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2017年7月アーカイブ

 東京大学新聞が、この3月に卒業した東大生の就職状況を特集していますが、ちょっと目を引いたのが、電通入社が昨年に比べて10人と倍増し、民間企業のベスト10位に上がったという話です。というのも周知のように昨年来、東大卒の高橋まつりさんが電通の寮から投身自殺し、過労自殺として大きな社会問題になったからです。それが大きな問題になる前にこの10人は内定を得ていたわけですが、ひとつ上の先輩の事件ですから複雑な心境かもしれません。高橋さんの自殺については、今年の月刊『創』4月号の広告特集に詳しく書いています。彼女は学生時代に『週刊朝日』でバイトをしており、結局、就職では電通を選んだのですが、自殺前に「今からでも『週刊朝日』に行けますか」と転職したい意思を同誌関係者に相談していたのです。そこで電通を辞めていれば自殺しなくてすんだのですが、彼女の相談を受けていた『週刊朝日』のライター今西さんが『創』4月号に手記を書いています。まつりさんの自殺が社会問題になって電通も大きな社内改革を行ったのですが、今年入社した東大卒の10人は今どんな思いでいるのか。ちなみに『マス読』をもう30年以上発行していて、入社1年以内に自殺したという事件が実は何件かあります。そのうち小学館のケースは、自殺した早大卒の新人が『マス読』入門編に合格体験記を書いていた人で、遺品の中に体験記の載った『マス読』が大事に残されていたと母親から手紙が届きました。就活は人生の中で大きな体験をする機会でもあります。