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3月5日、日本ペンクラブ「死刑問題」でシンポジウム

RIMG2562.JPG 夜6時半からブレスセンターホールにて開催されました。第一部は作家・瀬戸内寂聴さんの講演。幸徳秋水とともに死刑になった菅野すがについて昔書いたことがあったという話から、永山則夫死刑囚との関わりなど、自分と死刑について語り、「物を書く人間として死刑になる人たちの心情を思いやることはできる」「自分は宗教者の立場としても文学者の立場としても死刑には絶対反対であり、たとえ殺されようともその信念を曲げることはない」「体を張ってでも死刑反対を唱えていくつもりです」と述べました。「寂庵で法話の時、死刑の話をすると、必ず手があがって『被害者の立場も考えろ』とか、『身内が殺されても死刑反対と言えるのか』と言う人がいますが、そういう時でも私は、それでも 死刑に反対します、と言っています」とも。  

 その後、会場との質疑応答に移ったのですが、これが法話そのままで、批判めいた質問が出てもユーモアたっぷりに答えるなど、なかなかの応酬。例えばある男性から「私は自分さえよければいいと思ってるので、他人の死刑に反対しようとは思わないのですが」という質問が出ると、「それも生き方ですからよいと思いますよ」と受け流した後、「でもその考えは戦争につながりますよ」と自分の意見を述べ、さらに「あなたには恋人がいますか?恋人がいればわかりますよ」と切り返します。会場の男性は「恋人はいませんが、できるよう努力してみます」と答えて会場は爆笑。さすが寂聴さんでした。

 

RIMG2712.JPG   その後10分間の休憩をはさんで、パネルディスカッション。司会のペンクラブ言論表現委員長・山田さんから世界の死刑廃止状況など現状についてグラフなどを使って説明があった後、3人のパネラーが順番に話しました。最初は作家の森達也さん。なぜ日本では死刑存置の意見が80%を超えているのかについてマスメディアの取り上げ方など話しました。次は『創』編集長の篠田が、死刑囚の置かれた現状を宮崎勤死刑囚との交流などを例にあげて説明、小林薫死刑囚が年末に『週刊新潮』を提訴した事例をあげながら死刑囚にとって死とは何なのかという話をしました。3番めは文芸評論家の川村湊さんで、自身が選考委員をしている大道寺基金をもとにした死刑囚の表現展について、実際の応募作品をプロジェクターで写しながら説明しました。死刑囚が罪を償うというのは難しいが、ひとつ言えるとしたら、彼らが発言や表現を行うことによってそれができるのではないか。川村さんは死刑囚の置かれた現状を紹介しながら、そう訴えました。その後、裁判員制度についての感想や、もし死刑制度に代わるとしたらどういう処罰の仕組みがあり得るのかなど、会場からの質問に応える形で話が進みました。

 会場には、NHKや新聞社など報道各社が取材に訪れたほか、安田好弘弁護士や、元オウムの荒木浩広報部長など、見覚えのある顔も目につきました。  

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