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篠田博之の「週刊誌を読む」

デフレ経済とユニクロ

 『週刊現代』が表紙にデカデカと「デフレ敗戦 日本経済は『二番底』に沈むのか」という見出しを掲げている。経済の先行きが見通せぬまま二〇一〇年が明けた。
 安い上に品質もよいと、一時は持ち上げられていたユニクロが、最近あちこちで叩かれている。「『独裁者』柳井正とユニクロ帝国」(週刊文春12月31日・1月7日合併号)「ユニクロ悪玉論とデフレの『真犯人』」(アエラ1月4・11日号)。
 後者は月刊『文藝春秋』で「ユニクロ栄えて国滅ぶ」(10月号)「『ユニクロ型デフレ』で日本は沈む」(1月号)と批判を展開したエコノミスト浜矩子さんと、『節約の王道』を著した作家・林望さんの意見を構成したものだ。
 その冒頭で浜さんはこう言う。「ユニクロは問題の象徴として取り上げただけで、ユニクロ自体が悪いと言いたいわけではありません」。ユニクロは、デフレないし安売り競争の象徴として俎上に載せられているというのだ。林さんの指摘もこうだ。「問題はユニクロでなく安売りによる消費者の劣化です」
 では、悪いのはいったい誰か。編集部の質問に浜さんはこう答えている。「大競争の背後にある経済のグローバル化。それが結局は『主犯格』でしょう」「グローバル競争はどうしてもモノの値段、そして『人の値段』について、底なしの最下位競争をもたらす」「労働者は賃金を削られ、やがて失業してゆく」
 前出『週刊文春』の記事も、高品質低価格のユニクロに対する評価を認めたうえで、問題点をこう指摘する。「しかし、日本国内の雇用への貢献という点でみると評価は低い。生産はすべて人件費の安いアジアの工場に外注しており、自社工場は一つもない」
 この批判に対してユニクロ・柳井正社長の答えはこうだ。「グローバル化は現実なんです。日本だけが避けて通ることはできない」
 前出『週刊現代』1月9・16日号は、日本における安売り競争の実態を紹介したうえでこう書いている。「国全体が100円ショップのようになり、焦土と化す」。民主党政権は経済の建て直しに成功するのだろうか。

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