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 6月10日に予定されていた一橋大での百田尚樹さんの講演会が中止になった騒動については、私が一橋大の卒業生だということもあって関心を持って調べており、21日に行われた同大の学内集会にも参加した。そしてその帰路、27日に予定されていた香山リカさんの講演会が中止になったとのニュースに接した。
 ふたつの中止事件が関連していることは明らかだ。しかも、これを放置しておくと深刻な事態に陥りかねないことを予感させる。ここできちんと社会的議論を起こさないと言論をめぐる危ない状況が一気に広がる恐れがあると思う。

 4月14日に最高裁で上告が棄却され、5月9日に死刑が確定した木嶋佳苗死刑囚に4月21日に接見、それを前後して手紙や電報でのやりとりも行った。その経緯については6月7日に発売された月刊『創』7月号に詳しく書いたが、ここで簡単に触れておこう。(『創』編集長・篠田博之)

 

 加計学園問題をめぐる前川喜平・前文科事務次官の証言が「前川砲」「前川の乱」などと呼ばれ、連日報じられている。

 前川次官のこの間の発言には「あったものをなかったと言うわけにはいかない」「座右の銘は『面従腹背』」など名言といえるものが数々あるが、そのひとつに「国民の公僕なのか権力の下僕なのか」というものがある。

 直接は後輩の官僚たちに向けて言ったものだが、同時にこれはマスコミに対しても向けられているように思う。市民の側に立つのか権力の顔色を窺って報道をしているのか。前川さんは、この間のマスコミの対応についても節々で言及しているのだが、その前川問題をマスコミがどう報じ、あるいは報じなかったか。この約2週間の経緯を整理してみよう。

 2017年5月16日、NHKの夜のニュースを皮切りに眞子さま婚約報道がなされ、日本中が祝福ムードに包まれた。相手の男性の詳細な経歴も報じられているから、正式に婚約が発表されたものと受け取っている人も多いと思うが、その後、「婚約発表は予定より早まってこの夏に」という報道がなされた。そこで初めて「え?まだ正式に発表されてないの?」と首を傾げた人も少なくないのではないだろうか。実は5月半ばの報道は「婚約へ」という見出しになっており、正式発表がない段階での前打ちなのだ。

 国際条組織犯罪防止約批准のためには必要と、あたかもそれが国際社会からの要請であるかのごとく装ってきた共謀罪法案をめぐって、国連の人権に関する特別報告者に続いて、今度は言論表現の自由の観点から、国際ペンの会長が反対声明を出した。

 

 2017年6月5日午後、日本ペンクラブは浅田次郎会長自らが出席して記者会見を行い、国際ペン会長の声明を発表した。日本ペンクラブは国際ペンの日本支部にあたる組織だが、既に共謀罪法案には反対を表明している。今回出されたのは国際ペンの声明で、先週、ノルウェイで開かれた委員会の会議で協議され、会長声明として表明されたものだ。言論表現に関する国際的な感覚から見ても、いま日本の国会で審議中の共謀罪法案は危険なものと言わざるをえないことが改めて表明された。

 

 5月18日発売の『週刊新潮』5月25日号が大特集で『週刊文春』を告発する記事を掲載し、新聞・テレビが大きく報じるなど波紋が広がっている。17日付新聞も各紙がこれを報じているが、特に大きな見出しを打っているのは毎日新聞「新潮スクープ 文春拝借」と産経新聞「週刊文春 スクープ盗み見?」だ。この報道を見て、「え?こんなに大きなニュースなの?」と思った人も少なくないだろう。新聞・テレビがこれだけ大きく報じたのは、何といっても当該の『週刊新潮』の記事が異例の大特集だったからだ。

 2016年は劇場アニメ映画のヒットが目立った年だった。何と言ってもすごかったのが『君の名は。』で、興行収入が2017年3月21日現在で247億円。『千と千尋の神隠し』の308億円に次いで日本映画史上歴代2位の記録を打ち立てた。しかも、公開から半年たった今でも公開されており週ごとの興収ベスト10に入ったりしている。驚異的な実績なのだ。

 その後、公開されたマンガ原作の劇場アニメ『聲の形』もヒット、さらにこれもマンガ原作の『この世界の片隅に』も異例の大ヒットとなっている。『この世界の片隅に』は、これまで子どもが対象とされたアニメには難しいとされた戦争をテーマにしたもので、それがこれほどヒットしたのは、アニメをめぐるこれまでの常識を塗り替えたとも言われている。

 

 大手出版社の屋台骨を支えていると言われるコミックだが、デジタル化を含めて激変の波に襲われている。その全体像は発売中の月刊『創』5・6月号に総特集が掲載されているのでご覧いただきたいが、ここで名実ともにマンガ界のトップを走る『週刊少年ジャンプ』が直面した危機と、それを集英社がどう乗り切ろうとしているか報告しよう。

 2017年4月27日午後、参院議員会館で田原総一朗さんや小林よしのりさんらジャーナリストや作家ら14人が会見を行い、「共謀罪」法案反対を訴えた。
 発言に立ったのは、以下の各氏。
青木理、田原総一朗、岩上安身、大谷昭宏、金平茂紀、岸井成格、小林よしのり、斉藤貴男、神保哲生、田勢康弘、津田大介、鳥越俊太郎、安田浩一、吉岡忍。
 「私たちは『共謀罪』法案に大反対です」という声明を岸井さんが読み上げ、一人ひとり発言、その後質疑応答を行った。

この話、なぜ新聞があまり報じないのか不思議なのだが、出版科学研究所が2月末に発行した「出版月報」にマンガ市場をめぐる驚くべき指摘が掲載されている。これについては発売中の月刊『創』5・6月号「マンガ・アニメ市場の変貌」の総論で書いたので、それを引用しよう。
《デジタルコミックが急成長していることはこの2~3年、指摘されてきたのだが、昨年顕著だったのは、紙の落ち込みを電子がカバーしたことによって、両方をあわせた販売金額がプラスに転じたことだ。 
 出版科学研究所のデータによると、2016年のコミック市場は、紙と電子をあわせて4454億円、前年比0・4%だった。紙だけをとってみると、コミックスは1947億円で前年比7・4%減、コミック誌は1016億円で12・9%減と、落ち込みは加速している。特にコミックスの7・4%減は過去最大の落ち幅だ。ところが電子のほうはコミックスが1460億円で27・1%増、コミック誌が31億円で55・0%増。電子を加えると加えると前年比プラスに転じるだけでなく、コミックスについては過去最大の伸びになるという。