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C・Wニコルさんからの『創』佐高信さんコラムへの抗議について

 ここに書くのは、あくまでも『創』編集長としての見解なので、ご承知おきいただきたい。『創』5・6月合併号が4月7日に発売されてすぐ、佐高信さんのコラム「筆刀両断」がネットで話題になっていることを知った。佐高さんは、今月のコラムで、東電などの広告に登場して、原発PRに一役買ってきた文化人を批判したのだが、その中にC・Wニコルさんも加えていた。これはニコルさんが『山と渓谷』のパブリシティ「TEPCOのECO対談」に登場していたためだ。ただニコルさん側としては、その記事でも原子力の話はしていないし、原発PRに協力したつもりはない、という見解だ。そしてご自身のブログで、「原発PRに協力」というのは誤りだと本誌記事に抗議した。
http://www.cwnicol.com/pdf/110410_gonin.pdf

 実は本誌発売直後から、佐高さんの記述がブログやツイッターで話題になり、ニコルさんの事務所に抗議や問い合わせが相次いだらしい。なかには「日本から出ていけ」などと嫌がらせと思われるようなものもあったという。ネット社会で増幅される過程で、ニコルさん批判が歪んだ形でひとり歩きしてしまったらしい。これについては編集部としては、本当に遺憾なことだと思う。

 ニコルさんの事務所から配達証明で抗議文が届いたのは4月12日だった。編集部としては、12日に配達証明が届いてすぐに佐高さんにファックスでそれを伝え15日に佐高さんの事務所を訪ねて事実関係の確認と今後の対応を協議した。ちょうどその日、『週刊金曜日』でも佐高さんは「原発文化人」批判を特集で展開していた。そして同誌編集部の解説の中でニコルさんの『創』への抗議についても言及し、こう反論していた。「だが、電力会社は自身のイメージ向上を図ることで原発の危険性を中和してきた。電力会社がカネを文化人に出すのは利益追求のために利用できるからでしかない」。ちなみに、この反論については本誌編集部は関知していない。

 ニコルさんが東電のパブリシティ対談に登場したのは、親しくしている『山と渓谷』の企画だったという事情もあったようで、そのパブ記事に登場したことをどう考えるかについては、いろいろな意見があると思う。少なくとも佐高さんとニコルさんとの間に見解の違いがあることは明らかだ。佐高さんは、企業の広告やPRに作家や文化人が出演する場合は(恐らく通常の原稿料よりずっと高額のお金が払われているはずだし)、その責任についても自覚すべきだという意見だ。
 ただ本誌編集部としては、そのことだけを問題にするよりもむしろ、ニコルさんと佐高さんが今回の地震や原子力問題について議論を深めるのが生産的な対処の仕方であるように思う。これまでニコルさんの書いたものを読んできた人たちも、今回の震災や原発事故にニコルさんがどういう感想なり意見をお持ちなのかは興味あることだと思う。


 そこで、本誌としては、ご両人の対論を『創』次号で行うことを提案し、双方にお願いした。本誌は以前、「天敵」と言われた佐高さんと猪瀬直樹さんの対論を実現させたこともある。その時に比べれば、今回の両者は、本当のところは対立する立場ではないのかもしれない。
 いま編集部は両者と協議中だ。ぜひ対論を実現させるべく努力したいと思う。
                      (『創』編集長・篠田博之)

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