<週刊誌を読む>

追い詰められた青森県知事
                 (東京新聞03年3月10
日掲載)

 『週刊新潮』が報じた女性スキャンダルで、木村守男青森県知事(65)が追いつめられている。7日の県議会で辞職勧告決議案が可決。知事は退任を拒否したが、18日には不信任決議案が提出されるという。

 発端は『週刊新潮』2月6日号「横山ノックよりエゲツない! 3選を飾った木村守男青森県知事のセクハラ不倫騒動」という記事。離婚して病弱の身で子供を育てていた生活保護受給の53歳の女性に、2年前から知事が近付き、愛人関係になった経緯が暴露されていた。その不倫は昨年、周囲に発覚。今年1月予定の知事選を控えて、女性は知事から一方的に関係を清算された。記事には、知事とこの女性の男女の行為が細部にわたって描かれていた。

 2月27日、木村知事は『週刊新潮』を名誉毀損で東京地裁に提訴。同時に地元選出の政治的ライバル田名部匡省(たなぶまさみ)参院議員をも、木村知事を落選させようと背後で画策したとして提訴した。『週刊新潮』は最新の3月13日号で、知事側のこの主張を「荒唐無稽なストーリー」と批判している。

 不倫相手だった女性は事の成り行きに動揺しているようで、『週刊朝日』3月14日号で取材に応じ、こんなふうに証言している。一昨年秋、知事とのことで悩んでいたので田名部議員を訪ね、事情を話した。しばらく連絡がなかったが、昨年秋突然、議員から電話があり、木村知事との電話を録音したテープと、関係を記した文書を渡した。 さらに今年1月に議員から「週刊新潮から電話がいく」と言われた。同誌からしつこく取材依頼され応じたが、「今は記事が出て、知事に申し訳ないという気持ちが強い。私は知事選がらみで利用されたと思います」

 田名部議員は『週刊朝日』の取材に対し、女性と会ったことは認めたが、「彼女が記事にしたいというから人を紹介したが……その先のことは知らない。『週刊新潮』を紹介なんかしていない」と答えている。

 真相は法廷に委ねられることになったが、『週刊朝日』によると、知事が主に問題にしているのは『週刊新潮』が「セクハラ不倫」と断じたように、地位を利用して女性に関係を迫ったと報じられたことであるらしい。 しかし仮にセクハラではなかったとしても、それで騒動は収まりそうもなく、木村知事、土俵際に立たされたのは確かなようだ。