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開けられた パンドラの箱 やまゆり園 障害者殺傷事件


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2016年7月に起きたやまゆり園障害者殺傷事件は、障害者には恐怖をもたらしたまま、一般の人たちには忘れられつつあるかに見える。重大で深刻な事態に直面し、それが二度と起こらないようこの社会は対応を迫られたはずなのに、何もなされぬまま事件を風化させつつあるように見える。本当にこのままでよいのだろうか。本書は植松聖被告や事件の被害者など様々な関係者への取材をもとに改めて問題提起をしたものだ。

【目次】

はじめに 開けられたパンドラの箱に社会はどう対応すべきなのか............篠田博之―



第1部  植松被告に動機を問う
1............植松被告が面会室で語ったヒトラーの思想との違い―
2............植松被告から編集部へ送られた手紙―
3............ 「どの命も大切だという考えはないの?」という問い―
4............被告が語った津久井やまゆり園での仕事―
5............何が植松被告を事件に追いやったのか―
6............衆院議長への手紙から措置入院までの経過―
7............被告がつづった犯行後の出頭状況―
8............ 「色のない食卓」―獄中生活―
9............被告がつづった自分の生い立ち―
10............7項目の提案と「戦争反対」の主張―
11............植松被告が獄中で描いたマンガ―



第2部  事件とどう向き合うか
黙ってしまうと植松に負けたことになる............尾野剛志―
⦿ 事件の朝、体育館に4枚の紙があった
⦿犠牲者が全て匿名になった背景
⦿匿名では植松に負けたことになる
⦿津久井やまゆり園建て替えをめぐる議論
⦿今やられていることは「順序が違う」

社会にとって他人事でしかないやまゆり園事件をどう引き受けるか............海老原宏美―
⦿事件の後も障害者への差別は全く変わらない
⦿被害者の名前が出ないのは悲しかった
⦿日本は今、逆のことをやろうとしている
⦿なぜ今、自分たちで映画を作ったのか

娘・星子と暮らす身として植松青年には言わねばならない............最首 悟―
⦿植松被告の言う「心失者」という概念
⦿「わからないこと」がなおざりにされている
⦿植松青年の言う「解決」とは
⦿人間における「二者性」の問題
⦿植松青年がかつて教師を目指した意味
⦿植松青年と賛同者に言いたいこととは
⦿待ち構えている2025年問題
⦿娘・星子と私たちの生き方

犠牲になった19人の「生きた証」を求めて............西角純志―
⦿19人の「生きた証」を言語化する試み
⦿犠牲者を知る人を訪ね歩く
⦿ハートネットTV「匿名の命に生きた証を」の反響
⦿「お別れ会」で語られた逸話と地域住民の活動
⦿やまゆり園の建て替えをめぐって
⦿法権利を奪われた犠牲者たち



第3部  精神科医はどう見るか
「思想」と「妄想」の曖昧な境界............香山リカ×松本俊彦―
⦿「思想」なのか「妄想」なのか
⦿措置入院解除後も2回の通院
⦿ヘイトデモ参加の差別主義者との関係は
⦿薬物使用の影響、家族との関係は
⦿障害者との共生と監視社会の恐怖

「包摂」か「排除」か―最終報告書を読んで............香山リカ×松本俊彦―
⦿厚労省検討チームの最終報告書
⦿日本の精神科医と薬物の問題
⦿とてもデリケートな「関係機関等の協力の推進」
⦿保安処分的な見解と検討委員会の見方
⦿植松容疑者と福祉施設職員の待遇
⦿植松容疑者の価値観はいかにして形成されたのか
⦿折り合いをどうやってつけるのか

相模原障害者殺傷事件と強制不妊手術の通底............香山リカ×松本俊彦―
⦿自己愛性パーソナリティ障害という診断について
⦿犯行動機については同じ主張を繰り返す
⦿犯行への飛躍の仕方が病的な印象
⦿病気と言えるわけでないが正常とも思えない
⦿犯行に及ぼした薬物の影響
⦿措置入院の影響は深刻な問題
⦿「同意なき支援」と「監視」の平行線
⦿措置入院の入り口をめぐる問題
⦿事件の背景にある時代の雰囲気
⦿強制不妊手術の驚くべき実態
⦿次の国会で再び法案提出か

措置入院をめぐる誤った見方―佐賀バスジャック事件を教訓化しなかった誤り............斎藤 環―
⦿暴力に対する反応がナイーブすぎる日本の精神医療
⦿精神医療でのクレイジーとマッドの違い
⦿障害者だけでないマイノリティ排除の発想
⦿刑法39条自体の見直しが必要ではないか
⦿退院後、回避すべきだった孤立した状況
⦿措置入院とは何なのかさえ曖昧なままでの議論
⦿対応を間違えると真相は闇の中に


あとがき
この1年間痛感した事件の風化とメディアの責任............篠田博之―

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