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創出版: 2009年8月アーカイブ

田代まさしさんをゲストに招いて「薬物汚染とのりピー騒動」というテーマで公開講座を行います。会場はお茶の水駅から徒歩4分のデジタルハリウッド本校1階セミナールーム。http://dhw.weblogs.jp/_tokyo/guide/guide.html

 

もともとマスコミ志望者を対象にした講座でしたが、せっかくなので一般市民も含めて薬物依存について議論しようということになったものです。定員は130人。参加費は2000円です。マスコミ志望者が多くなると思うので、この問題についてのマスコミ報道のあり方についても議論します。

 

 この問題については当日司会を務める月刊「創」編集長・篠田が東京新聞やブログで発言しており、その意見に対して賛否両論激しい議論が起きています。篠田の意見は一言で言うと、薬物依存者を厳しく刑務所にぶちこめといった原始的な対応は基本的に間違っているのではないか、というもの。薬物依存は社会的病気という側面も持っているという考え方ですが、それに対して「そういう考えは犯罪者を甘やかすものだ」という批判も出ています。そのあたりについての議論はこちらへアクセスしてご覧下さい。

http://www.the-journal.jp/contents/shinoda/2009/08/post_22.html

 

それともうひとつ田代さんのように刑に服して社会復帰した人はどうなっているのかという問題についても議論したいと思います。特に薬物依存は再犯率が高いので、更生のあり方というのが大事な問題なのですが、実際には田代さんもいかに社会復帰が大変かをこの1年間痛感してきました。

 

 当日は、田代さんの体験をじっくり聞きながらも、なるべく踏み込んだ議論ができればいいなと思います。この問題について自分も発言したい!という人はぜひ参加して下さい。会場に定員があるので、確実に座席を確保したい人は手続きに従って2000円を事前に送って下さい。下記事前支払いのアドレスにアクセスすると創出版のショッピングカートのページに入れます。支払いはカード決済、コンビニ決済など様々な方法があります。

http://xc523.eccart.jp/h575/item_detail/itemId,224/

 

 なお田代さんの新刊『審判』の販売とサインなども当日行います。
20090819131501120_0001.jpg8月3日から4日間にわたって洪水のようになされた裁判員裁判をめぐるマスコミ報道を見た意見と感想を、篠田が共同通信に頼まれて執筆し、7日に配信されました。高知新聞始め幾つかの地方紙などに10日以降掲載されています。ここで高知新聞に載った記事を紹介します。カラー写真の入った大きな記事です。一応著作権は執筆者にあるはずなので、拡大して記事も読めるようにしました。

01.JPG 8月3日に中山千夏さんの『幸子さんと私』出版を記念して、アルカディア市ヶ谷にてパーティーを開催。140人が参加しました。ちょうど5日が彼女の母親の1周忌で、出版もそれに合わせたのですが、千夏さんの交友関係の広さを反映して、参加者は何とも豪勢な顔ぶれでした。

  最初に檀上に立ったのは、千夏さんと司会の矢崎泰久さん。そして発起人代表の永六輔さんでした。

 

 

 

 

 

 

02.JPGその後、乾杯の前の挨拶は松島トモ子さん。「西の千夏ちゃん、東のトモ子と、2人は小さい頃、名子役として知られていたのですが、最初に顔を合わせたのはNHKの『ひょっこりひょうたん島』でした。千夏ちゃんが17、私は20歳でした。2人とも対抗意識があったため、私が『あなた、キスしたことある?』って訊いたんですね(会場笑)。そしたら千夏ちゃんが、うーんって言いながら『ある』と答えたんです(笑)。そして続いて千夏ちゃんが『その後は?』って訊いたんですね(爆笑)。私がどう答えたか忘れましたが、それからですね。2人が仲良くなったのは」。のっけから強烈なスピーチでした。
 

 

 

 

 

 

 

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 その後も、千夏さんの元夫の佐藤充彦さん、下重暁子さん、ばばこういちさん、山口はるみさんなどの挨拶が続きましたが、会場の皆が一斉にカメラを構えたのは、俳優の佐藤慶さんと林隆三さんが登壇した時でした。そのほかにも会場には、小林亜星さん、吉行和子さんら芸能関係者が見えていました。

 

 


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 「すごい組み合わせでしょう」と千夏さんが言ったのは、日本赤軍の足立正生さんと新右翼の鈴木邦男さんに挟まれたショット(写真右)。「この怪しい顔ぶれを撮っといてよ」と佐高信さんの要望で撮影した写真に収まったのは、テレビマンユニオンの今野勉さん、佐藤慶さん、佐高さん、足立さんの4人でした

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(写真左)。これもすごい面子です。

 

 

 

 

 

 

 

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 後半は『創』執筆陣も登壇。香山リカさんは、『創』9・10月号で、千夏さんとこの本を素材に「母娘という関係」というテーマで対談。その一部を本の中に小冊子にして挟み込みました。

 

 そのほかにも松元ヒロさんが麻生太郎の物まねを披露したり、趙博さんが歌を歌ったりと盛りだくさん。会場には、朴慶南さんなど作家もいたのですが、挨拶をお願いする時間がなくなってしまいました。


 

 

 

 

07.JPG そしてトリを務めたのが何と田代まさしさん。千夏さんとマ~シ~の2ショットも意外性抜群で、これも大勢の人が写真を撮ってましたね。千夏さんは『創』のマ~シ~の連載を愛読しており、この日も「ぜひ来てほしい」と招待したのでした。
 最後に『創』の篠田がお礼の挨拶をして、9時少し前に閉会となりました。
 そのほかカンヅメで出席できないがというメッセージと花を贈ってくれたのが井上ひさしさん。黒柳徹子さんや、小室等さんら、辛淑玉さんら千夏さんの友人知人からも、「あいにく参加できないが」とメッセージが寄せられました。

  7月28日、NHK受信料拒否裁判に判決が出ました。たぶんこういう裁判そのものがもう2年以上にわって続いていたことさえご存じない方が多いと思います。裁判開始から2年余、弁護士を探し始めた段階からすると3年にわたったNHK受信料拒否裁判ですが、今回の東京地裁判決については、朝日新聞、毎日新聞などが大きく報道したために(特に毎日新聞は見出し4段、記事8段という大きな扱いでした)、予想外の反響がありました。『創』編集部が立ちあげている「NHK受信料督促裁判を考える」というブログにもたくさんのコメントが寄せられました。

■NHK受信料督促裁判を考える
http://www.tsukuru.co.jp/nhk_blog/

 もともと3年ほど前、NHKの受信料不払いが膨大な数にのぼったのを受けて、NHK側が法的督促、つまり払わないと裁判に訴えるよという強硬手段に転じたのがきっかけでした。ほとんどの人が裁判所の通知をもらって仰天し、不払いをやめるか、あるいはさらに抵抗して裁判まで行っても途中で和解して支払いに応じました。

 ただ、なかにはこういう強圧的な方法に納得できないとあくまでも裁判で闘うのをやめなかった人もいます。東京では3人、途中で1人が和解に応じて、残った2人が2年以上にわたる裁判を続けてきたのです。不払いで督促を受けた金額は数万円ですから、普通は弁護士を雇って裁判を続けるのと余計痛手を被るし、NHKもそれを見越して法的督促を行っているのですが、実は『創』編集部で弁護士さんにお願いして、この裁判を手弁当でつまり報酬なしで引き受けてもらうことにしたのです。これまでNHK問題に関心を持っていた弁護士さんが約10人も集まってくれて、2年前に弁護団が結成されました。

 そこから予想外に長期戦となったのですが、この裁判は、受信料の手続き問題だけに限定すると1~2回で終わってしまうものです。実際、今回の判決も「法律で決められていて、契約も成立しているのだから、受信料を払うべきだ」というものです。NHKもそういう判断に基づいて法的督促をかけて、不払い者に圧力をかけようとしたわけです。

 では何を2年余も争ったかというと、弁護団としてはせっかく争うのだから、そもそも「公共放送とは何か」「受信料とは何か」という論争まで踏み込んで議論を起こそうとしたわけです。裁判に入る前に弁護団は合宿までやって、公共放送やその成立経緯、海外での公共放送の実例など徹底的に調べたのです。だから本当はこの間、大手マスコミがもう少しこの裁判に注目してくれれば、そういう議論も起こせたと思うのですが、残念ながらマスコミでそこまできちんと取材して報道したところはほとんどありませんでした。

 でも、裁判をずっと傍聴していると、今まであまり考えもしなかった「公共放送って何だ」というテーマが実は奥深いものであることがわかりました。戦後の憲法や教育基本法などが制定される過程で、マスメディアの国家権力からの独立を担保し、市民が支える放送を、という精神でできたのが、公共放送なのでした(私もそこまで知らなかった)。NHK元職員も傍聴に来ていましたが、「本当はこういう議論をNHKが自分たちでやらないといけないんだ」と言っていました。NHK職員自身でさえ、自分たちが依拠している受信料制度や公共放送の本来の趣旨を忘れてしまっているのが現実なのです。

 しかし今回の判決では、過去2年間にわたって弁護団が展開した「公共放送とは何か」「受信料制度とは何か」という議論は、ほとんど触れずに形式論議だけで「受信料は合憲」という結論が出されてしまいました。弁護団もその点はがっかりしていました。

 ただ判決を詳しく読むと、裁判所として微妙な領域にまで少し足を踏み入れた記述もあります。
例えば、大きな論点のひとつは、被告は、NHKの不祥事や放送姿勢に対する抗議として受信料支払拒否をしたとして、それを正当な権利と主張したのですが、公共放送の理念として、放送法に照らしてそれを正当と判断するのか否か、という問題でした。つまり、公共放送とは、国家権力やスポンサーから独立して、市民が受信料によって放送を支えるというシステムですから、抗議の意思表示として、不払いという権利も担保されていると思うのですが、果たしてその主張に対して裁判所がどう判断したのか、ということ。これは極めて大事な論点です。

 で、判決でそこがどう書かれているかというと、こうなっています。

《放送法の趣旨にかんがみれば、原告は、広告主や国家やもちろん視聴者(放送受信契約の相手方)からも一切の影響を受けず、自らの表現の自由を全うすることによって、「豊かで良い放送を行う義務」を実践することが求められているというべきであって、原告が負担する「豊かで良い放送を行う義務」は、放送受信契約の相手方(被告ら)個々人に対する義務ではないというべきであるから、同義務は、被告らが負担する放送受信料支払義務とは牽連関係にないと解するのが相当である。》

 いやあ、わかりにくい文章でしょう。結論的に言うと、被告の主張を退けているんですが、ここで裁判所がどういう解釈をしているのか、考えることは重要です。で、近々判決そのものの主要部分を前述したブログにそのままアップしますので、興味ある方は前後の文脈を何回も読みこんでみてください。

 被告が控訴したことで裁判はもう少し続きます。この裁判が、本質的な議論がなされるきっかけになってくれることを期待します。