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2015年8月アーカイブ

前回に続いて、『マス読』来年度版の取材の過程で聞いた話を紹介していこう。出版社の面接官が揃って口にするのが「あまり本を読んでいない人が多い」という嘆きだ。一応志望書には本や雑誌が好きだと書いてあるのだが、「月に何冊くらい本を読んでいるの?」という質問に、1冊か2冊という答えが多く、しかもそれが少ないという認識を持っていないというのだ。就活中で忙しいという事情はあるにせよ、学生諸君が本や雑誌をあまり読まなくなっているのは確かだろう。たぶんスマホに時間をとられるようになっていることの反映だろうが、これはなかなか深刻な問題かもしれない。出版界は今、本当に本や雑誌が売れずに深刻な状況に至っている。『火花』のように特定の本が突出して売れるが、それ以外は全く売れないという二極化がますますひどくなっている。これから出版をめざす人にはできるだけ本や雑誌を読んでほしいというしかないが、『火花』に象徴される「メガヒット現象」についてはヤフーニュースに記事を書いたのでぜひ読んでほしい。(篠田)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/shinodahiroyuki/20150812-00048429/

『マスコミ就職読本』来年度版のための取材を始め、各社の採用担当者に話を聞いている。その中から興味深い話を順次紹介していくことにしよう。今回はまず、文藝春秋の名物試験「人物説明」の今年の結果だ。この試験は、人物50人についての説明を読んで、別に掲げられた150人の人物名から選択していくというものだ。今年最も正解率が高かったのが『火花』の作者として又吉直樹さんの名前を選び出すというもの。正解率95・6%だからほとんどの受験者が正解だった。
逆に言うと、文藝春秋を受けるのに又吉さんを知らないというのはどう考えてもまずいから、不正解が17人もいたことのほうが驚きかもしれない。ただ、その17人の名誉のために言っておけば、試験が行われたのは芥川賞受賞発表の少し前。つまり今ほど大きな話題になっていなかった時期だ。とはいっても、知らないのはやはりまずいのだが。
正解率が高いのはその後順に、アギーレ、マッカートニー、山田孝之。驚いたのはNHK会長が籾井勝人さんだと選択できなかった人が35・8%いたこと。マスコミを受けるのに、これってどうなの?と思ってしまうが、さて、この続きは次回のメルマガでお伝えしよう。