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篠田博之の「週刊誌を読む」

「天皇会見騒動」小沢一郎に銃弾が

何となくイヤーな雰囲気だ。小沢一郎民主党幹事長の事務所に実弾らしきものが入った封筒が送りつけられたという。「天皇の政治利用」問題以降の空気を受けてのものだろう。
 確かに十四日の会見での小沢幹事長の物言いは傲慢な印象を与えたし、週刊誌が批判するのは理解できる。だがそれにしても、右派と言われる『週刊新潮』『週刊文春』の見出しや論調はすさまじいというほかない。
 「『天皇陛下』を中国共産党に差し出した『小沢天皇』の傲岸」(週刊新潮12月24日号)「小沢と鳩山は天皇に土下座して謝れ」(週刊文春12月24日号)。
 『週刊新潮』は翌週の12月31日・1月7日合併号でもこうぶちああげた。「『天皇家は韓国から来た』喝采を浴びた小沢一郎幹事長ソウルの不敬発言」。 
中国訪問の後、立ち寄ったソウルで小沢幹事長が「信じ難い不敬発言に及んでいた」というのだ。
 記事によると、小沢氏はある歴史学者の説を紹介し、「あまり私がいいますと、国に帰れなくなりますので」と言って会場の笑いをとったという。
 記事は、小沢氏の行動を「全ては政局、権力闘争のため」とし、「中国に天皇陛下を差し出し、韓国で『不敬発言』に及んでいたとすれば、まさしく憂慮すべき事態」と書いている。
 「天誅を!」という言葉が聞こえてきそうだが、同誌がこんなふうに煽ると、同調する人たちが動き出すというパターンが少なくないから気がかりだ。
 「天皇の政治利用」問題については、週刊誌によっては違った論調も見られる。例えば『週刊朝日』1月1・8日合併号「会見問題  
 親中派vs嫌中派政治家の暗闘だ!」は、この論争を、政界再編をにらんだ保守派内の親中派vs嫌中派の「政治利用論争」だという。
 また『週刊ポスト』1月1・8日合併号では、羽毛田宮内庁長官の行動を「"官僚主導から政治主導へ"という民主党の政策転換に対する、霞ヶ関全体の反撃行為だ」という見方を紹介している。
 様々な意見が出るのは良いことだ。でも「不敬」とかいう威勢のいい見出しの方が目立ってしまうのは気になるところだが。

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