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2011年7月アーカイブ

makeasahi.jpg今朝7月31日付の朝日新聞が生活面で創出版刊『負けないで!』の著者・小笠原恵子さんを大きく報道しました。直近の試合で眼底出血したことでもわかるように、女性でプロボクサーになるということ自体大変なのに、そのうえ聴覚障害で耳が聞こえないという困難を努力によって乗り越えたのが小笠原さんです。小中学校時代はいじめにあったり、不登校に陥ったり、高校時代は親や教師に反発して停学処分を受けたりもしました。逆境のなかで培われたハングリーさが、彼女をボクシングに向かわせたのだと思います。「耳の聞こえない女性がプロボクサーなどとんでもない」と門前払いされながらも、プロへの道をあきらめず、昨年、念願のプロとしてリングに立ったのでした。

決してあきらめずに可能性に挑戦していこうとする小笠原さんの勇気に共感し、彼女の生き方を多くの人に知ってもらおうと出版を企画したのは今年2月のことでした。彼女は不登校で中学3年の時はほとんど授業に出ていないのですが、今回、出版を機に、かつての教師と再会するなど、著者にとっても本を出すのは自分を見つめ直す作業でした。また。彼女の家族は妹も聴覚障害ですが、その家族と半年間つきあったことで、編集者としてもいろいろなことに気づかされました。
これは聴覚障害者の間では常識らしいのですが、子どもが聴覚障害だとわかった時、まず母親がしたことは、家中の家具に名前のカードを貼って、「物には名前がある」ことを教えることでした。また小笠原さんに本などを送る時、宅急便の送り状に電話番号を書けません。彼女の家族は両親とも共働きで、姉妹が家に居ても電話に出られないからです。我々は想像力を働かせないと、聴覚障害の人たちの立場に立って物を考えることができないのですが、そういう想像力を働かせることは我々にとってすごく大切であることを気づかされました。

makenai.jpgのサムネール画像耳の聞こえない人がどうやってプロボクサーとしてリングで闘えるのか。興味深いそのことはぜひ本を読んで把握して下さい。きょうの朝日新聞の記事でも書いていますが、「音の振動を全身で感じる」ということなのですね。ちなみに小笠原さんをプロデビューさせたジムの佐々木会長も視覚障害者です。小笠原さんは、この会長に大きな影響を受けたのです。いろいろなことをかんがえさせてくれる本『負けないで!』をぜひ多くの人に読んでほしいと思います。小笠原さんについては、テレビドキュメンタリーや映画の企画も既に出ています。


  本は全国書店で販売中ですが、ネット書店や創出版のホームページから注文することも可能です。

突然大報道が始まったので驚いた人も多いだろう。原発で東電が問題になっている時だけになおさらだ。しかも、かつて東電は、この事件を報道する際に事件名から「東電」という呼称をはずしてほしいとマスコミに要請していた経緯もあるから、東電自体驚いたに違いない。


昨日は、冤罪を訴えているゴビンダさんを長年支援してきた客野さんに何度電話してもつながらないと思ったら、マスコミからの取材が殺到していたらしい。再審弁護団がコメントを出さなかったため、マスコミは客野さんのところに押し掛けたようだ。


なぜそうなったかというと、今回の報道、新たな鑑定結果が出たことを受けてのものではあるのだが、実はその正式な通知はまだ弁護団になされていない。正式な手続きがある前に、独自に情報を入手した読売新聞が21日朝刊一面トップですっぱ抜いた。それを他紙が慌てて追いかけ、各紙が夕刊で横並びとなったのだ。
弁護団は正式に通知があったら会見するつもりらしいが、昨日の段階では、コメントを控えたという。ゴビンダさん以外のDNAが検出され、再審開始の可能性が大きくなったという報道にほぼ間違いはないのだが、正式な結果が知らされていない段階で会見を開くわけにはいかなかったということらしい。
足利事件、布川事件と冤罪事件が次々と明らかになっているなかでの今回の鑑定結果、その意味するところは大きい。特にこの事件では、これまで支援運動が相当熱心に行われてきたのだが、大きな進展はないままだっただけに今回の突然の事態に驚いた人も多かったろう。

さて問題はこれからだ。昨夜来の報道を見ると、もう再審開始が決まったかのような印象を受けてしまうが、足利事件のように決定的な新証拠であれば、菅家さんが突然釈放といった展開になったのだが、今回はまだそう簡単ではない。だから、今後、マスコミがどんな報道を行うかが重要だ。


例えば産経新聞はきょうの朝刊で、土本武司・元最高検検事のコメントに依拠して「新証拠『足利事件とは違う』」という中見出しを掲げている。新証拠の評価が法律家によって分かれるなかで、どちらに軸足を置いた報道をするかで、かなり印象は異なる。再審開始へ向けた報道がなされるか、否定的な報道になるかで、世論も違ってくるし、今後の再審をめぐる攻防にも影響が出そうな気がする。
いやそれよりも、マスコミがこの報道を1日だけで忘れ去ってしまうのではないかという危惧もある。特に今回は、読売の単独スクープだったために、「特オチ」を恐れる意識が働いて各マスコミとも昨夜から今朝にかけて大きく報道したが、そもそもこういう冤罪事件を長期的にフォローして、自ら問題提起していくという機能が、今のマスコミには著しく低下している。昨日のような大報道になっても、各社が独自の素材を持っているわけではない。だから、明日からまたマスコミが見向きもしなくなってしまう怖れもあるわけで、ここは弁護団や支援の方々に、ぜひがんばってほしい。「報道先行」であったことは両刃の剣でもあるからだ。

IMG_0989.jpg 台風が来ているのでお客さんが来てくれるか心配でしたが、約300人の入場者を得て、無事にシンポは終了しました。

『創』8月号の論者総登場という感じで何しろ出演者が多かったうえに、最後の香山リカさんと鈴木邦男さんの対談に「ぢぢ放談」の矢崎泰久さんが飛び入り登場で怪気炎をあげるなど、今回も盛りだくさんの内容でした。

IMG_1006.jpg『創』イベント初登場のおしどりの2人も、盛大な拍手に包まれ好評でした。終了後、四谷区民ホールの前の大衆食堂で矢崎さんと食事をしたのですが、シンポ帰りの客が多く、「よかったよ」と声をかけられて矢崎さんも満足げでした。

最後は鈴木邦男さんらのグループの打ち上げに顔を出して深夜解散。ばたばたし通しのイベントでしたが、内容は濃かったと思います。5月のシンポに続いて来てくれた方、『創』を愛読してますと声をかけてくれた方々、ありがとうございました。

田代さんのファン「ひろ」さんから、mixiを通じて7月1日の判決公判についてのマスコミ報道のまとめと感想が届きました。労作なので他の人たちにも紹介することにします。実はひろさんからは4月27日の公判の後にもメッセージが届いていたのですが、アップするといって忘れてました。今回、それも紹介します。公判についての報道を整理し、それに自身の感想をつけたものです。ファンの心理も分かり、なかなか参考になります。
ただひとつだけコメントしておくと、前回の事件の時に、今回一緒に逮捕されたAさんとの結婚話があったことを昨年『創』に書いたことを受けて、それが今回の逮捕に関係したのではないかと書いていますが、これはたぶんなかったと思います。当時はまだ前の正式の奥さんと離婚していない時期で、田代さんはそのAさんの話はほとんど無視、妹さんたちも冗談扱いでしたから。

今回の判決については、次号の『創』に何らかの報告をしようと思っています。(『創』編集長・篠田)

※以下はひろさんのメッセージです。※

7月1日の判決について
【これまで】
●6回にわたる公判で争点となっていたのは、同罪で懲役2年6ヵ月執行猶予5年の判決を受けた交際相手のAさんが所持していた覚醒剤約10グラムとコカイン約8グラムが共同所持に当たるかどうかというところ(テレ朝ニュース)
●被告側は、Aさんに金銭を渡した事実と薬物を使用した事実については認めているが、Aさんが保管していた薬物の具体的な量や場所を知らなかったことから共同所持を否定してきた(テレ朝ニュース)

→(私の感想)共同所持は否認していなくても、大量に購入したことは自分の意向ではないという主張だったんでしょうね。でも...