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フジテレビに日の丸集団の抗議行動。発端はツイッターの一言

ツイッターで何気なくつぶやいた一言が騒動に発展してしまう事例が続いているが、今回のは驚いた人も多かったろう。発端は、俳優の高岡蒼甫が7月23日につぶやいた一言だった。
「正直、お世話になったことも多々あるけど、8はマジで見ない。韓国のTV局かと思うこともしばしば」。
韓流ブームへの違和感の吐露なのだが、平日午後に韓流ドラマを放送しているフジテレビを名指しで批判したことが問題になった。いろいろなタレントを抱えている所属事務所のスターダストプロモーションにすれば、フジテレビを名指しで批判するのは幾ら何でもまずい。結局、28日に高岡は事務所を辞めざるをえなくなってしまう。これをツイッターで公表したことで、スポーツ紙など芸能マスコミが一斉に報道し、騒ぎになった。

 高岡は人気女優・宮崎あおいの夫なのだが、今回の騒動は宮崎の仕事にも波紋を投げたようで、週刊誌はこの2人の関係にスポットを当てた報道を行った。「宮崎あおいと高岡蒼甫 格差婚4年『語られざるドラマ』」(週刊文春)「宮崎あおい『それでも"暴走夫"と別れない理由』」(フライデー)「宮崎あおい 親族が明かす『女優を取るか、夫を取るか』(女性自身)等々。高岡はこれまでも09年にグラビアアイドルと一緒のところを『女性セブン』に「深夜の密会」と報じられるなど、騒ぎを起こしたことがあっただけに、週刊誌はほとんどが、宮崎あおいはなぜ高岡を見捨てないのかという論調。これ、たぶん高岡のプライドをかなり傷つけたのではないだろうか。

 さて、騒動がそこで終わっていれば、こうして取り上げることもなかったろうが、これが意外な方向に飛び火した。韓流ブームに反対する人たちがネット上での呼びかけで、8月7日、お台場に集まり、フジテレビに抗議行動を行ったのだった。それもネットに映像がアップされているから見ればわかる通り、最初はデモ申請もしていないし、集まった人たちもそうおおごとにする気はなかったようだが、ネットで中継を行ううちに、たくさんの人たちが集まりだしたらしい。たくさんの日の丸を手にした人たちがフジテレビの周囲を抗議の声をあげて練り歩くということになった。こんなふうにネットで同時中継をしているうちに賛同する人たちが集まってくるというのは昨年の映画「ザ・コーヴ」抗議などでも同じ。今回は明らかに、その前に竹島問題をめぐる日韓対立がニュースで大きく報道されたことが背景にあるといえる。

 もちろんフジテレビが平日午後に韓流ドラマを流しているのは政治的立場とは無縁の判断からだ。局員が『週刊現代』8月20・27日号でこうコメントしている。

「韓国のドラマは、視聴率も2時間で平均4%台と、あの時間帯としては上々。そしてなに
より、放映権が破格に安いんです」

 この騒動は、「嫌韓」と呼ばれるネット社会のナショナリズムに火をつけてしまったようで、21日にはさらに規模を拡大してフジテレビに抗議デモが行われるという。一昨年にNHKに度重なる抗議を行った時と同じように、「チャンネル桜」など右派メディアが呼びかけを行っている。
 当の高岡はもともと有名になったのが映画「パッチギ!」に出演したことで、当時は2ちゃんねるで「反日分子」呼ばわりされたこともあったという。今回の発言も別に政治的な背景はなかったようで、この騒動には困惑しきり。ブログでこう書いている。「日本の事を呟くと右だとか左だとかそういう話になって、今は普通の会話をしようとしてもそうはいかなくなっていってる」「なんか方向性が明らかに違う気がする」。
http://blog.livedoor.jp/tkok_sosk_8228/
事態を何とか収めようと、高岡は10日にブログで正式に謝罪を行う。今週発売の『週刊文春』によると、この事態収拾のために芸能界の大物が動いたのだという。ネットではスポンサーの花王などへの抗議も呼びかけられており、フジテレビとしてもこの成り行きは気にしているに違いない。
 ちょっとしたきっかけでナショナリズムに火がつく。今回の騒動が示したのは、日本が今、そういう空気になりつつあるという現実なのだろう。

 


 

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