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創出版: 2011年5月アーカイブ

弊社刊40年目の真実――日石・土田爆弾事件』について、共同通信社がニュースを配信、各地方紙やスポーツ紙などのネットニュースに掲載され話題になっている。

http://www.47news.jp/CN/201105/CN2011052801000658.html

 

ただ、難点は、この配信記事には書名も出版社も書かれていないこと。本の宣伝になってはまずいという判断らしいが、読者にはわかりにくい記事だ。ネット検索で注文している人はいるようだが、果たして書店などもきちんと対応してくれているのかどうか。

 

この本は、1971年に起きた日石爆弾事件と土田邸爆弾事件の真相を明らかにしたものだ。死傷者が出て、当時は社会的事件となったが、両事件とも逮捕された11名は裁判で無罪となり、真犯人は不明のまま、迷宮入りとなった。しかも、今回の本で明らかになったところによれば、実は捜査は一時、真犯人の身辺にまで迫っていたのに、無実の元活動家らを誤認逮捕したために、他の捜査は打ち切りとなり、真犯人グループは難を逃れたのだった。

 

この本は、公安警察の捜査について知るのにも役立つといえる。

 

さて、真犯人は戦旗派の非公然部隊だったことが明らかになったのだが、最高幹部の荒氏は先日亡くなった。この最高幹部と実行部隊であるメンバーらとの確執も、今回の出版の背景にはある。もちろん今回明らかになった真相を知っていたのは戦旗派内部でもごく一部の人間で、荒氏ら最高幹部は、爆弾事件の真相を公表しない方がよいという意見だったようだ。

今回の共同通信の取材に対して警視庁は「この出版によって事件の再検証はありえない」と答えている。まあ、こう答えるしかないだろうが、実際今回の真相告発がどういう影響をもたらすかは、今後の成り行き次第であろう。

創出版は6月1日に移転しました。

新住所は、〒160-0004 新宿区四谷2-13-27 KC四谷ビル4F です。

(現編集部より徒歩2分の距離で、目と鼻の先です)。

 

電話番号は今までと同様です。 

創出版・篠田博之

 本日24日、布川事件に再審無罪判決が出た。先日22日の「原発報道を考える」シンポジウムに、その布川事件の杉山卓男さんをスペシャルゲストにお呼びしていたのだが、あまり発言の時間がとれなかったが、5月27日に明治大学で改めて冤罪被害者お2人の話をじっくり聞く機会が設けられているので、ぜひ参加してほしい。http://shojitotakao.blog39.fc2.com/blog-entry-56.html

足利事件の菅家さんのケースも、後になって検証してみると、その捜査や取調べのずさんさに驚いたが、この布川事件もある意味それ以上にひどい。例えば判決では犯行が「扼殺」つまり両手で被害者の首を絞めたことになっていたのだが、死体検案書では「絞殺」だった。こんな基本的なことが、何と再審段階で初めて問題になったのである。
こんなずさんな捜査、ずさんな裁判で杉山さんと桜井さんには無期懲役判決が出されたのだ。菅家さんが無実の罪で17年間も囚われていたことにも驚いたが、布川事件の2人は何と29年間。無実を訴えてもう40年以上たっている。人生の大半を冤罪を晴らすために費やしたわけだ。

布川事件については『創』4月号にお2人の話を掲載した。下記に全文を公開しているからアクセスしてほしい。本当はこれが掲載された3月に判決が出る予定だったのだが、大震災で水戸地裁が使えなくなり延期されていた。
http://www.tsukuru.co.jp/tsukuru_blog/2011/05/4020114.html

この事件を追ったドキュメンタリー映画「ショージとタカオ」も当初の判決予定にあわせて3月に公開された。判決が延びてしまって関係者は大変だったと思うが、上映している新宿のK's Cinema は現在まで上映を続けている(りっぱ!)。ぜひこの機会に映画を見てほしい。ドキュメンタリー映画としても評価の高い作品だ。

27日のイベントはこの上映委員会の主催によるもの。私(篠田)も当日のコーディネイトを頼まれている。『創』の校了直前で超多忙な時期だが、これはやらざるをえないでしょ、というわけで引き受けた。江川紹子さんや青木理さんらも参加する内容充実のシンポジウムなのでぜひ参加してほしい。座席を確保したい人は予約をしておくことをお勧めしたい。
以上、篠田

【5/27(金)明治大学リバティータワーへ行こう!】
*ドキュメンタリー映画「ショージとタカオ」無罪判決記念イベント!*
*ショージとタカオ、冤罪と人生を語る*


*ゲスト●桜井昌司さん、杉山卓男さん*
*スペシャル・ゲスト●ジャーナリスト江川紹子さん*
ジャーナリスト青木理さん、菅谷利和さん(足利事件元被告)、布川弁護団・弁護士
●司会・コーディネート・月刊『創』編集長篠田博之さん
●場所:明治大学リバティータワー 1F 1011教室
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html
■JR中央線・総武線、東京メトロ丸ノ内線/御茶ノ水駅 下車徒歩3分
■東京メトロ千代田線/新御茶ノ水駅 下車徒歩5分
■都営地下鉄三田線・新宿線、東京メトロ半蔵門線/神保町駅 下車徒歩5分
●時間:18:20開場、18:45開始、21:00閉会予定
●参加費:予約800円 当日1,000円
●主催:「ショージとタカオ」上映委員会
●協力:月刊『創』編集部、桜井昌司さん 杉山卓男さんを守る会
*お申し込み:メール、FAX、電話で上映委員会宛にお申し込みください
「ショージとタカオ」上映委員会 TEL: 03-6273-2324 FAX: 03-3226-0826 E-mail:shojitakao@gmail.com
5/24、先の大震災の影響で延期となっておりました冤罪・布川事件の再審判決が水戸地裁土浦支部で下されました。「ショージとタカオ」上映委員会では、判決前から映画を多くの方に観てもらい、たくさんの市民の目で判決を見守ろうという呼びかけをしてきました。
これまで映画を観た人たちからは、「映画を通して初めて布川事件を知った」「判決に注目している」という声が寄せられてきました。私たち上映委員会は、桜井昌司さん、杉山卓男さんの無罪判決を確信し、判決後の5/27に急遽、上記のイベントを企画いたしました。
四十数年間、来るべき日のために歯を食いしばって生きてこられたお2人に思いのたけを語っていただきながら、冤罪の生まれる背景、検察・警察の取り調べと可視化の問題などを含め、我が国の司法のありようなどをフロアーからの発言も交え、ともに考えあいませんか。
多くの方のご来場をお待ちしております!

IMG_0466.jpg 5月22日文京シビック小ホールでの「原発報道を考える」シンポジウムが無事終了。わざわざ来ていただいたのに満席のため入場できない方もいたそうで、まことに申し訳なく思います。
シンポは充実した中身でしたが、出演者が7人もいて、さらに明日再審判決の出る布川事件の当事者の発言もと盛りだくさんすぎる内容で、じっくり議論する時間がとれなかったのは残念でした。ユーストリームでの中継も行いましたが、録画を何日間か見られるようにしましたので、ぜひご覧下さい。

 さて、ここで公表するのは、そのシンポジウムで明らかにされた福島原発取材をめぐる要請文です。既にたくさんの方が賛同人に名を連ねており、近々、政府・東電に届けようと思っています。20キロ圏内での取材や原発作業員への取材規制を緩和してほしいという趣旨なのですが、これは実はいろいろ議論すべき事柄を含んだ提案です。
既に4月段階から、新聞・テレビの大手マスコミは原発敷地内での取材を自主規制し、そこでの取材・撮影はフリージャーナリストが行うという、イラク戦争の戦場取材と同じ状況になっていました。4月22日以降、フリーも20キロ圏内への立ち入りは規制されることになったため、今回の要請は、それを緩和せよという内容なのですが、危険地域の取材をめぐっては、例えばメディアの労働組合などはまた別の考え方をしています。今回の要請については、民放労連や新聞労連にも議論を呼びかけていますが、この議論はそう単純ではないのです。

なぜ取材規制に反対するかといえば、現在の政府・東電の発表を伝えることに重きを置いた報道には大きな限界があり、権力の監視・チェックというジャーナリズム本来の役割を果たすためには、独自取材の機会をもっと拡大しなければいけないと思うからです。1号機のメルトダウンが今になって発表されるという事態を見ても、メディアが本来の機能を果たせていないことは明らかです。
現在、市民のマスコミへの不信感は相当なもので、原発報道については、取材のあり方を含めて、メディアに携わる者は真剣に議論する必要があります。

そこで議論の叩き台とするために、昨夜のシンポで公にした「福島第一原発敷地内と『警戒区域』内での定期的な取材機会の要請」をここに公開します。起草したのは綿井健陽さんですが、長い戦場取材の経験のある綿井さんならではの視点が垣間見えます。
この趣旨に賛同される方は賛同者になってください。お名前と肩書きをお寄せ下されば追加していきます。また、この要請の内容についても意見のある方は意見をお寄せ下さい。そういう議論を踏まえたうえで、遠くない時期に政府・東電に要請を行う予定です。

【共同アピール】
福島第一原発敷地内と「警戒区域」内での定期的な取材機会の要請  

東日本大震災から2カ月が経過した現在でも予断を許さない状況が続く福島第一原子力発電所(福島第一原発)において、長期的かつ継続的な視野に立った情報公開とそれを実現するための取材機会を提案するとともに、東京電力と福島原子力発電所事故対策統合本部(本部長=菅直人首相)に以下要請します。

1 福島第一原発敷地内での定期的な取材・撮影機会の実現を

 3月11日以降、福島第一原発敷地内での映像や写真は東京電力や自衛隊が撮影・提供したものにほぼ限定されてきました。しかし、原発敷地内で現在起きていることは一企業の事故範囲を超えて、国内のみならず世界が注視する重大な社会的事態といえます。その期間はもはや短期間ではなく、数十年にも渡って長期的かつ継続的に対応・検証しなければならないことであり、その公共性は極めて大きく、様々なメディアを通じて広く国内外に知らされるべきことです。したがって、それらを伝えるメディアによる取材・撮影を実現させるべく、同原発敷地内を今後は定期的・継続的(少なくとも月に数回程度)に報道陣に公開する機会を設けるよう要請します。
メディアからの個別の取材申請を受け付けるのが前提ですが、それに対応できない場合はプール(集団)取材方式であっても早急に実現を望みます。規定の防護服を着た報道陣をマイクロバスに乗せて同原発敷地内に入れ、同原発係官らの案内によって説明をうけつつ取材・撮影するような形が考えられます。免震棟での様子のほか、放射線量限度の可能な範囲で敷地内の様子の取材・撮影、第一原発所長や作業員との質疑応答などの機会を要請します。

2 福島第一原発・作業員らへの定期的な取材・撮影機会の実現を

同原発で働く作業員たちの様子は、これまで主に匿名・顔出しNGを条件にメディアで報道されてきました。しかし、高い放射線量の危険な状況下での任務を背負う彼らの役割と立場は、もはや一企業に所属する社員・スタッフを超えて、原発の事態を収束させる"公務"に近いものであり、彼らの現状と声や姿は広く知らされなければならない公共性があると考えます。したがって、今後は原発作業員たちの定期的・継続的な記者会見を実施されるよう要請します。裁判員制度が始まって以来、裁判員の会見等が行われていますが、それに似たような形式でも早急に設けるべきです。また原発作業員たちの拠点となるJビレッジの様子も同じく、定期的かつ継続的な取材・撮影機会を要請します。

3 20キロ圏内の「警戒区域」内の定期的取材・撮影機会の実現を

福島原発から20キロ圏内の「警戒区域」については、4月22日以降「立入禁止」となっていますが、これも定期的に公開されて取材できる機会を要請します。警戒区域内の状況がその後どうなっているのかを知らせるために、報道取材の立ち入りを認めるよう警察庁にも要請します。少なくとも月に数回程度は報道陣が警戒区域内に入って取材・撮影できるような機会を設けるべきです。
これまで20キロ圏内では警察が行う行方不明者捜索活動や「一時帰宅」への同行取材等がありましたが、今後はそうした同行取材に限定するものではなく、ある一定時間の範囲において自由に現地で取材・撮影する形が考えられます。合わせて20キロ圏内に入って取材を行う者への罰則規定を除外するよう望みます。それまで人が居住していた地域を「立入禁止」とした以上、その地域の定期的な情報公開は民主主義国家において必要不可欠なものといえます。

(補足)
上記のような取材機会は、本来は各メディアが個別に東電や同事故対策統合本部に要請することが大前提であります。しかし、これまでの福島原発の状況を伝える極めて限定的な現地報道を見る限り、どのような取材・撮影体制であっても、福島原発敷地内とJビレッジと警戒区域内に、定期的・継続的にメディアが入れるような最低限の環境を東電と同事故対策統合本部に認めさせる要請が先決・重要であると考え、このような取材機会を提案しています。
これまで東電本店、経済産業省、統合本部等で行われている記者会見では、実際の現場の様子が直接確認できず、また提供写真・映像だけで、その検証も議論も外部からできないまま事態が推移してきました。東電は第一原発での個別の現場取材依頼に対してはほとんど応じていない現状を考えれば、原発敷地内と作業員の様子を国民に定期的かつ継続的に提供することは、政府・東電はもちろん、メディアにとっても極めて重大な「国民の知る権利」にこたえる社会的責務といえます。

以上のような取材・撮影・インタビュー・記者会見の機会と情報公開に向けて、6月からの速やかな実現を目指して、東京電力と同事故対策統合本部に協力を要請します。

2011年5月22日

●呼びかけ人
綿井健陽(フリージャーナリスト)/広河隆一(『DAYS JAPAN』編集長)/篠田博之(月刊『創』編集長)/他
●賛同者
青木 理(ジャーナリスト)/石高健次(ジャーナリスト)/石丸次郎(ジャーナリスト/アジアプレス)/伊田浩之(『週刊金曜日』編集部)/岩崎貞明(『放送レポート』編集長)/江川紹子(ジャーナリスト)/ 大谷昭宏(ジャーナリスト)/大塚敦子(フォトジャーナリスト)/ 小田桐誠(ジャーナリスト・大学講師)/落合誓子(ルポライター/作家。石川県珠洲市在住)/ 落合由利子(写真家)/桂 敬一(メディア研究者)/河内 孝(フリーランス・ジャーナリスト)/草薙厚子(フリーランス・ ジャーナリスト)/小池正春(放送ジャーナリスト)/坂上香(ドキュメンタリー映画監督/津田塾大学教員)/白石 草(OurPlanetTV)/神保哲生(ビデオニュース・ドットコム)/須藤晶子(フリーランスエディター)/田原総一朗(ジャーナリスト)/玉本英子(ジャーナリスト)/土江真樹子(映像ジャーナリスト)/戸田桂太(武蔵大学名誉教授)/永江朗(フリーライター/早稲田大学文学学術院教授)/中島岳志(北海道大学教員/永田浩三(武蔵大学教授)/野中章弘(ジャーナリスト/アジアプレス代表)/橋場義之(上智大学教授)/畠山理仁(フリーランスライター)/服部孝章(立教大学社会学部教授)/宮台真司(首都大学東京教授)/安岡卓治(映画プロデューサー)/原 寿雄(ジャーナリスト)/藤森研(専修大学教授)/松本良次(筑摩書房編集者)/元木昌彦(編集者)/桃井和馬(写真家・ジャーナリスト)/森功(ノンフィクションライター)/森達也(作家/監督)/山口一臣(前『週刊朝日』編集長)/和仁康夫(ジャーナリスト)/他

●問い合わせ・連絡先
日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)事務局   綿井健陽 
TEL : 090-6101-6113 <twatai@pop01.odn.ne.jp>

上記1~3の取材にあたる報道陣は、以下のような同事故統合対策本部の会見に現在参加できる協会・機関の加盟社(者)の中から、自発的な意思と安全確保の自己責任でもって臨む記者・カメラマン等で構成・対応されることを現時点では仮に想定しています。

【参考・福島原発事故対策統合本部の共同記者会見に現在参加可能な方々】
1 日本新聞協会会員
2 日本専門新聞協会会員
3 日本地方新聞協会会員
4 日本民間放送連盟会員
5 日本雑誌協会会員
6 日本インターネット報道協会会員
7 日本外国特派員協会(FCCJ)会員及び外国記者登録証保持者
8 発行する媒体の目的、内容、実績等に照らし、1から7のいずれかに準ずると認め得る者
9 上記メディアが発行する媒体に定期的に記事等を提供する者(いわゆるフリーランス)

 深刻な事態が後になって次々と露見するというどうしようもない状況が続いている原発問題ですが、マスコミに対する不信感もかつてないほど噴出しています。本来果たすべきチェック機能がほとんど働いていないのですから、不信感を持たれるのは当然と言えます。
 情報が一元的に管理されている状況をどう打破して、独自取材の道を拡大するかが問われているわけですが、フリージャーナリストを中心にいろいろな模索が始まっています。現在、大手マスコミは原発の50キロ圏外にまで避難しているようですが、4月までは原発直近まで入っていたフリーも20キロ圏内に入ることを規制されています。大手マスコミが安全地域に避難し、リスク覚悟のフリーが現場に入るというイラク戦争などの戦場取材と似た状況が一時期続いたのですが、それも現在は規制されているわけです。この状況を改め、原発作業員などへの取材もある程度認めるよう政府・東電に要請をする共同アピールも準備されています。
 そうした原発取材・報道の現実について、5月22日(日)夜、文京シビック小ホールで議論し、共同アピールを公表する予定です。以前、一度告知をしましたが、出演者がその後続々と増えています。改めて出演者を紹介し、ぜひ足を運んでいただけるよう呼びかけます。確実に座席を確保したい方は、できるだけ予約をお願いします。

●緊急シンポジウム
「原発報道を考える~メディアは真実を伝えているのか」
2011年5月22日(日) 開場18時20分 開会18時45分 閉会21時30分(予定)
会場:文京シビック小ホール
定員:370名  入場料:1000円
出演者:
 神保哲生
(ビデオニュース・ドットコム)
 綿井健陽(フリージャーナリスト)
 広河隆一(『DAYS JAPAN』編集長)
 香山リカ(精神科医)
 金平茂紀(TBS「報道特集」キャスター)
 川村晃司(ジャーナリスト/テレビ朝日コメンテイター)
 後藤政志(工学博士/元東芝・原子炉格納容器設計者)
司会:篠田博之(月刊『創』編集長)

特別アピール「布川冤罪事件再審判決直前!冤罪被害者の訴え」 杉山卓男・他 
シンポジウムの最後に、5月24日に予定されている布川事件判決について、40年以上も無実を晴らす闘いを続けている被害者から特別アピールがあります。24日の判決は、3月に予定されていたものが震災で延期されたものです。

 

確実に座席を確保したい方は以下より予約をお願いします。
http://www.tsukuru.co.jp/sinsai.html


またローソンにてチケット販売中(Lコード39566)。

主催:月刊『創』編集部 電話03-3225-1413  FAX03-3225-0898
   http://www.tsukuru.co.jp
後援:『週刊金曜日』『DAYS JAPAN』編集部

緊急シンポジウム開催!

詳細や出演者は、決定次第順次アップしていきます!!

申し込みはこちらより

日時2011年5月22日(日) 開場18時20分 開会18時45分 閉会21時30分(予定)

出演者:

神保哲生(ビデオニュース・ドットコム)
綿井健陽(ビデオジャーナリスト)
広河隆一(『DAYS JAPAN』編集長)

他出演多数交渉中・

司会:篠田博之(月刊『創』編集長)

入場料:1000円(当日会場受付でお支払いください)

定員:370人

座席を確実に確保したい方は、下記フォームにて予約受付けております。

主催:月刊『創』編集部/他

会場文京シビック小ホール(水道橋駅、地下鉄後楽園前駅下車)

 

申し込みはこちらより

 

※特別アピール「布川冤罪事件間もなく再審判決!冤罪被害者の訴え」
  杉山卓男・他 
原発報道シンポジウムの途中ないし最後に、5月24日に予定されている布川事件判決について、40年以上も無実を晴らす闘いを続けている被害者から特別アピールがあります。24日の判決は、3月に予定されていたものが震災で延期されたものです。

杉山卓男
桜井昌司
井手洋子(監督)

1967年に起きた強盗殺人事件で無期懲役が確定しながら、一貫して冤罪を訴え、再審請求を行ってきた杉山さんと桜井さん。その40年以上にも及ぶ長い闘いを、当事者と一緒に振り返る。


◆5月24日、布川事件の再審公判の判決が、水戸地裁で言い渡される。茨城県利根町布川で、1967年夏に起きた強盗殺人事件の容疑者として逮捕された杉山卓男さん(64/当時20)と桜井昌司さん(同)は、取り調べでは自白してしまい、裁判では一貫して無実を訴えたものの、無期懲役判決を受け、29年もの間、拘置所と刑務所に囚われていた。二人は1996年に仮釈放されてからも、裁判のやり直しを求めて再審請求を続け、第二次再審請求で再審が決定した。来る5月24日の再審公判では、二人に無罪が言い渡される見通しだ。
 そして現在、仮釈放後の桜井昌司さんと杉山卓男さんを14年にわたって追い続けたドキュメンタリー映画「ショージとタカオ」が全国公開されている。冤罪被害者の二人と、「ショージとタカオ」の監督・井手洋子さんに話を聞いた。          (編集部)

◆冤罪の温床といえる警察・検察の取り調べ◆


【杉山】『創』は、刑務所にいたときに読んでいましたよ。支援の方が入れてくれたんです。懐かしいなあ。
篠田(本誌) ありがとうございます。80年代前半に免田事件、財田川事件、松山事件と、死刑囚が再審で次々と無罪となった時期、『創』も冤罪事件に毎号のように誌面をさき、布川事件についても取り上げたことがありました。その後は気にはしつつもフォローできず申し訳なかったと思っています。

【井手】その再審の扉が次々と開いた時期、桜井さんと杉山さんも刑務所から再審を申し立てていたわけですね。どんな気持ちでしたか?

【桜井】そりゃ勇気づけられましたよ。でも、我々の再審請求はその後棄却されたし、期待したようには変わらなかったという印象でしたね。むしろ冤罪については、足利事件をきっかけに大きく変わったような気がします。今は全国どこに行ってもみんな冤罪について知っている。菅家さんの人柄の良さかもしれないですね。誰が見ても善良なおじさんですから。我々は、昔はまるで善良じゃなかったですから(苦笑)。

【篠田】でも、3月の再審公判で無罪となれば、布川事件も大きく報道されるでしょう。

【桜井】冤罪の歴史としては、足利事件とはまた違った意味で話題になるかもしれないですね。

【井手】足利事件は警察が謝罪したことの印象が強烈でしたね。

【桜井】無実が晴れた松山事件や免田事件の頃は、警察も検察も、誰も謝ってないですよね。

【篠田】布川事件の取り調べが巧妙だと思うのは、お二人をそれぞれ別件で逮捕して、桜井さんの自白を取ってから、杉山さんの取り調べに入るというところです。お互いが「あいつがやったんだろう」と思いながら、自供してしまったということでしょうか。

【桜井】そうですねぇ......。杉山も私も不良ではあったのですが、当時の杉山は別格なほど乱暴でしたから「やっぱり杉山か」という気持ちがありました。また、「現場でお前と杉山の顔を見た人がいる」と言われて、まさか警察が嘘をつくとは思っていなかったので、杉山と誰か別の人とでやったんじゃないか、と思ってしまったのです。

【杉山】裁判になればわかってくれるはずだという思いがあったので、それがやはり自白につながっていきました。

【篠田】桜井さんは何度も否認したのに、全て却下されてしまう。ひどいですね。

【桜井】いや、それが常套手段なんですよ。どんなアリバイを言っても否定する。そのアリバイが本当かどうか、調べもしない。私も、そもそも(事件当日は)40日以上前のことなのでほとんど覚えていなかったのですが、その日、私も杉山も、中野区にある私の兄貴のアパートに泊まったんですよ。杉山は、私とはあまり仲は良くなかったけれど、兄貴とは付き合いがあったんです。たまたまその日東京に来ていて、夜になって兄貴のアパートに行ったら、杉山と会った。それを取り調べを受ける中でだんだん思い出してきて言ったのですが、全て否定されましたね。私を取り調べた刑事は、「日本の名刑事100人」として、『週刊朝日』に出てましたよ。

【篠田】強引に落とす刑事が、昔は名刑事と言われたんですよね。


◆「認めなければ死刑になる」と取調官が脅した◆


【井手】もともと桜井さんは友達のズボンを盗んだということで、杉山さんは暴力行為で別件逮捕されたのですが、当初から強盗殺人事件が狙いだったんですよね。

【桜井】「こいつが強盗殺人の犯人だから、別件逮捕して吐かせよう」というのが明白ですよね。

【杉山】当時茨城県警は、一課が強盗殺人などの担当で、二課が知能犯とマル暴。私のことは、最初二課が追ってたんです。途中で一課に横取りされたと、一度面会に来た二課の刑事が怒っていましたよ。

【篠田】杉山さんは、逮捕の翌日に自白してしまうわけですが、何が大きかったのでしょうか。

【杉山】19歳の頃に傷害事件で捕まったことがありました。その時、飲み屋のおかみさんが目撃証言で、違う人間を刑事に言ってしまったんです、「あの人がいた」と。それで、やってない人間が犯人にされてしまったんです。私も一緒に捕まっていたから、「あいつは関係ないんだ」と言っても警察は取り合ってくれなくて、鑑別所まで入れられて保護観察処分になった。その時に、警察には何を言ってもダメなんだということがインプットされてしまったんですね。桜井が嘘を言っているなら、俺がいくら「やってない」と言ってもダメだろう。じゃあいいや、ここは何とか切り抜けて裁判で桜井と対決するしかないと思ったんです。

【篠田】取り調べ段階では決定的な証拠は何もなかったわけですか。

【杉山】二人の指紋も現場から出ていないし、目撃証人が出てきたのは、裁判で自分たちが否認してからですよ。

【桜井】杉山が突き付けられたのは俺の調書だよな。俺の署名が入った自白調書を目の前で見せられて、それでもうダメだと思ったって。

【杉山】そう。それに刑事から「やったと認めれば4~5年で出てこられるが、認めなければ死刑になる」と言われました。「認めなければいつまでも調べる」というのも、非常に堪えましたね。このままずーっと取り調べが続くのか、と。