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篠田博之の「週刊誌を読む」

取材相手との距離ない!?/ 知事宅泊まった女性記者軽率

 総理大臣など新たに権 力の座についた人物を、週刊誌が下半身スキャンダルの洗礼で迎えるというのはよくあるが、この人も知名度では総理大臣並みということか。宮崎県の東国原知事が女性問題を盛んに書き立てられている。

 特に『週刊現代』3月10日号が報じた「東国原知事が連夜自宅に泊めた『二人の女』」は、県議会でも取り上げられ、話題になった。同誌が張り込み取材で、二月十二日と十三日に知事宅に泊った女性を隠し撮りして掲載したものだ。

 この記事はその後、思わぬ波紋を広げた。朝帰りした女性の一人が日本テレビの女性記者だったからだ。『フライデー』3月16日号は「そのまんま東自宅に一泊『巨乳日テレ美女の正体』」などと、この女性を大きく報じている。記事中で日テレは「熱心な取材を行ったものだが、軽率のそしりを免れない部分もあった」と反省を語った。

 この女性記者は昨年入社したばかりの新人。東国原知事に選挙期間中から密着して取材していたという。相手の自宅に泊まり込んでまで体を張って取材するのはあっぱれという見方もあろうが、問題は、記者と取材対象者の距離の取り方がどうだったかだ。

 近年、女子アナが取材相手の選手と恋愛に陥り結婚に至るケースが目立つが、これもよく考えると疑問を感じないでもない。週刊誌が張り込み取材を続けたらひっかかったのが同業者という今回の事件、今日のメディアのありようを象徴する騒動だといえよう。

 話題転換。この三月に講談社から発売が予定されていた翻訳本『プリンセス・マサコ』が二月十六日、発売中止になった。週刊誌もこの騒動を大きく取り上げている。

 『女性自身』3月6日号「美智子さまが涙した『皇室侮蔑』本 雅子さまは”カヤの外”」に典型なように、当初の報道はこの本がいかに誤りの多い偏った内容かを強調したものが多かった。しかし『週刊ポスト』3月9日号が著者側の見解を紹介するなど、少しずつ全体像が見えつつある。

 宮内庁だけでなく外務省も抗議に乗り出したことを、著者は圧力だとして反発している。日本はまだ「皇室タブー」に支配されている。著者が主張しているのはそのことだろう。海外で流通している本が日本で発売中止になった。それがタブーに由来するのかどうか、考えてみる必要があるように思う。

(月刊『創』編集長・篠田博之)

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