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篠田博之の「週刊誌を読む」

原発現場作業員たちの証言続々

福島原発事故は先の見えない状況が続いている。その作業現場はどういう状態なのか、週刊誌がゲリラ的取材によって次々と作業員の証言を報じている。

『週刊朝日』4月15日号で匿名の東電社員はこう証言している。  

「報道では、防護服を着て作業しているシーンがよくテレビに出ていますが、あれは防護服なんかじゃない。ペラペラのビニール製のもの。あんなもので放射線を防ぐことは不可能です」「作業員たちは、いつ被曝しても不思議じゃない」「この間、社長や幹部を張り倒している夢をみた。本当にそんな気持ちになりますよ」

『週刊現代』4月16日号に登場した匿名の東電技術系社員によると「いま、福島第一にいるのは約480名」という。「東京電力の社員が8割程度で、あとは関電工や運搬会社など、関連会社・協力会社の社員たちです。新潟の柏崎刈羽、青森の東通の両原発からも応援が入っています。福島第一へ行けと言われてイヤがる社員はいません。厳しい環境で、仲間が頑張っているのに自分だけ抜け出すわけにはいかない」

福島第一原発から約二十キロにある東電の前線対策本部が置かれた「Jビレッジ」に入って取材した内容を大特集したのは『フライデー』4月22日号だ。出入りする作業員たちに次々と取材をかけているのだが、見出しに「潜入撮!」とあり、取材途中で「許可を取って取材しているのか?」と誰何されるシーンもある。

東電の下請け企業の作業員が、記事の中でこう証言している。「私たちは下請けです。東京電力の要請があれば、どこの原発へも行きます」。他の作業員も、要請は「断れない状況だ」と言う。「『できません』と言ってしまえば、次から仕事が来なくなってしまう」。

福島原発に行くと言うと家族に反対されるので「嘘をついて」出かけてきたという作業員もいる。過酷な作業に携わっている人たちの思いは複雑なのだ。

『アエラ』4月11日号には、地震の被災地の葬儀をめぐるルポが掲載されている。地元業者の依頼を受けて東京から「棺35基と白装束」を運んだ葬儀社の証言も紹介されている。胸が痛む現実だ。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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