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コラム「編集長の目」第38回:就職戦線本格化

 就職戦線本格化ということで、いろいろな媒体が就職特集を掲載している。『日経エンタテインメント!』は発売中の4月号で「エンタ業界就活最前線」という特集記事を掲載。私へのインタビューも載っているのだが、取材に来たのは慶応大卒のマス読OBの女性編集者。マス読OBはこんなふうにマスコミ界全般で活躍しているのだが、最近、慶応卒の活躍が目立ち、早大が押され気味。マスコミは早大卒の独壇場と言われた時代は終わろうとしているのだろうか。

 先頃、新聞社の採用試験についての連載記事を載せたのは新聞業界団体の機関紙「新聞協会報」。3回にわたる連載の第2回は「業務体験型試験、各社に広がる」という見出しだ。業務体験型試験というのは、朝日・読売・産経などがやっている模擬取材や模擬会見といった実践的な試験のこと。これがこの何年か急速に拡大しているのは『マス読』でも紹介しているが、今年は静岡新聞、中国新聞などでも導入予定とのこと。職種別でなく一括採用の南日本新聞の場合は、意地悪な客を相手に新聞の購読勧誘を行うという「模擬営業」試験を昨年、受験者全員に課したという。

 興味深いのは、産経新聞が今年、「街頭での模擬取材」をやめる可能性を検討しているという記述。模擬取材は採用側の負担が大きいうえに、最近は志望者がこういう試験があることを事前に知って準備してくるため当初の効果が薄れているのでは、という声もあるという。ただし産経新聞の場合、模擬取材は中止しても、1泊2日の支局訪問は実施するという。

7日に発売された月刊『創』4月号新聞特集でも、現場座談会の中で新聞記者採用について語られている(P75)。元毎日新聞の北村さん(『週刊金曜日』編集長)が「かつての記者志望はジャーナリズムに関心を持っているのが当たり前だったが、今はそういう本質的なことよりも給料や待遇に関心を持つ志望者が増えた」という話をしている。また、一方で最近は新聞ジャーナリズムに絶望して中途退社する記者が増えているという話も紹介されている。これらは新聞界が変わりつつあることの反映なのだろう。

 ちなみにこの『創』の特集は、(特に若い人たちに)新聞が読まれなくなりつつあるという深刻な現状に新聞各社がどう対応しようとしているのかを探ったもので、新聞志望者は必読だ。

 報道志望の人たちには、目先の受験対策もよいが、こういう本質的な問題を考えていっていただきたいと思う。

 そういえばマス読実践講座受講者から続々内定者が出ているが、某大手マスコミに内定した学生は、以前本欄で紹介した、裁判の傍聴などで顔をあわせた人。こんなふうにジャーナリズムに関心を持っている学生がマスコミに合格したという話は、とりわけうれしい知らせだ。『マス読』は実用的な試験対策ももちろん教えるが、もっと本質的な問題にも目を向けてほしいと絶えず言っているのが特徴だから。             
 (篠田)

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