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創出版: 2009年2月アーカイブ

林健治2.JPGのサムネール画像  事件からもう10年以上になりますが、裁判は今重大局面を迎えています。2月24日に最高裁で弁論が開かれるのですが、これが開かれるというのは判決が近いことを意味します。ちょうど5月から裁判員制度が本格始動し、死刑問題の議論がさらに高まる中でこの事件がこういう局面を迎えたことで、マスコミも注目しており、この集会にはテレビ局のカメラがずらりと並び、新聞各社も大勢取材に入りました。

 

 


 集会は13時から始まりましたが、何と冒頭に、亡くなった三浦和義さんに代わって鈴木邦男さんが支援する会の会長になったことが告げられ、本人が挨拶に。「『創』で林眞須美さんの手記などは読んでおり、面会に行ってみたら、それまで持っていた印象とだいぶ違っていた」。鈴木さんはその話から始め、マスコミが振りまく先入観によってこの事件を見ると真実を見失う恐れがあること、「疑わしきは罰せずという法の精神に照らせば、眞須美さんへの死刑判決はありえない」ことなどを話しました。

カレー事件集会1.JPGのサムネール画像 その後、1・2審から弁護人を続けている2人の弁護士が、裁判の争点のひとつである現場の目撃証言などについて説明しました。さらに休憩をはさんで、安田好弘弁護士ら最高裁から弁護団を結成した3人の弁護士と、林健治さんをまじえて、最高裁での論点について説明しました。その話の前に、和歌山から母の支援を訴えるためにやってきた長男と三女が挨拶。その後、健治さんも挨拶してから、本題に入りました。

 

   

 安田弁護士によると24日の弁論で主張したいのは2点。ひとつはカレー事件を立証するための類似事件として検察があげた健治さんの「くず湯事件」が、1・2審の認定は全く事実と違っていること。この類似事件は、カレー事件を立証するために検察が持ち出したもので、ここを崩すとカレー事件も崩れるという関係にあるというわけです。くず湯事件とは、保険金を得るために眞須美さんが夫の健治さんの殺害を企てたとして殺人未遂に問われ有罪とされたものですが、実は保険金取得のためにヒ素を飲んだのは健治さん自身の意思によるもので、眞須美さんの殺人未遂は全く成立しないということです。
 次にカレー事件そのものについても、現場での目撃証言はどう見ても誤っているし、判決の根拠の危うさを弁護人が健治さんとのやりとりを通じて明らかにしました。

林健治.JPGのサムネール画像 休憩事件に、わざわざ和歌山からやってきた健治さんや子どもたちと話したのですが、この長男が突然、「あ、篠田さんにお願いがあるんです」というから、改まって何かと思ったら、「僕、田代まさしさんのファンなんです。サインをもらっていただけませんか」とのこと。ちょうどその夜、田代さんとは会うことになっていたので、さっそくサインをもらい、色紙を翌々日に送りました。

 篠田は和歌山カレー事件には事件の起きた1998年から関わっており、その10年の知られざる一部始終を、発売中の『冤罪File』に執筆しています。 (篠田博之)

 瀬戸内寂聴さんの講演と、森達也さん、『創』編集長・篠田、文芸評論家の川村湊さんのパネルディスカッションと2部構成で行います。5月の裁判員制度導入を控えて死刑をめぐる議論が広がり、読売新聞、毎日新聞などが連載企画を組んだり、「ニュース23」が連続して特集を組んだりしています。
 このペンクラブのシンポジウムは、表現者・言論人の立場からこの問題をどう考えるか探ろうというものです。会場は300人くらいまで入れるところなので、ぜひ多くの人に参加してほしいと思います。ちなみに『創』篠田が昨年上梓した『ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)は既に3刷と増刷を重ね、現在約2万部に達しています。

 

社団法人社団法人 日本ペンクラブ・シンポジウム

 

「死刑 ― 作家の視点、言論の責任 ― 」

--第27回WiP(ライターズ・イン・プリズン)の日--

 獄中作家・人権委員会、言論表現委員会主催

2009年3月5日(木)日本プレスセンター10Fホール

   18:00開場・18:30開演・21:00終了(予定)    日本プレスセンタービル10F 

         定員  250名                     (東京都千代田区内幸町2-2-1)

   (先着順・予約不要)               地下鉄/千代田線・日比谷線霞ヶ関駅C-4、

    参加費 500円                     丸の内線 霞ヶ関駅B-2、

                          都営三田線内幸町駅A-7

                             JR/新橋駅日比谷口(SL広場側)

 死刑については多くの場で賛成・反対が語られてきた。最近ではメディアと犯罪・裁判報道のあり方も問われている。日本ペンクラブでは作家・ジャーナリストの立場から死刑・死刑制度をどのように見るか、死刑・死刑制度への言論としての視点はどこに置くべきか、裁判員制度導入により市民と死刑のかかわり方はどう変わるかを議論していく。

 

挨拶 浅田 次郎(作家 日本ペンクラブ専務理事)

 

「獄中作家の日について」  

今野 敏 (獄中作家人権委員会 委員長)

 

第一部  講演「作家の視点」

  瀬戸内 寂聴 (作家 日本ペンクラブ名誉会員)

 

第二部          「言論の責任」

  森 達也  (作家)

  篠田 博之 (「創」編集長・

日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長)

川村 湊  (文芸評論家・

日本ペンクラブ獄中作家・人権委員会委員)

 

司会 山田 健太 (言論表現委員会委員長)

 

[問合せ先](当日は不可)

 日本ペンクラブ事務局

  TEL:03-5614-5391

  E-Mail: info@japanpen.or.jp

 http://www.japanpen.or.jp

編集長・篠田の近々行われる講演や出演についての情報をお伝えします。


●本の会定例会「雑誌がどんどん消えていく」

日時:2009年2月13日(金)午後7時~
場所:男女平等センター(本郷三丁目。会場地図は下記HP参照)
講師:篠田博之『創』編集長
会費:3000円
本の会事務局 文京区本郷2-23-4 豊島ビル1階 パピルスあい内 
TEL:03-6801-9766 / FAX:03-5684-3059
E-mail:kai@papyrus-i.co.jp
ホームページ:http://www.papyrus-i.co.jp/hon/index.html

●朝日ニュースター「山ちゃんのジャーナルしちゃうぞ!!」
「雑誌は必要か? その存在意義を問う!」

放送日時 : 初回 2月10日(火)23:00
リピート : 2月11日(水)15:00~15:55/2月14日(土)1:00~1:55
         2月15日(日)0:00~0:55 (24時間制で表示してあります)

雑誌が極端に売れなくなっているという。なぜ売れなくなったのか?
それに対して作り手はどんな対策をとっているのか?
そして最終的には、今後も雑誌は必要とされるのか?
雑誌界のご意見番・月刊『創』の篠田編集長をゲストに迎え
山ちゃんと週刊朝日・山口編集長が徹底的に分析します。

《インタビュー出演》
北脇朝子(Hanako編集長) 中條寿子(小悪魔ageha編集長)
※「朝日ニュースター」http://asahi-newstar.com/program/yamachan/index.html/
朝日ニュースター「山ちゃんのジャーナルしちゃうぞ!」2月10日放送分(1)
(2)








 

●雑誌『冤罪File』3月号(発売中)にて

「和歌山毒カレー事件の重大局面」一挙50枚(19ページ)執筆!

詳細はこちら → http://enzaifile.com/

冤罪ファイル2009年3月号