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篠田博之の「週刊誌を読む」

『週刊文春』タブーなきスクープ連発

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 前回本欄で取り上げた『週刊文春』の記事に対して『フライデー』1228日号が反論を掲載した。

吉本興業のタレントとTBS女子アナの密会をスクープした『フライデー』の記事は、別のスキャンダルをもみ消すために吉本興業と同誌がバーターした「やらせスクープ」だった。それが『週刊文春』の告発だったが、『フライデー』は、密会を隠し撮りした経緯を報告し、ヤラセでない、と反論したのだ。

 『週刊文春』の告発が大筋で間違っていたとは思えないが、実態は同誌が書いたのよりもう少し複雑なのだろう。でも、こんなふうに週刊誌同士で相互批判がなされるのはよいことだ。

 それにしても今年の『週刊文春』は大健闘だった。小沢一郎妻の離縁状、巨人原監督スキャンダル、AKB48前田敦子の泥酔写真などスクープを連発。週刊誌界を活性化させた。

 これでかなり部数を伸ばしたはずと思っていたら、部数公査機関のABC協会が先頃発表した上半期の平均部数を見て驚いた。各週刊誌が前年比マイナスのなかで、『週刊文春』もわずかながら部数を落としていたのだ。

それでは下半期は上がるのかと思って関係者に聞いてみると、夏以降はもっと苦戦しているという。昨年は島田紳介の暴力団騒動など話題が多くて売れ行きが良かったから、対前年比ではそうなってしまう。あれだけスクープを飛ばしながら、それが部数に大きく反映されないというのは、週刊誌界の厳しい現実を象徴した事柄だ。

AKB48人気が芸能マスコミを席巻するなかで、一貫してそのスキャンダルに食らいついたのも『週刊文春』だった。最近でいえば12月6日号のAKB48増田有華とミュージシャンISSAの密会写真だ。増田有華といっても知らない人が多いだろうが、彼女はこのスキャンダルでAKB48をやめることになった。ファンにとっては大変なことらしく12月2日のISSAのイベントには30名のAKBファンが乱入し「増田を返せ!」と叫んだという。

AKB48スキャンダルも封印せず、『フライデー』など同業者批判もタブーにしない『週刊文春』の見識には、とりあえず拍手を送りたい。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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