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篠田博之の「週刊誌を読む」

三田さん、嵐の前の対談/二男3度目逮捕の衝撃

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 今読み返すと複雑な思いにならざるをえない。『週刊朝日』11月23日号の女優・三田佳子さんと長男との対談である。

当然、次男の覚せい剤事件の話も出ており、三田さんはこう語っている。
 「事件のときもバッシ ングがひどくて、嵐に吹き飛ばされそうになったけど、起きてしまったことは仕方がないからと、耐えるだけで精一杯。それで、嵐が過ぎ去った後に『ああ、あの風速何十メートルのときはこうだったなあ』と冷静に振り返るの」
 その後でこうも語っている。
 「彼が失敗したことで 私たちが学んだこともあるし、家族も近づいたから、そういう意味ではよかったと思っているの。あとはあの子がもう一歩踏み出してくれれば」
 同誌が発売された二日後に、実はもっと大きな嵐が吹き荒れることを、この時三田さんは予期していなかったのだろう。
 さる十五日、次男・祐也君が覚せい剤所持容疑で逮捕。一九九八年、二〇〇〇年に続く三度めの逮捕だ。翌日、三田さんは記者会見を行い、「母親として力足らずだったなあ、親としてダメだったんだなあとつくづく思います」と自分を責めた。ショックを受け、一晩泣いたという三田さんは見るからに憔悴しきった様子だった。
 この会見には私もショックを受けた。そこで明らかにされた最近の祐也君の深刻な状態を把握していなかったからだ。昨年来、鬱傾向が深刻化し、二カ月間入院。最近も症状がひどいので入院の準備をしていたという。息子の病状をこんなふうに公開することには、親として大きなためらいがあったはずだ。それでも三度めの逮捕となればそこまで説明せねば社会が納得しないと考えたのだろう。
 ご存じの人もいるだろうが、私はもう十年ほど前、祐也君が最初に逮捕された後から深い関わりを持ち、三田夫妻と一緒に彼の更生のために尽力してきた(その経緯は創出版刊『YUYA』に詳しい)。祐也君からは今年の夏も電話をもらい、近いうちに飲もうと約束しながら、果たせないままとなった。
 「すべては、私たち夫婦の養育、教育の失敗に起因するものだと思っており......」と三田さんは会見で述べた。どうしてこんなことになったのか、私には私なりの分析があるが、それは次回、この事件についての週刊誌の論評を紹介しながら説明することにしよう。