かれている業種で、何かきっかけをつかもうと思えば、チャンスはあります。例えば簡単にできるのは、何かのセミナーの講師を務めたマスコミの現役社員の名前と肩書きをメモして、その人に手紙を書いてみるという手法です。オーソドックスですが、場合によっては成功します。その手紙が相手の心を動かして、この学生に会ってみようかと思わせるのに成功すればラッキーなのですが、実は誰もがそううまくいくことでなく、その志望者のアピール力がそこで試されているのです。
 つまりOB訪問ひとつをとっても、うまくいく人とそうでない人がいるのは、決して偶然ではなく、ひとつひとつの局面で自分の適性が試されていると考えて下さい。実際、かなりの数のOBに会えている人というのは、交渉力やアピール力のあることが多いのです。
 就職活動というのは、そのプロセスそのものがあなたの適性やアピールを試す場と考えてください。OB訪問ひとつとっても、こうやったら全ての人がうまくいくという方法があるわけでなく、そのひとつひとつのプロセスで、あなたの適性が試されていると考えてください。

 ちなみに、あえて申し上げますが、このOB訪問というのも、機会があればやってみることをお勧めしますが、なかにはそんなことを全くやらないでマスコミに合格している人も珍しくありません。就活とは、こうあらねばだめだ、というふうに考えるのでなく、自分にあったスタイルを作り出していくことが大切だと思ってください。
 OBに何十人会ったと、誇示する人が時々いますが、これも人数が多ければいいということではないのです。成功を祈ります。


Q) 高卒で芸能プロダクションに就職したいのですが、どうしたらよいでしょうか。

A) 芸能プロダクションの採用というのは実はなかなか複雑です。もともとタレントのマネージャーというのは公募でなくコネで関わるケースが多く、しかも正規雇用でない場合も多かったのです。人と人とのつきあいが重視されたわけです。
 ただこの20年ほど、芸能プロダクションは業態を拡大し、タレントのマネジメントだけでなくいろいろな業務を手がけるようになりました。総合エンタテイメント産業と名乗り始めたわけです。それに伴ってそれまで個人の人間関係に頼っていた部分を近代化させていき、大卒の公募も始めていったわけです。
 その公募を行っている会社については、「マスコミ就職読本」に詳しい採用情報が掲載されています。ただ、今でも数のうえからいえば大半の芸能プロは新卒の定期採用を行っていないのが実情です。あなたの場合は高卒の資格で芸能界の仕事に就きたいということであれば、新卒の定期採用だけでなく、もう少し広い情報を集める必要があるかもしれません。


Q) 大学で体育関係の勉強をしています。スポーツや運動に少しでも関わった仕事をしたいのですが、どうしたらよいでしょうか?

A)実はスポーツジャーナリズム志望というのはこの10年ほどものすごく増えています。テレビの世界でもスポーツ番組が有力なソフトだと改めて見直され、バレーボールやゴルフ、大リーグ、スケートなど大きく取り組まれるようになり、次にビジネスになるのはどのスポーツだ、といったことが言われるようになっています。この流れはしばらく続きそうです。
 さて、そのスポーツに関わる仕事がしたい とのご希望ですが、まず大きく分けると、ビジネス絡みの仕事がしたいのか、ジャーナリズムの仕事がしたいのかによって志望する職種が違います。スポーツビジネスに関わりたいのであれば新聞・テレビで言うと「事業」という部門・職種になります。スポーツイベントを手がける部署ですね。
 それに対してスポーツを報じる仕事となる と、スポーツ局といった部署やスポーツ記者といった職種をめざすことになります。

 スポーツ記者といっても、受験先としては一般紙のスポーツ記者、スポーツ専門の新聞・雑誌、あるいは文藝春秋の『ナンバー』のように総合出版社でスポーツを扱う媒体もあります。出版界では異色な存在としてベースボール・マガジン社があります。あらゆるジャンルのスポーツ誌を取り揃えたスポーツ専門出版社です。このほか番組製作会社でもスポーツ関係の番組に主に関わっている会社もあります。
 選択肢はいろいろあるので、ちょっと調べてみてはどうでしょうか。


Q) マスコミ就職に限ってではないのですが、なかなかモチベーションがあがりません。説明会を予約して行かなかったり、選考も受かる気がせず行かなかったりと、甘えだと言われればそれまでですが、焦る気持ちとなかなか行動できない自分との間で悪循環を繰り返しています。どうしたら抜け出したらいいのでしょうか?

A) 困りましたね。マスコミに就職するのにモチベーションが上がらないというのであれば、もうやめた方がよいと思います。それでなくともマスコミは難関で応募倍率も高いのですから、あまり入る気がない人が受けることは、いたずらに倍率を上げることになります。
 ただ、あなたが「自分はいい加減に考えているわけではない、ただうまく行動できないだけだ」というのであれば、モチベーションを高める方法を多少はアドバイスしておきます。それは一にも二にも、人と会い、現場に足を運んでみることです。
 最初は志望意思が明確でなくとも、人と会い話をしているうちに気持ちが高まってくることもあります。現場で実際に仕事をしているマスコミの人に会って熱い思いを聞く、あるいは同じマスコミをめざす就活仲間に会う機会を設ける、といったことです。
 なかには沖縄や北海道から上京して熱い就活をやっている人もいます。なるべくそういう人に会って刺激を受けて下さい。家で一人でパソコンに向かってあれこれ思い悩んでいるというのが一番モチベーションを下げますので、思い切って外へ出てみましょう。
 マス読ライブも毎年、関西はもちろん北海道や九州から参加する人もおり、それらの熱気に触れて刺激を得られる場です。交流会や懇親会に出席して、同世代の熱い仲間に接してみてください。


Q) 編集者をめざしています。何か身につけておいた方がよい資格や技術はあるでしょうか。

A) めざす会社によって違いますが、今なら何といってもDTPの技術でしょう。雑誌も 書籍も急速にDTP化、つまり編集制作をコンピュータを使って出版社が行う時代に至っているのですが、現在の50~60代世代はそこまでコンピュータのスキルを持っていないことが多いのが実情です。これまではその作業工程は印刷所が行っていたのですが、作業効率化のためには編集部がそのスキルをある程度持っていることが必要で、この10年ほど、出版界は大きく様変わりしつつあるのです。最近は編集者養成学校などでもDTPの講座を開設しているところが多いので、修得はそう難しくありません。
 ただ、これもどの出版社に入る場合でも必須かというとそうでもなく、大手出版社の場合は、制作部門が社内でも別れている場合も多く、編集者自身がDTP技術を持っている必要はないかもしれません。一方、即戦力が要求される編集プロダクションの就職などの場合は、この技術は大きな威力を発揮します。
 そのほか、校正の資格を取得する人もいますが、これは入社して3カ月もすれば覚えますので、就職の際の必須のスキルとはいえないと思います。


Q) マスコミを志望していますが、今からどんな本を読んでおいたらよいでしょうか。

A) あなたが今大学何年生かによりますが、もし1・2年生でしたら、受験対策の本よりも業界や仕事について書かれた本、あなたが漠然とマスコミというのでなく、将来どんな仕事をしようと考えているかを具体化させるための本を読んで下さい。
 もし報道・ジャーナリズム志望であれば、ジャーナリストが書いた本を、また新聞業界やテレビ業界についての本もたくさん書かれています。『創』『GALAC』『宣伝会議』『ダ・ヴィンチ』などの専門誌もよいでしょう。エンタテイメント業界志望であれば『日経エンタテインメント』もはずせないと思います。

 もう少し就職に即した入門的な本を読みたいという場合は『マスコミ就職読本』入門編でしょうか。職種や会社情報と具体的な採用情報とが両方載っている本です。
 さらにあなたが大学3・4年生で試験が近付き、受験対策的なものが必要だという場合は、『新聞ダイジェスト』や『一般教養の天才』など受験対策の本を読むべきでしょう。具体的な主なマスコミの選考方法については『マスコミ就職読本』2~4巻に書かれています。

 マスコミの場合、筆記試験のウエイトが他の業種より高いのが特徴で、それをどの程度しなければならないか、自分の筆記対策がどの程度必要かは、これからマスコミをめざすにあたっての関心事だと思います。これについては、いわゆる過去問、過去に出題された試験問題を実際にやってみることをお勧めします。入手しやすいのは『新聞ダイジェスト』の増刊号『マスコミ入社試験問題集』です。
 合格点は大体6~7割なので、自分がどのくらい解答できたかによって、これからどのくらい自分が筆記対策をしなければならないか判断する目安になります。もし半分くらいしかできない人は、かなり頑張らねばならないということになります。ただ、こうした過去問は、新聞社やNHKしか公開していないので、出版社や広告会社は入手が難しいのが実情です。

 論作文についても対策を書いた本が市販されており、読んで参考にはなりますが、やはり論作文は実際に書いてみることが必要です。
 受験対策については、やみくもに本を読むのでなく、自分が志望するのが新聞社なのか広告会社なのかある程度見極めることが必要です。筆記試験のウエイトが高い業種とそうでない業種があるので、どの業種を受けるにも同じ筆記対策が必要ということにはならないからです。


Q) まだ大学2年生で就職のことはよく知らないのですが、放送志望です。放送局のインターンシップはあるのでしょうか?

A) 質問の文面を読むと、例えば毎年夏に行われていることで有名なテレビ朝日のインターンシップのこともご存知ないようなので、まだあまり具体的に調べていないという段階ですね。夏頃行われるということでは、インターンシップとは別ですがフジテレビなどが実施しているアナウンサー志望者向けのセミナーなども選考との関係など同じような意味を持っています。
 そうしたセミナーもアナウンサー以外でも実施されることもあります。夏休みを使って行われることが多いのですが、かなり早い時期、6月頃から募集がかかることが多いので要注意です。昨年までどういうマスコミ企業がインターンシップを実施していたかは、『マスコミ就職読本』で確認してください。近年新たに開催に踏み切る会社も多く、要注意です。
 ただ、ごく一部を除いてインターンシップは採用直結とはいえないことも知っておいてください。ただ就職のためには非常に役に立つのでぜひ応募していただきたいと思います。


Q) 新聞記者を目指している大学四年生です。春採用で失敗し、秋採用は新聞社に絞って採用試験を受けようと考えています。それまでに一般企業の内定をとっておくべきでしょうか?私としては、秋採用にむけて全力をかけたいので、一般企業を受ける時間も惜しいと感じています。

A) 春に失敗したというその中身が問題で、最終に近い選考まで行っているかどうかが重要です。それとどうしても新聞社に入りたいという志望意志がどのくらいあるか。その2つによってあなたの行動は決まります。
 一般企業も受けておくべきだと大学就職課などが勧めるケースもありますが、それはマスコミがだめな場合の就職先を確保しておくためにという意味です。ですから失敗してももう1年やるというくらいの覚悟がある人は無理に一般企業を受ける必要はありません。
 というか、本当に新聞記者を強く志望しているのであれば、興味のない企業を受験しても志望動機がうまく語れないはずで、それは練習にもなりません。あなたの場合は、秋採用に全力を注ぎたい、そのためには時間も惜しいということですから、一般企業を受ける必要はないでしょう。

 ただ、冒頭に書いたように、春採用でどこまで行ったかは一応考えてみてください。志望意志があっても自分に適性がなかったり、合格圏内にも入っていないのに、思い込みだけで新聞社を受験している人も時々いますから、あなたがそういう思い込みだけのケースではないという前提でお答えしました。


Q) この秋のマスコミ就職活動を控えて、受験講座に通おうかと思うのですが、いろいろあるので目移りします。どうやって選んだらよいでしょうか。

A) 最近はこういう講座をネットで探す人が多いと思うのですが、検索ページにやたら広告が張り付いていて、広告なのかデータなのかほとんどわかりません。『マスコミ就職読本』では1巻の入門編でこうした受験塾や講座をほとんど紹介しており、しかも客観的視点で書いていますから、ぜひそれを見てください。

 おおまかに分類すると、まず第一に作文対策とか受験対策に特化した講座ですね。「マス読実践講座」がこれに当たるし、その他、「早稲田セミナー」などの老舗や、「ペンの森」「高田塾」「阪東100本塾」など私塾も含めると相当数あります。最近は大学でもキャリアセンター主催でこういう講座が増えました。
 第二には、受験対策というよりキャリアアップをめざす講座、転職志望者も意識した講座があります。「日本エディタースクール」などの専門学校や、「宣伝会議」のような講座、それにアナウンサーやコピーライターなどそれぞれの職種に特化したものがあります。
 また授業形式でなく、メールなどを使って直接添削を行う形式もあります。「マス読作文講座」がこれに当たりますが、他にもこういう講座がたくさんあります。
 受験講座を選ぶには、自分が何をしたいのかをまず考えて絞り込んでいく必要があります。ある程度絞り込めたらあとは開催期日や受講料を見て検討するということではないでしょうか。



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