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2009年3月アーカイブ

痛快おんな組.JPG 本日19日は、「創」編集長・篠田が2年間レギュラー出演した朝日ニュースターの番組「痛快!おんな組」の最後の収録(あ、リニューアルで私のコーナーがなくなるだけで番組は続きます)でした。収録後、スタジオで花束が渡され、中山千夏さんや永六輔さんといったそうそうたる出演者に「御苦労さま」というねぎらいの言葉をもらい、ちょっぴり感激。放送は28日夜10時からです。最終回では私のライフワークのひとつである死刑問題を取り上げました。
 さっきさっそく、収録後にスタジオで撮影した記念写真が届きました。  何枚かの写真からプロデューサーが選んだものですが、私の表情のよいのを選んだんでのでしょうね。永さんが疲れた顔で写ってるので、何か申し訳ない感じ。ちなみに永さんは次号から「創」で連載対談が始まります。

 

  朝日新聞17日.JPG  さて最近の業界の話題の最大は「バンキシャ!」問題の責任をとって日本テレビ社長が突然辞任したこと。これには驚きましたね。何がって、その唐突さに。日テレとしてはこれでけじめをつけたいという狙いなのでしょうが、そのメッセージが伝わらず、「え?」という感じです。16日の辞任会見も、最初カメラ不許可で取材制限したら非難ごうごうで急きょ、会見をやり直すというドタバタぶり。
 私もこの件では朝日新聞社からコメント取材があり、それは17日の関西版朝刊に載ったのですが(写真参照)、一緒に掲載されている写真が傑作。日テレ側が取材カメラマンを実力で排除している写真を載せているんですね。これ東京版に載らなかったのは、こういうユーモアセンスに対する東西の受け止め方の違いによるものなのか。でもたぶん皆さんは、新聞が地域によってこんなに紙面が違っていることを知らないと思いますが、結構すごい違いなのですよ。

 

 

 

 

毎日新聞.JPG それから毎日新聞3月15日付の同紙にドーンと掲載された「開かれた新聞委員会」の検証記事もすごいですね(写真参照)。千葉県東金市の知的障害者によるとされた東金事件の報道について、弁護人の副島さんが抗議したことについて論じているのですが、経緯は月刊「創」4月号に詳しく掲載されています。この1面全部を使った扱いの大きさに、毎日新聞の見識を感じました。「創」もこの論争の当事者のひとつですが、個別の事件報道についてこんなふうに論争が行われるのはすごくよいことです。

 それからもうひとつ。朝日新聞や東京新聞が取り上げていましたが、昨年末の講談社『現代』休刊に象徴されるノンフィクションの危機について考えるシンポジウムが30日に都内で開催されます。関心のある人はぜひ足を運んでください。詳しくは月刊『創』4月号P27に載っています。参加予約と問い合わせは gendai.symposium@gmail.com へ。
(篠田博之)

みのもんた司会のお昼の番組ですが、その中の「きょうは何の日」というコーナーで宮崎勤死刑囚のことを取り上げます。
 『創』編集長・篠田が12年間にわたって接触し続けた宮崎死刑囚の自筆の手紙を紹介しながら、宮崎勤とは何者だったのかを語ります。

 収録は創の編集部で行われ、雑然とした雰囲気がたぶんそのまま放映されるはず。
 死刑問題に関心のある人は見てください。
 死刑問題は、読売、毎日に続いて朝日も連載を始めるなど、裁判員制度導入へ向けて関心が高まりつつあります。

RIMG2562.JPG 夜6時半からブレスセンターホールにて開催されました。第一部は作家・瀬戸内寂聴さんの講演。幸徳秋水とともに死刑になった菅野すがについて昔書いたことがあったという話から、永山則夫死刑囚との関わりなど、自分と死刑について語り、「物を書く人間として死刑になる人たちの心情を思いやることはできる」「自分は宗教者の立場としても文学者の立場としても死刑には絶対反対であり、たとえ殺されようともその信念を曲げることはない」「体を張ってでも死刑反対を唱えていくつもりです」と述べました。「寂庵で法話の時、死刑の話をすると、必ず手があがって『被害者の立場も考えろ』とか、『身内が殺されても死刑反対と言えるのか』と言う人がいますが、そういう時でも私は、それでも 死刑に反対します、と言っています」とも。  

 その後、会場との質疑応答に移ったのですが、これが法話そのままで、批判めいた質問が出てもユーモアたっぷりに答えるなど、なかなかの応酬。例えばある男性から「私は自分さえよければいいと思ってるので、他人の死刑に反対しようとは思わないのですが」という質問が出ると、「それも生き方ですからよいと思いますよ」と受け流した後、「でもその考えは戦争につながりますよ」と自分の意見を述べ、さらに「あなたには恋人がいますか?恋人がいればわかりますよ」と切り返します。会場の男性は「恋人はいませんが、できるよう努力してみます」と答えて会場は爆笑。さすが寂聴さんでした。

 

RIMG2712.JPG   その後10分間の休憩をはさんで、パネルディスカッション。司会のペンクラブ言論表現委員長・山田さんから世界の死刑廃止状況など現状についてグラフなどを使って説明があった後、3人のパネラーが順番に話しました。最初は作家の森達也さん。なぜ日本では死刑存置の意見が80%を超えているのかについてマスメディアの取り上げ方など話しました。次は『創』編集長の篠田が、死刑囚の置かれた現状を宮崎勤死刑囚との交流などを例にあげて説明、小林薫死刑囚が年末に『週刊新潮』を提訴した事例をあげながら死刑囚にとって死とは何なのかという話をしました。3番めは文芸評論家の川村湊さんで、自身が選考委員をしている大道寺基金をもとにした死刑囚の表現展について、実際の応募作品をプロジェクターで写しながら説明しました。死刑囚が罪を償うというのは難しいが、ひとつ言えるとしたら、彼らが発言や表現を行うことによってそれができるのではないか。川村さんは死刑囚の置かれた現状を紹介しながら、そう訴えました。その後、裁判員制度についての感想や、もし死刑制度に代わるとしたらどういう処罰の仕組みがあり得るのかなど、会場からの質問に応える形で話が進みました。

 会場には、NHKや新聞社など報道各社が取材に訪れたほか、安田好弘弁護士や、元オウムの荒木浩広報部長など、見覚えのある顔も目につきました。  

3月5日、日本ペンクラブ主催で死刑問題のシンポジウムを行ないます。

 

瀬戸内寂聴さん、森達也さん、川村湊さんらに『創』編集長・篠田も加わってのシンポジウムです。ぜひご参加ください。

 

「死刑作家の視点、言論の責任

 

0935日(木)日本プレスセンター10Fホール

 1800開場・1830開演・2100終了(予定)    日本プレスセンタービル10F 

定員  250               参加費 500                地下鉄/千代田線・日比谷線霞ヶ関駅C-4

 

 

挨拶 浅田 次郎(作家 日本ペンクラブ専務理事)

 

「獄中作家の日について」

 

今野 敏 (獄中作家人権委員会 委員長)

 

 

第一部  講演「作家の視点」

 

瀬戸内 寂聴 (作家 日本ペンクラブ名誉会員)

 

第二部          「言論の責任」

 

森 達也  (作家)

 

篠田 博之 (「創」編集長)

 

川村 湊  (文芸評論家)

 

司会 山田 健太 (言論表現委員会委員長)

 

行ってきましたよ。東京地裁709法廷。傍聴席は約40ですが、たぶん傍聴人はこれまでで一番多かったのではないでしょうか。傍聴席はほぼ埋まっていたし、開廷前にはへたすると全員は入れないのではと心配もしました。相変わらずごく一部を除いて新聞・通信社などが取材にも来ないというのが気になりましたが(マスコミは何をやってるのか本当に)。でも逆に北海道からわざわざ来たという元NHK職員や、これまたNHKをやめて内部告発を行った立花さんら常連が今回も来ていて、傍聴席も熱気がありました。

 今回は本人尋問。つまり支払拒否をしてきて、裁判になるぞと脅されてもそれでも屈しなかった当事者が法廷に立つという、この裁判のハイライトでした。2人とももちろん一般市民ですから、緊張したようで、特にAさんなど、途中緊張しまくって、裁判長に「水を飲んでもいいでしょうか」とペットボトルの水を飲んでいました。あ、ここでは被告本人の2人をA、Bと表記します(以前は仮名にしてましたが)。
 もともとこの裁判はAさんが支払督促を受けて、ネットに発信をしていて『創』のライターに接触したものです。もうひとりBさんは、このサイトを見て連絡してきました。もうひとり、最初本人訴訟をしようとしていた人が、これもネット経由で弁護士と接触をとったのですが、3人のその被告のうち本人訴訟をしていた人は途中で和解したため被告は2人になっていました。
 本人たちはもちろんこれまでこのサイトと『創』以外はマスコミにも出てないし、基本的に匿名。で、Bさんが大きなマスクをしてたので、そうやって顔を隠してるのかと思ったら、そうでなく単に花粉症でした。
 証言はBさんから。最初に弁護人からの質問、そしてNHK代理人からの反対尋問、そして最後にまた弁護人質問、という順番でした。Bさんは、一時期、受信料は払っていたのですが、当時はそれが契約に基づくという意識はなく、集金人からも契約についての説明は受けてないと証言。自分の意志で支払い拒否に踏み切ったのは、2004年に不祥事で、「自分は抗議の意思を示すために支払いをやめました」「それ以降も不祥事が繰り返されており、そういうNHKの対応に納得がいかないので、その後も払っていません」とはっきりと述べました。聞いていて「やった~」という感じでしたね。

 で、NHK側の反対尋問では「昨年のオリンピックも見てなかったですか?」とかチクチクつつこうという質問がなされましたが、Bさんは「見ていません。民放は見ましたが」と答えてました。その後、『創』のインタビューでBさんが述べたことをついてきたので、傍聴席でちょっとギクッとしましたが、後で弁護人がフォローしてあげてました。
 次はAさん。こちらは拒否理由を「NHKは見ていない」「お金に余裕もないので払う意思はなかった」ことなどを説明し、それとNHKの不祥事や、番組改変問題での政治介入も理由にあげました。反対尋問でNHK代理人は「さきほどそうおっしゃいましたが、番組改変問題というのは一般の人はあまり知らないと思いますが」と言ったために、弁護団と傍聴席から大ブーイングが出ました。何しろこの弁護団は、その改変問題の弁護人をした人たちなので、この発言にはムッとしたでしょう。「異議あり」とNHK代理人に抗議していました。

 閉廷後、被告や傍聴者がいつものように待合室で意見交換し、法廷証言という大役を終えた2人に、みんなが大きな拍手を送りました。次回は4月28日11時から709法廷で。これで結審で、夏休み前に判決が出る予定です。
 この裁判を通して、それまであまり知らなかった「公共放送とはどういう仕組みなのか」「受信料とは何なのか」、それが戦後、憲法とどういう関係にあるかなど、多くのことを学びました。本当はNHKが率先して、元々受信料システムとはどういう理念だったのかアピールすべきなのですが、むしろ逆で、支払拒否をしている方がNHKに対して原点をもう一度みつめろ、とつきつける裁判でした。本来は、国でも企業でもなく市民が放送を支えるという崇高な理念から出発したのに、NHKがどうして今のような体質に堕落したのか。この裁判はそれを考えるプロセスでもあります。
 ぜひ次回、多くの人が法廷に足を運び、一緒に考えたいと思います。

 そう言えば待合室での意見交換の時、ミクシィで「NHK受信料支払いません」というコミュニティを立ち上げ管理しているという浜田さんという方とも会いました。あちこちで受信料問題を考えている人たちはたくさんいます。相互に意見交換や議論ができればよいと思います。
 それから、Bさんに「その後ごぶさたばかりですみません」と丁寧な言葉を頂きました。我々こそ、この運動をもっと大きくしようと思いながら忙しさにかまけて十分なことができずにいるので、こちらの方が恐縮しました。 (篠田博之)

受信料拒否裁判がいよいよ大詰めを迎えました。
これまでの経緯についてはブログ『NHK受信料督促裁判を考える』をご参照下さい。

本日2時半から約2時間、支払い拒否を続けてきた人たち2名に対する本人尋問が行われます。
これまで一度機会があれば傍聴に行こうかと思っていた人は、行くなら本日です。
法廷は東京地裁709号法廷です。創出版からも何人か行く予定で、法廷の様子は終了後、上記ブログにてお伝えします。