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人気連載次々終了!『週刊少年ジャンプ』が抱えた苦境と打開策

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 大手出版社の屋台骨を支えていると言われるコミックだが、デジタル化を含めて激変の波に襲われている。その全体像は発売中の月刊『創』5・6月号に総特集が掲載されているのでご覧いただきたいが、ここで名実ともにマンガ界のトップを走る『週刊少年ジャンプ』が直面した危機と、それを集英社がどう乗り切ろうとしているか報告しよう。

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同誌が直面した危機とは、この1~2年、人気連載が次々と終了していったことだ。人気連載終了はもちろん本誌の部数にも影響し、『週刊少年ジャンプ』の部数は1年前の250万部から200万部に落ち込んだと言われる。しかし、それ以上に深刻なのは、連載終了した作品をまとめた単行本、いわゆるコミックスの新刊が出なくなることだ。初版360万部を誇る『ONE PIECE』のコミックスが年に何巻出るかで集英社の決算の数字が変わるというほど、大型作品の経営寄与率は高いのだが、『ONE PIECE』は安泰だといえ、それに続く初版数十万部の作品の連載が、この間、次々と終了した。
 この1年間だけでも『暗殺教室』『BLEACH』『こちら葛飾区亀有前公園派出所』『トリコ』の4本、その前年には『NARUTO―ナルト―』『黒子のバスケ』が終了している。
 つまり集英社の屋台骨を支えてきた人気作品のかなりのものがこの2年間でごっそりなくなってしまったのだ。集英社の次の決算が大きな打撃を受けていることは間違いないといえる。
 ジャンプブランドを始め集英社のマンガ部門全体を統括している鈴木晴彦常務が『創』のマンガ特集の取材に対してこう語っていた。
「正直、かなりこたえました」
 実は『週刊少年ジャンプ』は1995年に600万部超という驚異的な部数を誇っていたのだが、『ドラゴンボール』や『スラムダンク』『幽遊白書』という人気連載が次々と終了したのを機に部数が一気に落ち込んだ。それ以来、一貫して部数減が続いているのだが、この1~2年の人気連載終了は、その20余年前の悪夢を思い起こさせたというわけだ。
「ただ、もっとずるずると落ち続けるのではないかという不安もあったのですが、実際はそうでもなかった。あれだけ人気の連載が終了した割にはよく持ちこたえたと思います。よくふんばったなというのが率直な感想です」(鈴木常務)
 一時期、集英社のマンガ部門関係者の顔は一様に暗かったといわれるが、この春、少し明るさが出てきたのは、危機を打開するための施策が少しずつ動き出し、明るい見通しが出てきたからだ。
「今年は『週刊少年ジャンプ』も新しい作品を育てないといけないし、正念場の年になると思います。『ジャンプスクエア』や、春に刊行予定の増刊『ジャンプGIGA』、それにマンガ誌アプリの『少年ジャンプ+』などを、どう連動させてコンテンツを作っていくか。新陳代謝が進むと思います」(同)

アニメ化などで期待の作品も次々と...

 不動の地位を誇る『ONE PIECE』に続く作品といえば、不定期掲載の『HUNTER×HUNTER』を除けば、現在2位につけているのが『ハイキュー!!』だ。そしてこの1年、急速に人気を伸ばしたのが『僕のヒーローアカデミア』だ。2016年春から始まったアニメ化で弾みがつき、2017年も4月からアニメの第2シリーズが放送されている。
「『僕のヒーローアカデミア』のアニメは半年間放送予定で、おそらくコミックスが初版100万部を突破するでしょう。先ごろ発表された読売新聞社などが主催のSUGOI JAPAN AWARD 2017でも『僕のヒーローアカデミア』が、マンガ部門の1位に選ばれました」(同)
 同じく4月からアニメが放送された作品としては『BORUTO―ボルト―NARUTO NEXT GENERATIONS』が挙げられる。『NARUTO』の主人公の子どもを描いた作品で、『週刊少年ジャンプ』に月1のペースで連載されている。
 そのほか今人気上昇中なのが『ブラッククローバー』『約束のネバーランド』と『鬼滅の刃』。鈴木常務は、2017年中にその3作品を50万部タイトルにしたいという。
 それ以外に期待がもたれているのは、『黒子のバスケ』を描いていた藤巻忠俊氏の新連載『ROBOT×LASERBEAM』だ。少年誌には異例のゴルフマンガだが、作品の評価が高く、連載第1回は『週刊少年ジャンプ』の表紙を飾っている(冒頭の写真)。
「今年に入って次々と新連載を立ち上げ、"春の6連弾"と呼んでいるのですが、その6本目がこの作品です。3月に『黒子のバスケ』が映画化されることなどいろいろなタイミングも考えました。
 考えてみれば、『週刊少年ジャンプ』はアンケート主義による競争原理を取り入れたり新人発掘のためにいろいろな試みをしてきたのですが、このところ『ハイキュー!!』にしろ『僕のヒーローアカデミア』にしろ、その作家にとって2本目3本目の作品で大ヒットするケースが目立つ。藤巻さんもデビュー作の『黒子のバスケ』が大ヒットしたわけですが、今回の2作目も期待できる。1作目を終えた作家が次をめざしてコンペを行い、2作目3作目でさらにヒットを出すという成長スタイルはこれから増えていくような気がします」(同)

『ジャンプGIGA』や「ジャンプ+」の連載も

『週刊少年ジャンプ』の今後を支える作品をどう作っていくかという課題をめぐっても今後いろいろな施策を考えているという。そのひとつが春に4カ月続けて発行される増刊『ジャンプGIGA』だ。
「4回の連載で手応えを見ようということで4回分を仕込んでもらっています。昔は『少年ジャンプ』の連載会議で掲載作品を全て決めるという1回勝負だったのですが、今は新人の発表の場として増刊を生かしていこうということです。
 また『ジャンプスクエア』からも『プラチナエンド』『憂国のモリアーティ』など好調タイトルが出ています。デジタルの『ジャンプ+』からも、コミックスにして10万部を超える作品が次々と出始めています。
 それら4つの媒体から新しいコンテンツをどうやって生み出していくか、というのを今後は意識的に取り組んでいこうと思っています」(同)
 特にこの間注目されるのは、『ジャンプ+』のデジタル発の作品から次々とヒットが出ていることだ。
「例えば『青のフラッグ』という作品はネットでは大きな評判になっています。もともと『週刊少年ジャンプ』で連載を描いていた作家によるもので、かつて担当していた編集者が今『ジャンプ+』にいるのでそこで連載が始まったのですね。
 それから『終末のハーレム』もデジタルファーストの作品ですが、第2巻のコミックスが23万部くらい行っています。そのほかも『カラダ探し』などコミックスで10万部を超える作品がこのところ何本も出ています。
 いま『週刊少年ジャンプ』で連載中の『約束のネバーランド』も原作の白井カイウさんと作画の出水ぽすかさんのお二人は最初『ジャンプ+』でコンビを組み、本誌で連載することになったわけです」
 これまで集英社でデジタルファーストのヒットといえば青年誌系の「となりのヤングジャンプ」で連載された『ワンパンマン』が知られていたが、少年誌系の『ジャンプ+』からも続々とヒットが出始めているというわけだ。
 集英社では、2017年は『ONE PIECE』20周年、『ジョジョ』30周年であるほか、来年が『週刊少年ジャンプ』50周年に当たるため、7月から「創刊50周年記念 週刊少年ジャンプ展」など、周年企画が始まるという。
「いろいろな意味で今年は勝負の年になるでしょうね」と語るのは、取締役の隅野叙雄コミック販売部長だ。
「コミックスにしても既刊の重版比率が減少しています。アニメ化なども放送すれば必ずヒットするわけではありません。最近は書店さんからもどの作品を売ったらよいかわからないという声も聞きます。
 そこでこの2月に主要書店法人のマンガ担当のバイヤーの方々に集まっていただいて、動画等も使って今後のいち押し作品についての説明を行いました。従来は人気作品を中心に売っていけばよかったのですが、これからは作品を皆が育てていくことも必要です。営業スタイルも大きく変わらないといけないと思っています」
 人気連載が1~2年で次々と終了という危機に直面しながら、次の作品を育てるための手を次々と打っている『週刊少年ジャンプ』、これから1年が正念場と言われるが、果たしてその行方はどうなるのだろうか。
 ちなみに2017年はライバルの講談社の『少年マガジン』でも、『別冊少年マガジン』連載の『進撃の巨人』がアニメ第2期の放送や舞台化などで大きな期待を持たれているが、それに続く新作の大ヒットをどうやって生み出すかが大きな課題になっている。
 また小学館の『週刊少年サンデー』も、一昨年、編集長交代に伴って連載の6割を入れ替えるという大手術を行い、ようやくその後の新連載からヒットの芽が見え始めているとはいえ、『名探偵コナン』に続く作品が出ていない現状は深刻だ。
 少年マンガ誌3誌とも、2017年は正念場の年といえよう。ここでは『週刊少年ジャンプ』の課題と現状について紹介したが、その少年マンガのほかに、児童誌・少年誌・女性誌・青年誌、デジタル化やライツビジネス、さらにアニメまで、『創』5・6月号「マンガ・アニメ市場の変貌」は約50ページに及ぶ大特集だ。ぜひご覧いただきたい。

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