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月刊「創」ブログ

北朝鮮制裁や新型インフルエンザ対策など日本国の最近の危機管理策は疑問だらけだ

東京税関から文書が届いた。創出版から北朝鮮に送った郵便物が制裁措置にひっかかって送れないとの文面だった。これは平壌にいる「よど号」グループが毎月購読している「創」のことらしい。「創」は獄中とか北朝鮮とか、特別なところに読者のいる雑誌なのだが(笑)、何と制裁措置の発動で、その「創」が平壌に入らなくなったらしい。「よど号」グループは「創」以外にも日本の雑誌などをたくさん取りよせて読んでいるはずだが、それらもダメになってしまうのか。でも、こんなふうに情報までもシャットアウトしてしまうのって、本当に北朝鮮への制裁になっているのだろうか。むしろ北朝鮮にいる人たちにこそ、国家からの一方的な情報に偏らぬよう日本の情報を送り込んでやるべきだと思うのだが。

 

危機管理で思うのだが、最近、おかしいのは、東京拘置所へ面会に行くと、全員がマスクを着用させられることだ。面会室はアクリル板で隔てられているのに、そこでマスクつけて話すのだから、話は聞こえにくいし、しかも奇妙なことにマスクをつけるのは外から面会に行った側だけで収容されてる獄中者はつけていない。つまりこれは、拘置所の「水際作戦」というわけだ。外部から新型インフルエンザのウイルスが侵入するのを面会室で阻止しようということらしい。でも本当にこんなことで対策になっているのかどうか。そもそも今や外界では一時期のように皆がマスクをつけるのもやられていないのに、拘置所だけこんなふうにしていること自体がすごく奇妙な感じがする。

一連の新型インフルエンザ対策のおかしさについては、厚生労働省の現役検疫官である木村盛世さんに詳しく話を聞いて、発売中の「創」8月号に載せた。木村さんの主張はテレビなどでも報道されているが、こんなふうに8ページもの分量でまとまって彼女の主張を展開したのは初めてだ。で、体系的に聞いてみると、木村さんの主張はいろいろなことを考えさせてくれる。4月28日からしばらく続いた「水際作戦」なるものの馬鹿馬鹿しさは後に明らかになるのだが、どうして政府がこういう時代遅れの危機管理対策をとったのか。しかもそれに対してどうして疑問の声がきちんと上がらなかったのか。木村さんは一連の政府の対策は、日本がいかに危機管理ができていないかを世界中に示したもので、逆に非常に危険なことだと指摘している。

 

木村さんのこうした内部告発ともいうべき発言に対しては、当然ながら厚生労働省から圧力がかかっており、今はまだマスコミが注目しているので露骨なことはやりにくいだろうが、今後なんらかの力が彼女に加わる可能性は大といえる。本人もそのくらいは覚悟で内部告発に踏み切ったのだろうが、本当はこういう内部からの批判がきちんと受け止められるくらいでないと危機管理というのは機能しない気もする。

秋からは新型インフルエンザの第2波が襲来すると言われる。春の大騒動がどの程度正しく教訓化されたのかが試されるわけだが、木村さんの話を聞いていると、この国の政治家や官僚たちに危機管理を任せておいて大丈夫なのかと思ってしまう。怖いのは、北朝鮮の制裁にしても、インフルエンザ水際作戦にしても、よくわからぬうちに国家が方策を打ち出し、しかも本当にそれが効果的なのか検証や議論が十分になされている感じがしないことだ。非常時といった言い方のもとに国家が有無を言わさず強権的にふるまう最近の日本のありようには空恐ろしいものを感じざるをえない。

 

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