篠田博之の「週刊誌を読む」
『週刊新潮』が告発した田中慶秋法相と暴力団の癒着
野田改造内閣が発足直後からスキャンダルまみれになっている。極め付きは『週刊新潮』10月18日号「法務大臣『田中慶秋』と暴力団の癒着」だろう。田中法務大臣については、就任直後に「外国人献金問題」が火を噴いたが、今回の問題の方がずっと深刻だ。
発売後、大臣は会見で、暴力団幹部の仲人を務めたことを認め、頼まれてよく知らずにやったと弁明していた。でも『週刊新潮』を読むと、とてもそんな単純な話ではない。
稲川会系暴力団幹部だった男性とのつきあいは、三十年前に仲人を務めただけでなく、その後も続いていた。ある右翼が田中氏を攻撃しようとしたら、その暴力団幹部が止めに入ったというエピソードも紹介されている。
田中大臣はこの幹部だけでなく、稲川会系の複数の幹部とつきあいがあり、組長の宴会で挨拶したこともあったという。記事の中で暴力団幹部がこうコメントしている。
「あの慶秋が大臣とは、隔世の感がある。しかも、法務大臣とはな。どちらかと言えば、私たちのような"取り締まられる側"に近かった慶秋が"取り締まる側"になったわけか」
『週刊新潮』の報道が全て真実かどうかは別にしても、この閣僚人事はどう考えてもまずいだろう。こういう人を法務大臣にというのは、ほとんどブラックジョークだ。野田新内閣についてはまだまだスキャンダルが噴出しそうな感じがする。
このところスクープというと『週刊新潮』『週刊文春』二誌の独壇場だが、『週刊文
春』のAKB48追跡の執拗さにも感心する。
AKB48公式ガイドブックを文藝春秋が刊行したことで、ついに文春も陥落か、と本欄でも書いたが、その疑惑を払拭せんとするかのように『週刊文春』はAKBスキャンダルを頻繁に掲載している。
特に同誌9月20日号「国民的アイドル前田敦子 深夜の『お嬢様抱っこ』」は、泥酔した前田敦子の衝撃的な写真がいまだに語り草になっている。
そのスクープをものにしたのは、今年入社した新人記者だという。ゲリラ精神という原点こそが週刊誌活性化の鍵であるかもしれないことを、この話は示している気がする。
(月刊『創』編集長・篠田博之)
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