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篠田博之の「週刊誌を読む」

『週刊朝日』連載中止事件と相次ぐ誤報事件

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 『週刊朝日』連載中止事件については二度書いたので終わりにしようと思ったが、他の週刊誌の論評について少し書いておく。

『サンデー毎日』『SPA!』『週刊金曜日』などが、部落差別や差別表現について考えるという切り口で記事にしている。意外と言うと失礼だが、『アサヒ芸能』11月8日号も部落解放同盟の組坂繁之委員長を登場させてストレートな論評だ。解放同盟は既に『週刊朝日』に抗議文を送ったという。これを機に差別表現について改めて議論が起こることを望みたい。

さて、このところ気になるのが、マスメディアの深刻な誤報が相次いでいることだ。iPS騒動に続いて、今度は尼崎連続変死事件をめぐる被告の写真取り違えだ。十月三十日から三十一日にかけて新聞・通信社やテレビ局が次々と謝罪をしたが、週刊誌も既に『フライデー』が謝罪を掲載。今後、各誌が謝罪をしていくのだろう。

このふたつの事件の深刻なところは、特定の媒体のミスといったものでなく、多くのマスメディアが一斉に過ちを犯したことだ。つまりメディアの構造的な部分に根差した誤報なのだ。こういう事態が続くと、メディアに対する市民の不信感がますます募ることになりかねない。

iPS騒動も深刻な問題だったが、あれだけメディアを振り回した当の森口尚史さんはといえば、このところ悪びれもせず週刊誌に登場している。『フライデー』1116日号では、同誌記者とともにカラオケ店に行って

「ロンリー・チャップリン」を熱唱する姿が掲載されている。

しかも記事中で本人は「芸能事務所からの誘いもある。せやなー、手始めに『サンデー・ジャポン』(TBS系)に出るのとか、ええんちゃいます?」とコメントしている。いったい何なのだと思わず脱力してしまう。

そのほか『週刊文春』『週刊新潮』が報じていたが、先頃の秋の園遊会で、招待客の一人である高齢の男性が突然、秋篠宮に「あんたいい男なんだからさア、おかっぱ頭をやめて陛下みたいな髪型にしなさいよ」と声をかけたという話には驚いた。そばにいた宮内庁職員は凍りついたに違いない。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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