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篠田博之の「週刊誌を読む」

「視聴率のとれる政治家」新聞・テレビの橋下市長報道

 早く辞めてほしいと思っている国民も多い野田首相が、民主党代表選で大差で再選。自民党総裁選もそうだが、国民の意思とかけ離れたところで政治が動いている。政治が国民に、失望や絶望しか与えないという、この現実は何なのか。

 『週刊朝日』9月28日号「視聴率の取れる政治家、取れない政治家」が面白かった。最近の政治に関する報道で視聴率がどう動くか語ったテレビ局員の覆面座談会だ。

 「民主党政権で数字が取れたのは発足当初だけだった。今回も、民主党代表選を扱うと数字が軒並み下がってしまう」

 民主党だけでなく自民党も同じらしい。

 「テレビ朝日『報道ステーション』が連日、総裁候補をスタジオに呼んで話を聞いたけど、出演中に軒並み数字が下がった」「石原伸晃幹事長が出た11日は特に食いつきが悪くて、視聴率が4ポイントほど下がった」

 一方で数字がとれる政治家は何といっても橋下徹大阪市長だ。

 「東京でも、いま確実に数字が上がる政治家は橋下さんだ。その日の政治の動きをパッケージで紹介して、最後に『一方、大阪市の橋下市長は......』とやって発言を流す。すると0・5~1ポイントぐらい上がるからね」

「7月に橋下さんが関西局で順繰りに出演したんだけど、出演中に4ポイント近く上がったこともあった。2008年に大阪府知事に就任以来、関西のテレビ局は橋下報道を大量に流してきたけど、数字が落ちない」

国民の意識が、そのまま数字に反映されているのだ。その視聴率にもっぱら依拠して報道を行っているテレビが、その傾向を増幅してもいるのだが。

橋下現象については週刊誌も特集を組んでいるが、『週刊新潮』『週刊朝日』など批判的視点が目につく。事大主義に抗する週刊誌ならでは、といえるかもしれない。

さて、キャサリン妃の水着姿を隠し撮りした写真が雑誌に掲載され、英王室が告訴するなど、ヨーロッパで騒動になっている。最新号の『フライデー』や『週刊現代』がその話題を取り上げ、問題の写真も掲載している。王室のプライバシー報道をめぐる論争、ちょっと興味深い。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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