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篠田博之の「週刊誌を読む」

『週刊新潮』が批判したAKB48とマスコミの関係

 8月24日から3日間の東京ドーム公演、27日は秋葉原での前田敦子卒業公演と、8月下旬、AKB48は芸能マスコミを席巻した感がある。

そうしたムードに冷水を浴びせているのが『週刊新潮』9月6日号「誰も批判しないAKB48『前田敦子』卒業バカ騒ぎ」だ。

 「この期間、新聞・テレビ・雑誌の各メディアは、完全にAKB側にコントロールされていたといっても過言ではない。スポーツ紙は言うに及ばず、AKBを創刊135周年記念のイメージキャラクターに起用し、ドーム公演も特別後援している読売新聞をはじめ、朝日・毎日・産経から日経まで、全国紙は軒並み"あっちゃん"の動向を報じてきたのだ」

 記事はこの後、テレビにも言及。民放は言うに及ばず、ニュース番組で5分間もその話題を報じたNHKなどを次々と批判。そして最後に、秋葉原にご祝儀広告を掲出した出版社を俎上にあげる。

 「ポスターの数は全部で150枚。うち最も多いのは集英社の38枚、次いで講談社の20枚。文藝春秋は3枚、朝日新聞出版とマガジンハウス、日経BP社も1枚ずつ『お付き合い』しており......」

そうした指摘の後、同誌は、それらのメディアをこう斬ってみせる。「常日頃、彼らが口癖のように唱えている『批判精神』、あるいは『編集権の独立』といったお題目は、ここでは用を成さない。これでは、たかだか独り立ちする程度で空騒ぎを引き起こす無芸アイドルに、茶々を入れるわけにもいくまい」

AKB48ブームをここまで超然と批判できるのは『週刊新潮』だけかもしれない。その意味では貴重だが、ただそれは同誌の読者が高齢化しているため、という見方もできる。スキャンダルを報じる一方でブームに便乗もする『週刊文春』との違いはそこにある。

『週刊文春』9月6日号は、グラビアでエールを送りながら、記事ではAKB48のウラ情報を披露。記事の末尾ではこう述べている。「小誌は今後もガチですので、よろしくお願いします」。

AERA』9月3日号は前田敦子を表紙に掲げ、大々的に特集。それぞれの距離の取り方に、媒体の思惑が透けて見えて興味深い。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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