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『週刊ポスト』『週刊現代』に警視庁がわいせつ容疑で警告なる報道の裏側

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11月21日の読売新聞夕刊が報じ、他紙が翌日一斉にフォローした記事が話題になっている。警視庁が『週刊現代』『週刊ポスト』の編集長らを、わいせつの疑いで呼び出し、警告を発した、というものだ。

 問題とされたのは『週刊ポスト』8月1724日合併号が掲載し、『週刊現代』も後追いした英国人アーティストの作品だ。多数の女性器を型どりし、それを並べて芸術作品としてロンドンの展覧会で展示した。その作品を週刊誌が掲載したのだった。

 今回の報道が話題になっているというのは、実は記事をよく読むとわかるが、2誌が呼び出されたのは九月なのだ。2カ月も前のことがいま報じられたのは、背後に警視庁の思惑があるのではないか、というわけだ。

 というのも、このところ『週刊ポスト』『週刊現代』の2誌は、頻繁に女性器についての特集記事を掲載している。特に『週刊現代』の方は、9月以降ほぼ毎号といった頻度で、「大反響企画」とぶちあげている。

女性器についての特集と書くと、またオヤジ雑誌のエロ企画かと思うだろうが、そう単純ではない。『週刊現代』で顕著な特徴は、毎号のように女性を登場させて性器について語らせていることだ。木嶋佳苗裁判の傍聴記で知られるフェミニストの北原みのりさんも1119日号に登場してこう語っている。

「週刊現代が『外性器』の特集をはじめて何に感動したかといえば、まずこんなに堂々と『外性器』という言葉を、太文字でドンと出したことなんです」

 かつて男性週刊誌のエロ企画は、女性を性の対象としか見ない女性差別の現われだとしてフェミニストの抗議を受けていた。それが今回は、女性が性について堂々と語るのは良いことだとして評価を受けているというのだ。『週刊現代』はこう書いている。「9月から続く本誌の『女性外性器』特集。その愛読者をリサーチした結果、多数の女性読者も存在すると判明した」

 ホントかなという気もするが、評価はともかく反響はあるらしいその企画の過熱ぶりに水をさしたのが、今回の新聞報道だった。さてこの警告、どんな影響を及ぼすのか。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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