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篠田博之の「週刊誌を読む」

「維新政治塾」の名簿をすっぱ抜いた『週刊ポスト』

 次の総選挙で台風の目になると言われる橋下徹・大阪市長率いる大阪維新の会。その候補者を確保するために集めたとされる「維新政治塾」八百八十八人の名簿をスッパ抜いたのは、六日発売の『週刊ポスト』8月1724日号だった。

 発売後の七日の会見で、橋下市長は情報漏えいを謝罪。同誌記事は永田町で大きな関心を呼んだ。誰が何の目的で流出させたのか、様々な憶測も流れた。

 そして『週刊ポスト』は、翌8月31日号で「橋下維新・総選挙候補888人出馬選挙区を公示する」と題して、塾生が出馬した場合の予想選挙区を公表している。前号では名前と年齢、肩書きを公表したのだが、多くの与野党議員から自分の選挙区からどの塾生が出馬するのか知りたいという要望が寄せられたらしい。

 同誌は今回、そういう議員たちを利するために公表するのではないとして、こう書いている。「民主党にも自民党にも投票したくない」と考える有権者にとってそれは極めて重要な情報だ、と。

 公表された八百八十八人には、地方議員や国会議員関係者など、政界の人間のほかに、メディア関係者やタレントもいる。夕刊紙やネットでは「期待はずれの素人集団」と揶揄する論評もあるが、『週刊ポスト』は、素人だからこそ既成政治を変えられる可能性があると書いている。

 『週刊朝日』8月1724日号も特集で「台風の目はやっぱり橋下維新の会」と掲げるように、いまや維新の会は注目の的だ。実態以上に持ちあげられている感もあるが、それが既成政党への絶望感の裏返しであることは確かだろう。

 『週刊現代』8月1825日号は「超『格差社会』ニッポンの現実」という大特集を掲載している。格差がさらに拡大しているとして、同誌はそれを、超「格差社会」と呼んでいるのだ。そうした閉塞感が、橋下ブームの背景にあるといえる。

 最後に私事ながら、先頃、『生涯編集者』(創出版)という新刊を上梓した。何人もの死刑囚とのつきあいや芸能人の薬物事件との関わりなど、三十年余に及ぶ編集者としての仕事をまとめたものだ。ぜひご一読頂ければ幸いである。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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