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篠田博之の「週刊誌を読む」

仮想の身内 演出が裏目?/叶姉妹、盗難騒動やらせ説

 いまだによくわからないのが、叶姉妹の盗難騒動である。

 発端は『女性セブン』3月1日号のスクープだった。「叶姉妹『裏切りの妹』ゴージャス確執」。叶恭子さんの妹・晴栄さんが失踪。しかも現金や宝石類が運び出されており、被害総額は五億円以上、とされた。   

 知らない人のために書いておくと、現在叶姉妹を名乗る恭子さんと美香さんは実の姉妹ではない。恭子さんには晴栄さんという実の妹がおり、デビュー当時はその三人で叶姉妹を構成していた。その後、晴栄さんは結婚のために一度叶姉妹を抜け、近年は叶姉妹のマネージャーを務めていた。 その二女が宝石類とともに失踪したという『女性セブン』の報道は、しかし予想外の反応を招いた。翌週二十一日に叶姉妹は出版記念会見を予定していたのだが、その新刊本の発行元が小学館。つまり『女性セブン』と同じだったからだ。騒動は新刊本の宣伝を狙ったものではないかとのヤラセ説が噴出したのだ。

『週刊女性』3月6日号「叶姉妹 身内のゴタ ゴタまで話題にしちゃうゴージャス商魂」、『週刊文春』3月1日号「叶姉妹3億円指輪持ち逃げはウソの上塗りか」等々。出版会見では、盗難事件はヤラセではないかとの質問も飛び出した。 

 その後、叶姉妹の代理人である弁護士が会見を開き、ヤラセ説を否定。持ち逃げされた宝石類については業務上横領で告訴すると表明した。

 一方、騒ぎを知って姿を見せた晴栄さんも、弁護士を立てて反論。『週刊女性』3月20日号によると、宝石類は恭子さんに借りたのでなくもらったもので自分の私物だと主張。しかも三億円とされたダイヤの指輪は「せいぜい1000ないし2000万円の価値しかありません」などと内情を暴露した。

 『週刊新潮』3月15日号は、今回の騒動は、再び三姉妹で売り出そうという恭子さんの思惑がはずれ、計画が頓挫したことが原因と報じている。いずれにせよ失踪事件とされたものは結局、姉妹喧嘩だったわけで、『週刊新潮』はこれを「バカ騒ぎ」と表現している。

 前述のとおり叶姉妹とは元々、実の姉妹ではなく、「ゴージャス姉妹」というコンセプトで演出された存在だ。どこまでが演出でどこまでが現実なのか元々わかりにくかった。今回ヤラセ説が噴出したのも、そうした過去の経緯に起因するものだろう。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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