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篠田博之の「週刊誌を読む」

毎号外せぬ?皇室記事/大物タレント不在で関心事に

「皇后さまを傷つける 週刊誌報道の過熱」(読売ウイークリー)「美智子さまを追いつめた雅子さまバッシング」(週刊女性)……。

皇后が「精神的なお疲 れ」が原因で腸壁から出血が見られた、との三月六日の金澤一郎皇室医務主管の会見が週刊誌界に波紋を投じた。会見で「精神的なお疲れとは何か」との記者の質問に、金澤氏が「朝、新聞を開くと下の方に出ているでしょう」と週刊誌の広告を示唆したというのだ。

 『週刊新潮』3月22日号で皇室ジャーナリストの神田秀一氏はこう語っている。「皇后陛下は、全国紙にはすべて目を通されています。気になった雑誌があれば侍従や女官に取り寄せるよう命じ、1、2週遅れにはなりますが、手に入れてお読みになるのです」

 もっとも金澤氏は、九三年の「皇后バッシング騒動」で皇后が失声症になった時に治療にあたった経験もあって、週刊誌報道には一貫して懐疑的なのだという。その会見を受けて皇后の病気の原因が週刊誌であるかのような報道がなされたのだが、それを気にしてか、二日後の宮内庁長官の会見ではこんなふうに軌道修正がなされたという。 「週刊誌の記事というより、その元にある、皇室を巡るいろいろな課題、問題に両陛下が心を痛めておられるのではないでしょうか」

 でも病気の直接の原因かどうかは別にして、この何年か週刊誌の皇室記事が異常なほど多くなっているのは確かだ。特に女性週刊誌では、聖子や明菜といった芸能界の大物タレントが不在な今、それに代わる存在は雅子妃ら皇族。皇室ネタは毎号必ず入れておかないといけないキラーコンテンツなのだという。嫁姑問題や子育て問題などを含む天皇家の家族模様は、一種のホームドラマとして多くの人の興味の対象になっているらしい。

 前出『週刊新潮』3月22日号記事も見出しはこうだ。「美智子皇后『ご静養』で雅子さま『家族スキー旅行』への風当たり」。皇后が病気の時に皇太子一家が奥志賀へスキー旅行に行くのはどうなのかという記事なのだ。確かにこういうのを事あるごとに見ていたら「精神的お疲れ」を感じるのも無理はないかもしれない。

 今回は本当は『週刊朝日』の「裁判員制度導入の舞台裏」という記事を紹介しようと思っていたのだが、紙幅が尽きた。これについては改めて触れることにしよう。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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